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2003年10月23日(木) ■ |
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原文で味わう新しいアメリカの短編小説(14) |
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◆「原文で味わう新しいアメリカの短編小説」講座第14回 テキスト:「The Black and White Sisters」/T.Coraghessan Boyle (2001)
T.コラゲッサン・ボイル。1948年ニューヨーク州ピークスキル生まれ、本名トマス・ジョン・ボイル(Thomas John Boyle)。1979年に『Descent of Man』でデビュー。80年代半ばから、本格的に動き始める。翻訳本の『血の雨』は、『Descent of Man』と『Greasy Lake and Other Stories』から11編が選出されている。今年のはじめに出された新作『Drop City』(長編)は、本年度の全米図書賞(The National Book Award)(全米図書賞受賞作・翻訳本)にノミネートされている。変な動物、変な植物、絶滅寸前あるいは絶滅した動植物、口にするのがはばかられるような言葉などを出して、おかしさを生み出すのが得意。現在、南カリフォルニア大学の終身教授。
「ボイルはテレビがあって教会なしのフラナリー・オコナー」─ローリー・ムーア
●現代アメリカ文学作家リスト<T.Coraghessan Boyle>
今回のテキストは『After the Plague』の中の1編で、舞台はカリフォルニアのサンタ・バーバラ。黒と白の極端な好みを持った姉妹とその周りの人間を描いた話。基本的にはコメディだが、何でも単純に黒と白(=善と悪)に分けて考えるアメリカ、金にあかせてとんでもないことをやるアメリカ人を風刺していると考えられる。また、ごちゃごちゃになった世界をsimplify(単純にする)したいという思いも見える。
※『After the Plague』は、来年、青山南さん(ほか)の翻訳で出版予定となっている。
<ボイル語録> 「おれにとっての名声とは、本を世に出して、読んでもらうことなんだ」 「とにかく読まれたい─たとえ全然金にならなくても、それでも読まれたい」 「この惑星には50億の人間がいて、それがみんな人目を惹きたがってるんだぜ」 「おれは景気よく燃えてるんだと思う」 「おれのような野心的な芸術家なら、救世主になりたい、トルストイになりたいと思うに決まってるさ」 「おれは型にはまらない。形式から解き放たれているんだ。何事も道を進みながら見つけていくのさ。おれの言うことを誤解する奴は大勢いるが、それはおれが何でも真顔で喋って、そのうちの半分が馬鹿げてるせいだ。なんてったって、おれの手本はキリストだからね」 ─『サロン・ドット・コム』より
◆次回のテキスト 「The Jewbird」/Bernard Malamud (1963)
〓〓〓 BOOK
◆読了した本
『血の雨』/T.コラゲッサン・ボイル 内容(「MARC」データベースより) 文字通り血液の雨が降るシュールな世界から、神経症的サバイバル生活記、ビール缶コレクターの悲劇の探検、少年を見捨てる「名犬ラッシー」など、大胆不敵な初期短編11編を精選した傑作選。 目次 人間の退化/おれたち、バイキング/名犬ラッシーの真相/血の雨/絶滅ばなし/ケツァルコアトル・ライト/あぶら沼/キャビア/とことんまで/おれの行く道は石だらけ、地獄の猟犬がつきまとう/外套2
※授業でやるので、再読。久しぶりに読んだけれど、やっぱり面白かった。
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