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| 2006年04月09日(日) ■ |
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| ローズマリー・サトクリフ |
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ローズマリー・サトクリフはやっぱり上手い。アーサー王ものの3部作を読んだ時も感動したが、今回のブリトン人とサクソン人の戦いの話も、なかなか良かった。ブリトン人とサクソン人の歴史がよくわからないのだが、この際、それはどうでもいいみたいだ。
戦いの話自体はどうということもないし、それを舞台にして一人の少年が生きていく様子も、べつにどんな舞台でもいいだろうという気はするが、話の組み立て方と、登場人物のキャラクター設定が良い。
主人公のブリトン人オウェインは、私好みの高潔で孤高であるというキャラ。他の本でもそうだが、「自己犠牲」が描かれているものには、つい感動してしまう。また、この中には愛犬の死もあって、父親と犬の死には無条件に涙がでてしまう私にとっては、ツボにはまらざるをえない本だ。
冒頭で14歳だったオウェインも、最後には25歳になっている。サクソン人の家に、やむをえず奴隷として仕えていたオウェインは、紆余曲折の末、最後にようやく自由の身になる。
その時、その家の娘に「行かないで」と言われる場面で、あっとびっくり!「おれには心に決めた女がいる」と言うのだ。相手は14歳の時に戦場で出会い、しばらく二人で必死に行きぬいた少女レジナだ。
レジナを助けるため、泣く泣く奴隷になったオウェインだが、そのレジナを11年も思い続けてきたのか!と思うと、胸が熱くなる。というか、14歳にして、そんな自己犠牲の決断が下せるとは、なんと立派なことだろう。こういうのを読むと、苦労を共にした相手を平気で捨てる男など、まったく許せないな!
というわけで、児童書の部類ではあるけれど、十分に読み応えのある面白い本だった。サトクリフにはずれはない?
〓〓〓 BOOK
◆読了した本
『夜明けの風』/ローズマリー・サトクリフ (著), Rosemary Sutcliff (原著), 灰島 かり (翻訳) 単行本: 487 p ; サイズ(cm): 19 x 13 出版社: ほるぷ出版 ; ISBN: 4593533848 ; (2004/07) 内容(「BOOK」データベースより) 侵入者サクソン族の手から父祖の地をとりもどそうと、ブリテンの人々は最後の戦いにうってでた。だが完膚なきまでに叩きのめされ、あたりは一面の廃墟となった。ただひとり生き残った14歳の少年オウェインは、愛犬とともに北にのがれようとする。逃避行で出会ったのは、飢え怯えた少女レジナ。オウェインは、病気の少女をどうしても見捨てることができず、自分に残されたただひとつのもの“自由”を売って、この少女を助けようと決心する。…サトクリフの金字塔『ローマン・ブリテン・シリーズ』掉尾を飾る幻の傑作。
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