んなものは私にある訳ないのですが。男性好みのタイプの遍歴というものが存在する気がしたので振り返ってみようかと。いらんですかそうですか。でもやっちゃう。
まず一番幼い記憶。小学生の頃は、芸術家タイプが好きだったなぁ。好きになった男の子は二人とも凄く絵が上手だった。図工は私も得意な方だったけどレベルが違った。私は写生のようにそこにあるものを見ながら描くのは上手だったけれど、デザインなどは今一つ。彼等はデザインをさせてもとても上手かった。
中学生の頃も大体その流れをくんで、今度は音楽家が好きになった。初めてお付き合いしたのは三つ上の吹奏楽部の先輩だった。彼は頭も良くて、年齢の割にはとても大人だったしルックスはやや金城武風(記憶の中で美化してしまったのか)身長も高く、総合的にこの人が一番良かったかも、と十数年たった今では思うのであった。
高校時代の前半ははっきりとした好みがあった。好きになる人好きになる人皆長身痩躯、口の大きいやや野性的な顔立ち(ex.館ひろし)。この時代は自分でも不思議なのだ。遺伝子学的に何を求めていたのか……。 中盤は、何と言っても「終わらない」の君である。彼は身長184センチ、細身で顔は彫が深く色素は薄く、ロシア人とのハーフと言う噂を信じていた人もいたくらいである。どんなおじさんになっているのやら。
後半になると前半の好みを引きずりつつも、中性的な顔立ちで言動の可愛らしい一つ年下の男の子に恋をした。彼を知ったきっかけは、全校集会だったか何かの時に「あいつはM(私)の弟か?」「Mちゃん(私)にそっくりな子がいる」と言われた事。その頃の私は鬼ショートで、モコモコした襟のコートを着ていた。彼の方が髪が長いくらいだったけれど、パッと見、そして後に見かけた上着のモコモコした襟も確かに似ている。良く見ると私よりかなり整った顔だったけど。 私の高校は、運動会や球技大会など大きな行事になると縦割りで行動する。自然、同じクラスの多学年との交流は多い。彼は私と同じ7組だったため、結構仲良くなれた。ビデオを借りたり、修学旅行にはお土産をもらったり、誕生日やクリスマスにはプレゼントを贈ったりした。卒業する時には一緒に写真をとった。 「肩くらい抱いてよ」と言うと、ちゃんと言うとおりにしてくれた。 でも。 彼には同級生の可愛い彼女がいた。だから、私はバカ騒ぎしながら、彼の芯には近付けなかった。 最後の春休み、就職の為に地元を離れる日を控えていた私は、友達の家で泣いた。彼と離れるのが辛かった。側にいても遠かったけれど。 就職して間もないある日、私はいつものように疲れきって投げやりな気分で寮に帰る為地下鉄の駅に向かった。切符売り場で、私の体は全身が心臓になった。 彼が切符を買っている。 彼の肩を叩いて、振り向いた瞬間、私は人目もはばからずに泣き出してしまった。 彼はとても驚いていたけど、お茶に誘ってくれた。二人で地下鉄に乗り、お洒落な街の知る人ぞ知る喫茶店に連れて行ってくれた。彼はココアを飲んだ。私は何を飲んだだろう?何を話しただろう? やっぱり好きだ、と私が言ったのは覚えている。 「僕もMさんと知り合ってとても楽しかった。友達でいましょう」 というような事を言われた。悲しかったけど、頷くしかなかったけれど、友達にもなれなかった。あれから彼には一度も会っていない。
それ以降は何だか私は荒んでしまったようで、ろくな恋愛をしないままろくでもない男と結婚してしまった。モテない女ってのは辛いもんです。 今?今は……、ライバルのとっても多い妻帯者に恋をしています。いひひひひ。 悪かったな、人生のほとんどが片思いで。
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