(渋谷のユーロスペース。実際に観たのはここではないけど、看板がでかかったので)
思いもよらず娘と映画デートとなりウキウキになった僕は、映画館でチケットを購入した後フードコーナーで
「なんでも買ってやるぞ、何がいいかナ?ポップコーン?チュリトス?」
メニューの高い順から全部買ってやるぞぐらいの勢いで浮かれポンチ。Rは
「いちごのクレープ!」
クレープスティックとかいうカワイイ選択であった。僕はホットコーヒーにした。
映画が始まると当然だがRと話すことはほとんどなく、スクリーンに釘付けだった。話の始め頃は戦時中とはいえ、まだ戦争はどこか他人事のようで、明るく楽しく主人公たちの生活が営まれている。しかし徐々に戦争の恐怖は身近になってきて、のどかだった生活の場を容赦なく破壊してゆく。爆撃音や銃撃音が耳に痛いほどであった。
また、この映画は出来るだけ当時の姿を再現しようとしていて、当時の写真などを参考にしているところも多い。物語中に遊郭のシーンが出てくるのだけれども、僕は遊郭跡地巡りが好きなのでそこは特に食い入るように観た。美しかった。
2時間ほどの映画はやがて終わり、僕は涙を流していた。余韻に浸っていたが照明が灯って席を立たなければならない。重い腰を上げて
「いやー、よかったね…パパは感動したよ…君はどうだった?」
と、Rに言うと、Rがまず口にしたのは
「なっが!」
であったのでずっこけそうになった。そうなのだ。これまでRが観てきた映画というのはポケモンとか妖怪ウォッチとか子供向けの短い映画しか観ていないのだ。大人向けの映画は初めてであり、内容もはRにはまだまだ分かりづらいものであったようだ。
「こないだ原作のマンガ買ってきたから読みなよ」
「うん」
そんな話をしながら映画館を後にした。そういえば、Rはずっとマスクをしていたので
「ちゃんと予防してるんだな。偉いな」
人が多いところでは風邪・インフルエンザ予防のためにマスクをしなさい、と日頃言われていることをきちんと守っているんだな、と褒めたところ
「いや、マスクしてれば誰か知ってる人がいても自分だって気づかれにくいから」
「へ?」
「パパと一緒のとこ見られるのがヤダ」
ガーン。近所の映画館だったので同級生がいないとも限らない。違う意味での予防だったのだ。
僕は存在すら許されないのだろうか。
君の世界の片隅に、ぐらいには居させてほしい…。
↓クリックお願いします↓
←これだけでもいいので押してね。
←こちらもできれば。
はてなアンテナに追加
今日もアリガトウゴザイマシタ。
←前・
もくじ・
次→
All Rights Reserved.Copyright(C)
エキスパートモード 2000-2005