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■邪欲の秋。
2004年10月15日(金)
夜中、遅い夕食を食べていたら娘・R(1才)が
ムクリと起き出し、デヘデヘと僕のところに
近寄ってきた。

「Rも食べるかい?」

ゴハンやポテトサラダをつまんで口に入れてやると
ニンマリ笑ってバクバク食べる。すごい食欲だ。
嫁がその様子を見て

「今日は人参も食べていたのよ」

僕のおかずにもある人参を指して言った。

「へえ、もうこんなもんも食べるんだ。僕は
 嫌いなのにすごいなあ」

渡りに舟とばかりにRに嫌いな人参を与えてみると
これもまたうまそうに食べる。頼もしき人参娘。

「今日はゴハンもおやつもたくさん食べたのよ!
 食欲の秋だからね!食べてもらわないと!」

嫁は張り切って言う。そうなのだ。Rはこないだの定期健診で
体重がまた落ちてしまっていたのだ。この時期痩せてしまうのは
あまりよくないことである、などと保健所の人に言われ
ショボーンとしていたのである。

そうか、もう秋なんだなあと僕は季節の移ろいを感じ

「じゃあ僕は性欲の秋だ!嫁、よろしく!」

秋の空のように爽やかに、親指をびっと立てて嫁に
ガッツポーズしてみたところ、嫁は

「また始まったよこの人は」

というなんとも言えない表情になり、やっぱり今日も
相手はしてもらえず悶々だけが溜まったままひとり
秋の夜長を過ごしたのであった。

天高く、玉肥ゆる秋。

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