2017年09月28日(木) |
南アルプスで天然水を飲んだ話。 |
南アルプスの仙丈ケ岳に行ってきました。 初の南アルプス。 マイカー規制があり仙流荘から北沢峠へバス移動。南アルプスが遠く感じるのはこれだろうな。でも自然保護のためには大切なこと。
仙流荘〜北沢峠はピーカン晴れ。 北沢峠から小仙丈ケ岳方面へ登り始めてすれ違う人は「今日はよかった。全部見えた」と満足な表情。天気は下り坂なので早く樹林帯を抜けたい気持ちが高まる。
馬の背方面への分岐から少し上ると樹林帯が終わり、景色が広がる。 振り向くと甲斐駒ヶ岳が見える。とてつもなくカッコいい。雲に隠れたり出たりしている。
登っていく景色はハイマツの緑とナナカマドの橙色がとてもきれいなコントラスト。紅葉の山に来た!という感じ。夏の天候不順であまり紅葉は期待していなかったので嬉しかった。
写真を撮りながら進むので歩みがとても遅くなる。
ぜいぜいと斜面を登っていく。この小仙丈までの道のり、登り一辺倒で辛いはずなのに、どうしたことか意外と楽しく登れた。先月立山縦走や瑞牆山ではくたくたになったのに。多分、その二回に比べればだいぶ登りやすい山だということだろう。
瑞牆山でデビューしたミラーレス一眼のPEN e-pl8。今回は歩行中も共に行動した。標準レンズだけくっつけてきた。 ピントが合わせやすくて感動する。買ってよかった!!
小仙丈ケ岳山頂に出る。 目の前には北岳、間ノ岳…と延々広がる南アルプスの大パノラマ! 北岳は行ってみたい憧れの山のひとつなので、ようやく肉眼で見ることができた。 そして美しい仙丈カール。カール地形はいいね…氷河が残した贈り物。 富士山は見えなかったけど、本当に素晴らしい景色でここだけで大満足。
軽い昼食を食べて仙丈ケ岳の山頂へ向かう稜線を歩く。前は仙丈カール。振り向けば北岳…。
そして小仙丈から仙丈ケ岳へのコルから登り返したとき、その瞬間はやってきた。 その前からガスが出てきて、ハイマツの上をホシガラスが飛んでいた。 ホシガラス大好きだし、あぁ、ホシガラスはいっぱいいて天国みたいだけど、あの方には会えてないなぁと少し思っていた。 ガスがどんどん出て、景色が霞んでいって、山頂からの景色が心配だなぁと思いながら歩いていたときだった。
「……ラ!!!!!」
ハイマツと岩の間にアルプスのアイドル・雷鳥が姿を現した! 私のかすれた叫びに同行の3名も気がつく。みんなハッとして立ち止まる。 「もう一匹いる!」 「奥にもいる!!」 合計4羽の家族だった。 成長した雛が親鳥の後を追ってひょこひょこ歩いていた。 下山してくる男の人がいたので、急いで手招きする。ただならぬ私たちの様子に男性も雷鳥だと察する。「おぉ…初めて見た…」と呟いていた。 その後も男性3人組がきて、本格的な一眼レフで写真を撮っていた。そして、彼らも「初めて見た」と言っていた。 「よかったですね!!ラッキーですね!」と喜びを分かち合い、しばし親子を眺めた。親子はぴょんぴょんと岩を登って、やがて見えなくなった。 私たちも登るのでもしかしたらまた会えるかも、男性たち別れと歩みを進める。 そして、案の定、私たちの前に現れてくれた。 登山道をひょこひょこと登っていく後ろ姿が可愛すぎて悶絶した。子供はちょっとドジで岩の上で一回転んだ。野生生物にあるまじきドジっ子ぶりに悶絶。アイドル…。 親は凛々しいもので、時には岩の上に立ち止まって、「さぁ、シャッターチャンスですよ皆さん」と言わんばかりだ。 望遠レンズを持ってこなかったことを本当に本当に後悔した。 やがて雷鳥たちは消えていった。そこには満たされた幸福感が残っていた。
雷鳥の余韻に浸っていると気付いたらガスが晴れていて、もう目の前に仙丈ケ岳の山頂があった。 光当たる稜線は栄光へのプロムナード…。
そして山頂へ。やったー!3033メートル。登り切りました。 雲の隙間から少し景色が見えるくらいでしたが、あたりは明るい。記念撮影をしたり、登頂の喜びに浸る。反対側から道中抜きつ抜かれるしたカップルに再会する。ふたりとも軽装で山頂下の仙丈小屋に荷物を置いてきたらしい。 写真を撮ってもらったり、撮ってあげたりする。
すると同行者のIさんが「ん?あれってブロッケンなんとかだっけ…?」と呟く。 見下ろす位置のガスに小さな虹が出来てその中に人の影が見える「ブロッケン現象です!」私は叫んでカップルたちも呼んだ。 手を振ると虹の中の私も手を振った。 アルプスでよく見られる気象現象…と聞いたことはあるものの初めて見た。 でも1分ほどで雲が晴れて、見えなくなった。本当に一瞬の出来事だった。
紅葉がきれいで…北岳も見れて…雷鳥に会えて…ブロッケン現象まで…。 もう心は満腹だった。 それとは裏腹にお腹はぐぅと鳴った。
長くなったので続けばまた書きます。
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