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2003年06月17日(火) ■ |
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マイケル・シェイボンについて |
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本来は授業の後に記録する事柄なのだけど、課題に行き詰っていて他に考えることもないので、先に書いておく。作家について調べたからといって、何の打開策にもならないのだけど、とりあえず気休めに。
シェイボンの写真って、どれもこれもびっくりしたような顔ばかり。ほんとにびっくりしているんじゃなくて、そもそもそういう顔なんでしょう。ちょっとくどい。ユダヤ系であると聞けば、納得かも。で、やっとびっくり顔でない写真を見つけた。どうやらシェイボンはマック・ユーザーであるらしい。そんなことは、今の私にはどうでもいいですが。
Michael Chabon 1963年、ワシントンDC生まれ
●<マイケル・シェイボン.com> ●<Meet the WRITERS> ●<インタビュー記事>
<作品>
・『ピッツバーグの秘密の夏』(原題:The Mysteries of Pittsburgh, 1988) ・『モデル・ワールド』(短篇集、原題:A Model World and Other Stories, 1990) ・『ワンダーボーイズ』(原題:Wonder Boys, 1995) ・『悩める狼男たち』(短篇集、原題:Werewolves in Their Youth: Stories, 1999) ・『カヴァリエ&クレイの驚くべき冒険』(原題:The Amazing Adventures of Kavalier & Clay, 2000)─ピューリッツァー賞受賞 ・『サマーランドの冒険』(児童書・原題『Summerland』, 2002)
1988年の春のこと、信じられないほど若い作家が、大人になりかけの危険な時期を軽やかにくぐり抜けようとしている信じられないほど魅力的な5人の若者をめぐる、信じられないほど優雅な小説を発表した。『ピッツバーグの秘密の夏』は、レーガン政権が衰退していくなかで世に漂うフィッツジェラルド風な期待感を見事に捉えていた。だが結局、90年代は80年代の続編にすぎなかった。そして80年代とは、冒険といってもスノーボードに行く冬休み程度でしかない時代だった。そのような時代に賞賛されたのもつかの間、その後シェイボンは、流行を追うばかりの人々によって、不当にも忘れ去られてしまった。
中学生の神童が書いたように読めてしまうこともしばしばの作家だが、そのほとばしるような才気は、緊密な書きぶりによってしかるべく均衡が保たれている。彼の文章は、最良の意味において、苦心の推敲のあとをうかがわせる。歴史、書物、建築、今は亡きジャズ奏者や野球選手などへの自在な言及にしても、単なる見せびらかしではなく、それを純粋に楽しんでいるがゆえの力がある。2作目の『ワンダーボーイズ』は、初老にさしかかった作家が結婚生活と仕事の瓦礫の中を進んでいくさかを追う作品。『秘密の夏』よりも陰鬱で風変わりな色合いだが、同時に滑稽味も増している。短篇集は概して長編ほどの強い個性を備えていない。例えばチーヴァー(ジョン・チーヴァー)のような、宝石研磨師のごとき短篇作家がこの人は好きなのだろうなという感じはするが、本人はそういう作家ではないのだ。ただし、最初の短篇集『モデル・ワールド』の中には素晴らしい小品も見られる。『悩める狼男たち』ではフィッツジェラルド的作風をさらに深く追求し、若い夫婦がそれぞれ見知らぬ相手と踊ったり、往年のフットボールの英雄たちが若さというときが移ろうのをじっと見つめたりする、あらゆるパーティは今にも起きようとしている破局にほかならない世界が描かれている。
<See Also> シェイボンはジェイ・マキナニーとひとまとめに論じられることが多いが、それは誤りである。むしろイーサン・ケイニンの方が文体や気質においてずっと近い。ドナ・タートは『ピッツバーグの秘密の夏』をよりセンセーショナルに焼き直して『シークレット・ヒストリー』を書いた。
─『サロン・ドット・コム』アダム・グッドハート(斉木雅恵訳)
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