上野 千鶴子
おすすめ平均 「おひとりさま」の中身 わたし、おひとりさまなんですけど イマイチでした… 元気が出ました ズバズバしてますが。
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おそらく上野氏は、庶民向けの売れる本にしたいという出版社からの要望に答えてしまったがゆえに、「おひとりさま」の現実について勘違いしたフリをする、という戦略をとっただけなのかもしれない。うーん、理由は何だかわからないが、とにかく、孤独の「肯定的価値」(solitide)を知っている人ならば、この本は要らないし、もしも知りたいのであればメイ・サートンの著作を読んだほうが有益だと思いました。それに、上野氏が述べていることとは違った思想・方法に拠って、すでに「おひとりさま」な状態を達成している人たちは大勢存在しているよな、と思ったり。。
たとえば、私の親戚には、「おひとりさまの老後」を実践している現在80歳くらいになる女性がいる。「友達もいるし趣味はあるし充実している」とのこと。その方は結婚はしたが子供はいない。なぜなら死別した夫がいわゆる「種無し」だったからである。現在では、「種無し」のことを「不妊症」「無精子症」と呼ぶが、この80歳の女性の感覚からしてみれば「種無し」とは日常に根ざした言葉であり何の問題もない言葉であるので、会話の中で彼女は、至ってふつうに「あの人は種無しだったからね、でも良い人だったのよ♪」というように「種無し」という言葉を使う。(何も種無しをバカにしているのではないのである。)
それと、ミクシイ・レビューをちょっと見てみたけど、この本の中の、
幸せな結婚とは、少し前までは、父親の手から夫の手へと、愛娘をひきわたすものだった。結婚式はいまでもそういう儀式を踏襲している。『一生、お嬢さんをお守りします』というのは、女にとって庇護者の引継ぎを意味する。(略)だれから守るんだか。『一生、ほかの男から守る』というなら、よけいなお世話。」
という文に対して、肯定的な評価をしている人がいたけど、それ、ちと違うと思いましたわ。
たとえばですね、「『一生、お嬢さんをお守りします』というのは、女にとって庇護者の引継ぎを意味する。」というのはその通りですが、本当に真の意味で「お嬢さんをお守りします」という言葉そのままに「守る」に専念した男性がいた場合、どう思いますかね?
すごく良い夫ではないですかね(笑)。そしてまた自分の娘を本当の意味で「守ることができる」男へと「庇護者の引継ぎ」ができる父親がいたとしたら、その父親は非常に娘にとって良い父親なんじゃないのかしら。
であるから、違った側面から見てみれば、問題は、「守る」ということが出来ない男がたくさんいることであり(家庭内でのDV・モラハラ・幼児虐待などをする存在価値がない男たちの存在。)、そういった下らない男に自分の娘を差し出してしまうアタマの悪い父親たちが多い、ということなのでは、と思いました、はい。
また、上野氏とは異なり「女の擁護者」(父親と夫)という言葉のニュアンスを、女性の立場に立って肯定的に捉えるとすれば、それは「犬」であり「奴隷」である。というか、要するに、自分が奴隷であり犬であり召使であるという自覚に欠けた男が多いのが問題だ、ということだと私は思うんだけどなぁ。。だから、上野氏のように「家父長制そのもの」を攻撃するのも手だけど、よりリアルな攻撃対象としては、家父長制を「運営する立場にはあるが無能であるがゆえに役目を果たせていない男たち」がいいのではないかな、と思いました、はい。
追記。
上で「犬」と書きましたが、ちと勘違いされる恐れがあるので追記。私は動物愛護家であり犬は大好きな人間である。犬だからといって人間より下という意味ではないのです。ついでに、良い記事を見つけたのでリンクしておきます。
♪虐待から救われて新しい家に引き取られた犬が1歳半の娘を巨大な毒蛇から救い、自らが毒牙に倒れる
「守る」とは、このドーベルマン(↑)のような行動を言う、と思う。
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