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■渡る世間は鬼嫁ばかり。
2005年02月15日(火)
ホリデーの朝、ボケーッとしていたら

「私は朝から気持ちが悪いのに、
 あなたは何悠長にしてるのよーッ!」

いきなり金切り声を上げ、布団に潜り込み
オイオイ慟哭する嫁。僕は為す術を知らず、とりあえず
娘・R(1才)には嫁のそんな姿を見せまいと隣の部屋に
連れて行き、ピカチュウのおもちゃで遊んでいた。

泣き声はやがて聞こえなくなり、嫁はむっくり起き出し
布団を畳み始めた。

「…寝てないで大丈夫なのか?」

「寝てて治るものでもなし」

そろそろRを外で遊ばせる時間だよなあ、と考えていたのだが
嫁もてきぱきと外出の用意をするではないか。
…気持ちが悪いのではなかったのか?

公園で30分ほどRを遊ばせているとそろそろ昼飯時になった。

「あなた、お腹空かない?」

「ああ、空いたけど。どこか食べに行くか?何がいい?」

「何でもいい。何でも食べられる」

これまたケロッとした顔で言うではないか。
…もう治ったのだろうか?何か腑に落ちない。

というのも、嫁の体調の謎もさることながら、嫁の態度が
おかしいのである。経験上、嫁とバトルをした後は必ず
長い暗黒期が続く。嫁はまるで犬の野糞か吐瀉物を眺める
ような目で僕を見るし、会話すらないのである。

それが…店に入って飯を食い始めても普通に
僕の問いかけを受け答えしている。飯も食うが
人も食った嫁である。逆に怖かった。

ひょっとしたら今朝の嫁には、実家の裏山のお狐さんが
憑いていて、それが何かの拍子で離れたのでは…と
視点を変え、つのだじろう的な解釈も試みたのだが
嫁はようやく今朝のことを語り出した。

「実は、昨日の夜から朝にかけて気持ちが悪くてね…。
 今はそうでもないんだけど、ひょっとしたら婦人科系の
 症状かもしれない」

「それって、つ・ま・り…」

「これって、つ・わ・り…」

「えええええ?2人目かよ!」

「まだ分からないよ。他の婦人科系の病気かもしれないし」

「カンジタとか?」

「いやそれ違うし。痒くないし」

家に帰ってフームと唸った。嫁は買い物に出て、後から
帰ってきて何やらゴソゴソとやっていたが

「あなた、ほれ」

体温計に似たものをぬっと差し出した。そこには
「+」の文字が浮き上がっていた。

「何これ?」

「妊娠検査薬。陽性」

「…大当たりじゃん」

「いやいや、まだまだまだ…」

嫁は医者の診断を待たないと何とも言えないという態度を
崩さなかった。それどころか子宮癌とか流産とか子宮外妊娠とか
真っ先に最悪な予想ばかりを立てて不安に陥ってしまった。
まだ「おめでとう」はナシである。(だからどうぞ嫁にはご内密に…)

ともかく安静にしてなければなるまい。僕とRが公園で運動したり
暴れたりしても嫁は座って見学である。

これを体育つわりといいます。


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