戯言、もしくは、悪あがき。
散る散るミチル
ミチルは果てた
充電切れたら
今夜も寝逃げ

2010年06月20日(日) a terre

a 伝えられるときに
伝えておかなければ
きみのてのひらを忘れそうだ
できることのすべて
きみはもう目覚めているの


窓の外では雨が降り始めていた
そのしたを
傘を忘れた人たちが
そそくさと先を急ぐ
みんな濡れるのは嫌いね
おろしたての服のすそが
どんなに身を縮めて守っても
あっという間に色を変えてしまって
それでもたどり着く場所があるうちは
抱きしめて足を動かしている
つめたい、つめたい雨だ
ぼんやりとやり過ごす日々に
冬を知らせにきたみたいに
1年が終わっていくのを
忠告に来たみたいに

できることのすべて
できることの、すべて
呪文みたいに繰り返す
指さきが凍り付いていた
靴のつま先が剥げてしまって
いったいいつこすったんだろう、なんて
考えていると肩にスーツ姿のひとがぶつかり
なにかつぶやいて通り過ぎていく
ごめんなさい、
いつも追いつけなかった
それでも歩いた
気づくと全然別の場所にいた
きみのてのひらを探すとき
あらゆる景色が消えて
わたしひとりになった
伝えなければいけないことが
たくさんあるの

もう謝らない
謝らずに済むように
目をひらいて胸を張って立とう
ねえきみはどこですか
わたしが見えたなら
手を振って
てのひらを
差し出して

できることのすべて
伝えたい言葉
もう
目覚めている

眠りの果てに
わざと傘を置いてきたの
振りそぼる雨
たしかなつめたさを
いまは一身に受けて
これからきみを
抱きしめに行く


 前の日。  INDEX  次の日。


小夜 [MAIL] [BBS]