読書記 |
頑張って読んでますよ。
『いつか響く足音』柴田よしき 自分の年齢の所為か、借金で追い込まれるキャバクラ嬢の女の子よりも、夫を亡くして一人息子からも絶縁された料理上手な未亡人里子や、3回結婚して二人息子がいるのに誰にも言えない秘密(罪)を抱えながら一人ぼっちで暮らす静子に感情移入しやすくて暗くなってしまった・・・ 作品としては新しい家族像を描いたものという感じでそんな暗い訳でもないのですが。読後感は結構ほっこりしているし。 (でもこれは、朱美というキャラに因るところが大きい) 結局人間は最終的に皆一人。けれども不思議な関係で共同体になることはできる。 さらりとした表現なのにどきりとしたのは、一番ほのぼのしたキャラである朱美が、恵理に対しての感情(愚痴)を恋人に吐露するところ。 そんな風に見えないのに結構ひどい事言ってるんだよね・・・そんなに注目するところじゃないんだろうけど、私は引っかかってしまった。朱美でもこんな事考えるんだな〜と。安心した気分。 そんなところも無邪気に見えるのがすごいんだけどね。
『世に棲む日日』司馬遼太郎 こんなに高杉さんを魅力的に書いて何か意味があるのかというくらい、魅力的なキャラで描かれていた高杉晋作の話。 と言っても作者は吉田松陰を書くのが目的だったそうですが。松陰先生もどうよと思ったけど高杉さんもどうよだった。 ていうか皆どうよって感じだった・・・・長州人・・・ もしも、薩摩、長州、会津(新撰組含む)、土佐で4つのタイプに分けた場合、私は絶対長州タイプであろう・・・言いたくないが・・・ しかしこれを読んだきっかけは神代直人が出てくると聞いたからであった。忘れかけていたけど。 神代は他だと「花神」にしか出てこないそうなので、次はこれを読もう。(既に借りてるんだけど) 私、人斬りが好きなんですよね〜・・・ 岡田以蔵は最愛ですが、河上彦斎や田中新兵衛、大石鍬次郎なども好き。中村半次郎だけはそんなに興味がないです。 人斬りの中で一番頭良さそうでまともそうだから、なんですが。 実在人物に対して失礼千万だけど、人斬りと呼ばれた方々は、皆一様に時代と運命に翻弄されつつ刹那的に生きている所に惹かれます。 半次郎は結構足が地に着いていらっしゃる・・・(人斬りというより軍人である) そんな人斬り好きの私が(これを公言したら、会社の上司に「大丈夫?」と心配された)唯一知らなかった人斬りが神代直人だったんですよね。 まあ「世に棲む日日」ではちょろっとしか出てきませんでしたけど。残念。
『あなたに贈る×』近藤史恵 友達が薦めていたので読んでみました。挿絵が今日マチコさんで嬉しかった! 最初は近未来のマリみてみたいな話かと思って読んでいたら(それもあたらずとも遠からずではあったんだけど)同性愛カップル(男同士の)が出てきてビビりました。いや知ってたんだけど。マリみてというよりはトーマの心臓の女版に近いかも。 キスによって感染し、発症すると二週間程度で確実に死に至る病が蔓延している近未来。全寮制の学校に通う高1の少女が主人公。 同じ寮の憧れの先輩(女性)がその奇病で急死する。彼女の死の真相を探りながら色んな方向に話は進みます。 設定としては非常に美味しいし心くすぐられるのですが、作品としては結構ダーク。 ラストのオチとかさ〜・・・登場人物誰も救われないよね・・・そんな中、前述のカップルが不思議な透明感をもって存在していました。 作品中の清涼剤のように(私には)。この二人が、私の脳内で某事務所の既に解散している某Gの某と某に変換されてしまい、楽しかったです。 変換は勿論18年ほど前の彼らですよ。年齢的にも容姿的にもぴったり。 当時この作品が存在していて、実写化されてたら主人公は持田真樹がいいな(これも18年前で)。
『アカペラ』山本文緒 久し振りに山本さんの本を読みました。ひりひりとする愛のカタチを描いた短編集。 表題作は、・・・主人公が担任の先生に助けを求めるシーンで、一瞬「妊娠したのか!?」と小説の人物に対して焦ってしまった。 すごく深い作品ですが、私はこの担任の先生、好きなキャラです。その印象が一番強い。意味はない。 「ソリチュード」が一番好きかなあ。これ映画とかに出来そうだけど。主人公のイメージはオダギリジョーです。 美緒は小西真奈美がいいな。主人公のハルイチと美緒の娘、一花の関係がすごく好き。おじさん(38歳ですが・・・)と少女っていいよね。 これはラストに救いがあって、ほのぼのとしたいい作品でした。 一番好きなシーンは、制服姿の一花を見て、ハルイチが己の過去の行為に愕然とするシーン。何かほろっとしました。 「ネロリ」は、題材が身に染みて何とも・・・・。コメントしづらいです。
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2010年12月10日(金)
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