ソラのミツカ

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2008年10月11日(土) 唐突ですが




どうでもいい話だが、小鳥の本名は珍しい。

名前はそうでもないかもしれないが(いや、でも同じ名前の人には会ったことは

ないくらいには少ないけど)、漢字とその読みが特殊である。

当て字とかではなく、ちゃんと読むのは読むらしいけど、これまで私の名前を

初読で呼べた人はいないし、100%の確率で『珍しい名前ですね』と言われる。

小鳥はこの年になるまで、自分の名前の明確な由来を知らなかった。

そりゃあ何度か尋ねたことはあったけれど、その度に


『かわいい子になるように、ってつけたのよ』(小鳥6歳)

『ぼんさん(お坊さん)に画数のいい漢字を教えてもらって、その中から選んだ』(小鳥中1)


だとか、妙に適当な返答しか返ってこなかったため、要はそう思い入れを込めた

意味があるんじゃないんだな、ということだけは理解し、以後なぁなぁにしたまま

ほったらかしといたのである。

で、今回帰省を機に改めて訊いてみたのだけれど、それは別に自分のルーツが

知りたいとかそういう意志があったわけでもなんでもなく、単に食事中の会話に

困ったための場つなぎの質問であった。


『何で私の名前は美果なの?』

『美果って漢字が気に入らないなら、これからは平仮名で書けばいいぞ』

『いやいや、そういう意味で聴いてるんじゃなくてさ、美果って漢字と読み、
 特殊やん。どういう経緯でこの名前に決まったのかと思って』


『んー……』


言いよどむ父。やはりそう明確な意味はないらしい。


『お兄ちゃんが○○だから、危うくお母さんが××にしよう、って提案した、って
 話は聞いた』


『ちょっと待て。それを言ったのは母さんじゃなくて、父さんよ』

『え、そうなの?』

『そう。でも母さんが、それじゃ兄ちゃんの続きみたいで可哀そうよ、って止めたの』


うちの兄は、四字熟語の上2文字から取った名である。

たとえば「誠心誠意」だとすれば、誠心で「まこと」、という具合でしょうか。

で、その流れで行くと、小鳥は誠意で「まい」とでもなってたのでしょう。

いや、そんなに可愛らしい名前ならいいけど、実際に付けられていたら小鳥は

絶対に自分の名前が嫌いだったに違いない、そういう四字熟語である。

「一心不乱」で、兄が一心で「かずし」、私が不乱で「づら」とか、そんな感じ。


『お父さーん!!』

『いや、○○っていうのはすごくいい意味じゃないか。○○××ってのは、すごく
 偉大な四字熟語だから…』


『それで完結してたらいいけどさ! 実際には△△(小鳥の妹)も居るんだよ!
 私とお兄ちゃんが○○××で完成してたら、△△はどーするつもりだったのよ。
 末子(すえこ)だの丸子(まるこ。句点の意)とでもしたわけー!?』


『そうよ、だからあんた、母さんに感謝しなさい』

『まぁ、それはいいけどさ。じゃあ、なんで美果なわけ?』

『お前、自分の名前好かんとか?』

『いやいや、そうじゃなくてさ。珍しいやん。読みが先に決まってたの、それとも
 漢字が先に決まってたの?』


『読み』

『それは、誰が決めたの?』

『父さん』

『で、なんでまた「ミツカ」?』

『※※(苗字)ミツカ、っていうのは、なんとなく響きの良かやっか』


要するに、やはり深い意味はなかったらしい。


『……へぇ。で?』

『その読みをする漢字をお坊さんにきいて、画数のいいのを選んだとさ』

『ふぅん』

『美香と美果やったら、美果の方が画数がよかったと』

『まぁ、その二つやったら美果の方が好きだけど』

『それも選んだの母さんよ。あんた母さんに感謝しなさい』



という経緯だったらしい。

30年目にして初めて知った事実であった。

姓名判断では最強だけど、やっぱり深い意味はなかったのね。






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小鳥 美迦 |MAIL

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