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2004年04月05日(月)
「勝ち」か「負け」か

昨日、『文学刑事サーズデイ・ネクスト(1)─ジェイン・エアを探せ!』(毎回思うんだけど、タイトル長いよー!)を読み終えたのだが、併読していたテリー・ブルックスの『妖魔をよぶ街』は、面白くないのでやめた。

これはべつに児童向けではないと思うのだけど、主人公が中学生の女の子ということもあって、文章が子どもっぽい部分と、普通に大人っぽい(?)文章が入り混じっていて、特徴が掴みにくい。それに状況説明が多くて、なかなか本題に入らない。こういうのはだるい。

主人公が子どもだからって、なにも子どもっぽい文章にする必要はないわけで、同じようなシチュエーションでも、読むに耐える作品はたくさんある。やっぱり翻訳で、ずいぶん違ってしまうんだろうなという感じ。

ちなみに余談だが、テリー・ブルックスはトールキンをかなり意識しているそうで、他の作品でも『指輪物語』を彷彿とさせるネーミングだとかがあるらしい。この作品にも、ピックという森の精(シルヴァン)が出てくるが、「指輪」でも森のエルフはシルヴァン・エルフだ。

というわけで、明日にも図書館本は全部返却する予定なので、一緒に借りていたビデオ「勝利への旅立ち」(Best Shot)も、急いで観た。バスケットをテーマにしたスポ根ものだが、主演がジーン・ハックマンでなければ観なかっただろう。何のひねりも特徴もない内容であったにも関わらず、個人的には結構面白かった。ジーン・ハックマンは、今も若い頃もあまり変わらないので、いつごろの作品だろう?と思ったが、共演のデニス・ホッパーを見て、かなり昔の作品だなとわかった。(^^;

勝ち負けが関係する話は、最後に「勝ち」で終わらせるのか、「負け」で終わらせるのか、それによって大きく変わってしまうから、果たしてどっちだろうと考えるのがドキドキする。トルーマン・カポーティの短編にも、瓶の中に入っている硬貨を当てさせる「銀の瓶」という話があるが、これも当たるのか、当たらないのか、結末はどっちなの?という好奇心で、最後まで一気に読ませるタイプ。

こういう話は、どちらに転んでもそれなりに解釈はできるが、やはり勝ってハッピーエンドになるほうが後味はすっきりする。特にスポーツものは、「勝ち」で終わったほうが、がんばれば報われるんだという希望が持てる。

ただ、この映画には何のひねりもないと書いたが、「シービスケット」同様、失敗してもまたチャンスはあるのだという敗者への応援メッセージも含まれている。そういう意味で、出来すぎた話だとは思うが、結末は「勝ち」で終わらせるほうが、夢がある。


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