人間初心者

引いてしまうタイプの『オタク』が、数か月前雇われた。人材の足りなさのあまり、苦し紛れの決断だったようだ。

バイト先には一見オタクは何人かいるが、常識があり他人とのコミュニケーションも違和感無くでき、人からも好かれている。(…いや、一人除く。そういえば彼女も人が足りなくて仕方なく雇われたんだっけ…)

しかし、その人達とは明らかに違い、履歴書には常識からは考えられないような、熱い想いが込められ、面接の時用紙に自分の性格や志望動機などを書かされるのだが、

●自分の性格は好きですか? →どちらでもない

●その理由を答えてください
→現在人生の帰路に立っているため。

…とか、わけわからん事ばかり書いていて、雇用前から皆引きまくっていた。

彼が雇われてからも、皆引き気味。気まずい空気が流れる毎日。何もかも普通じゃない。不自然なまでに決して目をわ合わせない。口調がおかしい。戸惑っている時「大丈夫?」と声をかけると、「はい、大丈夫かと、思われます。」って、わかる人に助けてもらえばすぐ終わるのに、どうしても一人で、試行錯誤しながらやろうとするから必要以上にお客様を待たせてたり。誰も関わりたがらなくなっていった。


そんなある日、事件は起こった。

いきなり彼から携帯にメールが届いたのだ。
『ごまふメールでふ☆三・ω・三ノ
 (××です)』

焦って他のバイト仲間に連絡をとると、「こっちにも来た!!」と。

非常時に備え、従業員の連絡先が記載されている一覧用紙があるのだが、どうやらそれを見て全員に送信したらしい。運悪く、同じ会社の携帯を使用している人にだけ届いたというわけだ。

「何がしたいの?!」「わけわからん!」「きもい!」一同大騒ぎ。バイト中はその話でもちきり。

たった二人、そのメールに返信してしまい、そのうち一人はもうメル友みたいになってしまったそうだ。女の子。「も〜勘弁してほしい〜!」って言っていたけど本人には言えず。気の毒に。

彼の年齢は21。あたしとタメだが、この年であれはないだろう。常識がなさすぎる。まるで初心者だ。

アルバイトははじめてらしい。親が「バイトしているなんて今まで知らなかった、どうかよろしくお願いします」とわざわざ挨拶に来た。とても心配そうにしていた。

以上の事から想像すると、彼は引きこもりか何かで長らく現世とは離れた環境におり、そろそろ真人間になりたいと思い立って、手始めに親には内緒でアルバイトをやってみた…ような。それならつじつまが合う。

けど彼は大学行ってるから引きこもり説は消えるんだよなぁ。
2004年01月04日(日)

にきにっき / にきーた