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2005年08月17日(水) ■ |
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狼男との恋 |
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アリス・ホフマンの『セカンド・ネイチャー』を読了。これはまたびっくり仰天な話で、これも初期の作品のため、ホフマンお得意のマジカルさはないけれど、こんなことあり?って感じの内容。
3歳のときに飛行機事故に遭い、乗客、乗員全員が死亡した中、ただ一人生き残った男の子は、狼に育てられ、過酷な自然を生き延びたのだが、猟師のわなにかかり、人間社会に連れ戻される。たまたま出会った(というか、出会うべくして出会ったというべきか)女性と恋愛関係に陥るが、そこで起こった連続殺人事件から、結局は社会に普通の人間としては認めてもらえず、再び自然の中へと戻っていく。
ホフマンは文章が上手いと思うが、それにしても狼男(いわゆる狼男ではないが)の気持ちなど、よく書けるなあと感心。内容的にうんぬんという以前に、たくましい想像力に感服してしまった。ああだこうだと感想など言いたくない作品だ。単純にストーリーにはまるだけでいいという感じ。最後はとても悲しい。どうにもならない恋の切なさみたいなものをひしと感じる。
〓〓〓 BOOK
◆読了した本
『セカンド・ネイチャー』/アリス・ホフマン (著), Alice Hoffman (原著), 田辺 亜木 (翻訳) 単行本: 250 p ; サイズ(cm): 19 x 13 出版社: 集英社 ; ISBN: 4087732428 ; (1996/02) 内容(「BOOK」データベースより) 男には名前がなかった。ひどく痩せていて、人前では声を出そうとしなかった。患者第3119号。人々は密かに"狼男"と呼んでいた。烈風を伴った雨が窓を激しく叩き、男はうずくまり震えだした。その時、女は手を伸ばし、男のコートの袖に触った。指の温もりが男の肌まで届いた。それは同情だったかもしれないし、何かほかのものかもしれなかった。女は長年暮らした夫との生活に傷つき、疲れていた。女は男を外に連れ出した。それが犯罪になることはわかっていたが…。狼に育てられた青年と年上の女性、奇跡のラブ・ストーリー。
◆図書館貸し出し
『直筆商の哀しみ』/ゼイディー・スミス (著), 小竹 由美子 (翻訳) 単行本: 557 p ; サイズ(cm): 19 x 13 出版社: 新潮社 ; ISBN: 4105900382 ; (2004/03/30) 内容(「MARC」データベースより) 有名人のサインを売買し、そのあがりで悠々暮らす直筆商アレックス。迷い多きこの男に真実の幸せは訪れるのか。「実存」対「シンボル」というテーマにとめどなくコミカルな表現で挑んだ、英国文学の新鋭によるめくるめく長篇。
『琥珀捕り』/キアラン・カーソン (著), Ciaran Carson (原著), 栩木 伸明 (翻訳) 単行本: 346 p ; サイズ(cm): 19 x 13 出版社: 東京創元社 ; ISBN: 4488016383 ; (2004/02) 出版社/著者からの内容紹介 ローマの詩人オウィディウスが描いたギリシア・ローマ神話世界の奇譚『変身物語』、ケルト装飾写本の永久機関めいた文様の迷宮、中世キリスト教聖人伝、アイルランドの民話、フェルメールの絵の読解とその贋作者の運命、顕微鏡や望遠鏡などの光学器械と17世紀オランダの黄金時代をめぐるさまざまの蘊蓄、あるいは普遍言語や遠隔伝達、潜水艦や不眠症をめぐる歴代の奇人たちの夢想と現実──。数々のエピソードを語り直し、少しずらしてはぎあわせていく、ストーリーのサンプリング。伝統的なほら話の手法が生きる、あまりにもモダンな物語! 解説:柴田元幸
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