バイトの帰りに古本屋でCDを買った。 ゴスペラーズのアルバム。 別に買うつもりじゃなかったんだけど、目に入ったから。
真が大好きで、よく聴いていた。 真の運転する車でよく流れてた。
聴いて脳裏によぎるのは、いつも真の顔。 幸せそうに微笑む顔なのに、何処か切ない表情を滲ませていた。
私を抱くときの絞りだすような、真の声。 私のことを綺麗だよと言ってくれていた、その声。
それはもう私の心の中にしかないものだけれど。
「過去は振り返らない」と言っていた真のことだから もうそんなことも忘れてしまってるのだろうか
今でも、この日記に書いていたことが、長い夢だったかのようだ
真は今はどうしているだろうか
まだ傷ついて悩んでいるだろうか それとももう新しい道を見つけて歩いているだろうか
ほんの一瞬だけれども私に今の全てを捨ててでも一緒にいたいと思わせたあの男は
今は私の部屋に残るいくつもの痕跡の中にだけ存在している 翔の知らないうちに。
翔のことは大好きだけど、ずっと一緒にいたいけれど。 真の存在を私の中で消すことは、たぶんない。
それでも私は、前に歩いていく。
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