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2016年06月12日(日) キリン杯は「気の抜けたビール」

サッカーキリン杯決勝は日本(FIFAランク53位)が1−2でボスニア・ヘルツェゴビナ(同20位)に逆転で敗れ優勝を逃した。

日本は初戦、戦う意欲のないブルガリアに大勝したものの、決勝戦ではボスニア・ヘルツェゴビナの二軍に競り負けた。そもそも、この大会、来日する外国チームはA代表を名乗っているが、主力選手はいない。しかも日本が戦った2チームとも、ユーロ予選に敗退したばかりで、戦うモチベーションは失われている。一方の日本代表はほぼベストメンバー。決勝戦は本田(初戦も欠場)、香川が欠場したが、ホームなのだから負けてはいけない。

敗因はあいかわらずの守備の不安定さ。2010年の南アフリカ大会後、それまで日本代表のCBとして奮闘していた闘莉王、中沢が代表から退いた。以来、このポジションの人材が前任者を上回ることがない。2014年のブラジル大会は今野、吉田、そして、2年後のいま現在のレギュラーが森重、吉田。2大会継続してCBを務める吉田は明らかにスピードに難がある。抜擢された森重は総合的に世界レベルから遠い。今秋から始まるロシア大会最終予選までにこのポジションにおける欠陥を補修することはほぼ不可能。

つまり、日本代表はCBに欠陥を抱えたまま、アジア最終予選を戦う。アジアのレベルの低さに助けられてW杯予選を乗り切れたとしても、本戦での活躍はまったく期待できない。つまり、2012年以降、2018年まで、日本はCBの人材に恵まれなかったままということになる。

筆者は若手CBの積極起用を書いたけれど、〈U…〜五輪代表〜A代表〉という飛び級を認めない年功序列が浸透している日本サッカー界、若手は無視された。日本が2002年の日韓大会の成功体験に拘泥している間、世界では10代、20代前半の若手が世界的スーパースターになるのが当たり前になっている。日本と世界の差は広がるばかりだ。

そんななか、日本代表を世界に近づけたと大宣伝されてキリン杯が再開された。しかし、内容も意義も時代遅れ。代理店主導のイベントであって、代表強化にはほど遠い。そういえばスポンサーはビール会社だったっけ。その味わいぶりは、まさに気の抜けたビール。


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