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いつのまにかショートショートが復活です。
明日からこのショートショートを変形させるかまるっきり一言も触れずに無視するかは二人の感性に任せます。こんばんは。あゆです。 あ、タイトルも何気に違うシリーズに変えときました。 本文だけじゃなく、タイトルにも自分のネタの底の浅さを感じる今日この頃です。 ゆみなさん結婚記念日だったんだ。 あの夫婦だと 有馬記念や宝塚記念とかと同じ感じなんだろうか。 と、なると結婚記念日でもなんとなく大損しそうな気がするのは 私だけではないはずだ。 るるんちの結婚記念日はきっと折り紙のわっかなんか作って部屋中飾ったりしそうだな。息子3人がパパとママにお手紙なんか書いちゃったりして。 ちきしょー泣かせるぜ。 姑もるるの似顔絵なんか描いちゃって、 その横に「呪」とか書いてあったりして。ちきしょー泣かせるぜ。泣くのかよ。 ウチの記念日?ない。 さてショートショートだ。 実はほんとに今まで書いたショートショートはほとんど残っていない。 これが最後なのだ。 でも..... ゆみながネタばれさらしたやつなんですわ。これが。 ま、いっか。 ってことでいきます。 ---------------------------------------------------- 「スクランブル交差点」 ほんとうに好きだった。 あの人が交差点の向こうにいる。 一日でも彼のことを考えない日はなかった。 彼の得意な料理を作る時、彼が好きだったタレントがテレビに出ていた時、そんな何気ない時に、ふと彼のことを思い浮かべてしまう私がいた。 本当なら今彼のもとに走って行きたい。 今までのいろんなことをたくさん話したい。 なのに・・・今の私にはそれはできない。 私のそばには夫と幼い娘が立っている。 彼と短い同棲生活を送った後、私は彼と別れた。 嫌いで別れたわけではなかった。 彼との結婚を夢見ていた私。だけど現実はそれを許してはくれなかった。 彼は田舎に帰り家業を継ぎ、 私はそれからいくつかの恋をして夫と結婚した。 だけどあんなに愛した人はいない。今でもそう思える。 彼の横顔が好き。笑った時の優しい目元が好き。 細くて長い指が好き。 考え込む時に鼻の頭をその長い人差し指ではじく癖が好き。 そして.... 「ずっとおまえのこと忘れないから」 今も耳に残る彼の低い声。 信号待ちの雑踏の中に彼を見つけた時、駆け出したい気持ちと、 この胸の高鳴りを 夫と子供に悟られないようにする気持ちとが入り混じっていた私は、 いきなり道を変えることを夫に提案することもできず、 ただうつむくことしかできなかった。 彼の姿に気づいてから、何分か何秒かが・・流れた。 車の信号が赤に変わる。 私はうつむいたまま夫と娘の後ろに隠れるように 少し遅れ気味に前に進む。 彼もまっすぐこっちに向かって来ている筈だ。 この人ごみに紛れてどうか私に気がつかないで。 そう思わずにはいられなかった。 そして・・・・・時が止まった。 その瞬間、車の音も人のざわめきも何もかもが消えてしまった。 昔、私たちが一緒に歩いた時のように、 彼の小指が私の小指にからんだのは、 彼とすれ違うほんの一瞬の出来事だった。 泣かないで。振り向かないで歩いていくんだよ。 彼にそう言われたような気がした。 私は夫と娘の間に割り込むように追いつくと 二人の手を強くにぎりしめた。 ----------------------------------------------------
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