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2003年12月13日(土)
グランマ・モーゼス

テレビで、アメリカのグランマ・モーゼスという画家の話を見た。私の知っているところでは、ターシャ・テューダーのような画家。あえて言えば、カントリー・アートというのだろうか。それがポストカードとして売り出され、感謝祭やクリスマスには、そのカードが国中に飛び交ったという。

グランマ・モーゼスの画家としてのデビューは、なんと80歳だ!正式な美術の教育を受けたわけではないが、幼い頃から絵が好きだったという。ちゃんと絵筆をとったのは70も過ぎた頃だが、それまでに作ってきた刺繍なども見事な出来栄えで、その才能は天性のものなのだろう。構図なども特に計算しているわけではないのに、人の心を捉えるゴールデン・プロポーションとなっている。

巧みな絵というわけではないけれど、見ていると、なにかほのぼのとしてくるような絵だ。そして、グランマ・モーゼスの生き方もいい。けして弱音を吐かず、愚痴も言わず、「ただ一生懸命やればいいのよ」と、非常にシンプルだ。一生懸命やれば、何だってできるというわけ。ちょっとズキンとくる。少しでも辛いことや苦しいことがあると、すぐに弱音を吐く。愚痴を言う。そんな私には耳が痛い。弱音を吐いたり、愚痴を言ったりする姿はけしてカッコ良くない(だから、今読んでいるアン・タイラーの『ブリージング・レッスン』の主人公はカッコ悪い)。辛い時があっても、そこに何かしら楽しみを見出すことができなければ、人生は面白くない。グランマ・モーゼスは、カッコイイおばあさんだ!

もうひとつ教訓がある。彼女の父親は、早くから娘の才能を見抜いており、「お前がみんなに拍手されている夢を見たよ」と言って励ました。彼女の夫は、きつい農家の仕事をしていても、絵を描いたりすることをくだらないなどと言ったりせず、「かなり上手く描いている」と褒めていた。豚もおだてりゃ木に登るというが、人間だって、やっぱり褒められたほうが伸びるのだ。褒められて嬉しくない人などいないだろう。


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