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2003年10月16日(木) ■ |
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原文で味わう新しいアメリカの短編小説(13) |
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「原文で味わう新しいアメリカの短編小説」講座第13回 テキスト:「The Kind of Light That Shines on Texas」/Reginald McKnight (1992)
レジナルド・マックナイト。1956年生まれ。1988年、32歳で作家デビュー。African Americanの新しい世代の作家。1980年代から90年代には、アリス・ウォーカー、トニ・モリスン、テリー・マクミランなどの黒人女性作家が力を出してきたが、黒人の男性作家の力は弱く、作品は日本でもほとんど翻訳されなかった。
新しい世代の黒人は、中産階級以上の生活をするものも出てきて、政権にも入るようになった。マックナイトは、それまでのアンクル・トムに代表されるような虐げられていた立場の黒人でなく、こういった中産階級の黒人たち(場合によっては白人よりもリッチで洗練されている)の状況を描いている。マックナイトの作品には随所に映画的で美しい文章があり、付け加えるか否かで作家と凡人の違いが出てくるような言葉の使い方に、見事な感受性が表現されている。
今回のテキストは、テキサスのある小学校が舞台というローカルな話だが、人種差別をテーマとして、子ども同士のいじめや、洗練されてはいるが弱虫で弁解ばかりしている主人公の精神的なずるさなどが描かれている。また、授業で光と色のことを教えている先生自体が、色に対して無自覚であるという痛烈な皮肉も含まれている。この作品にいちいち注釈をつけていくと、時代背景がくっきりと見えてくる。舞台となっているテキサス独自の「テキサス魂」といったものもしっかり描かれているのも面白い。
●差別用語 nigroは60年代半ばくらいまでは、まだ比較的言ってもいい言葉だったが、niggerは完全な差別用語で、coonieはさらに悪い。nigraも発音を崩すことは相手を馬鹿にしていることになるのでとても悪い言い方。
●Pledge of Allegiance─アメリカ国旗を前に忠誠の誓いの言葉を唱和する。
Pledge of Allegiance I pledge allegiance to the flag of the United States of America and to the flag for which it Stands,one nation under God indivisible,with liberty and justice for all.
<忠誠の誓い> 私はアメリカ合衆国の国旗、そしてその国旗が表している国、神の下で一国として分かたれずに存立し、何人にも自由と正義をもたらすこの国に忠誠を誓います。
◆次回のテキスト 「The Black and White Sisters」/T.Coraghessan Boyle (2001)
〓〓〓 BOOK
◆BOOK・OFF(明治通り店)
『コーンウォールの聖杯』/スーザン・クーパー \950 内容(「MARC」データベースより) ドルウ家の三人の子どもたちは、古い屋敷の屋根裏から七百年前に書かれたアーサー王伝説をめぐる秘密の古文書を発見する。悪と戦いながら「聖杯」を探し出す子どもたちの物語。1972年刊の改訂新版。
『すっぱだか』/デビッド・セダリス \100 内容(「MARC」データベースより) 自らの少年期・青年期のエピソードを元に、「僕」が自分自身の殻を脱ぎ捨てて自立をはたしていく過程をユーモアあふれる17の掌編に収めた、全米ベストセラー。
『モヒカン族の最後』(上)/ジェイムズ・フェニモア・クーパー \100 内容(「BOOK」データベースより) 18世紀半ば、独立前のアメリカ。イギリスとフランスは、インディアンをそれぞれ味方につけ、植民地戦争を繰りひろげていた。この戦乱の中、父親が司令官をつとめるイギリス軍の砦へ向け、二人の姉妹は友人の少佐らと出発した。その途上、敵インディアン、マグワの罠にかかった彼らは、白人の猟師ホークアイ、モヒカン族の若き酋長アンカスとその父親チンガチグックに救われるが…。アメリカ文学史上に輝く名作。全訳版。
『モヒカン族の最後』(下)/ジェイムズ・フェニモア・クーパー \100 内容(「BOOK」データベースより) 苦難の末に、姉妹は砦へたどり着き、父親との再会を果たした。だが、喜びも束の間、フランス軍に完全に包囲され、砦は明け渡されることになる。イギリス軍は砦を後にするが、そこへ敵インディアンの群れが襲いかかり、姉妹はマグワに連れ去られた。彼女たちを救うため、ホークアイ、モヒカン族の父子らは、追跡を開始する。が、行く手には大きな悲劇が待っていた。大自然を舞台に描き上げる愛と友情と闘いの壮大なドラマ。
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