2012年09月12日(水) |
サッカーW杯予選、日本は難関を突破 |
<W杯アジア最終予選:日本1−0イラク>◇B組◇11日◇埼玉
日本はイラクにホームで辛勝。多くの報道のとおり、イラクはエースのマフムードと攻撃の核ナシャト・アクラムをベンチにおいて、若手中心で先発メンバーを組んできた。この起用は、日本ならば本田と前田をベンチに置くようなもの。一方の日本も、香川がベンチ外(先発は清武)。試合前から、波乱含みとなった。
試合に入ると、イラクは日本のボランチ2選手に攻撃の2選手をマンマークに付け、センターラインから自陣に引くという異様な布陣。イラク側のいろいろな事情によるものなのだろうが、本番2〜3日前に日本にやってきて試合をするというのは相当きついのだろう。まともにやっても勝機はない、というジーコ監督の苦肉の策なのか。
このジーコの策略は、ホーム日本を相当リスペクトしたもの。イラク選手のコンディションを考慮すると、日本の速さ、パスまわしに対して、精神的かつ肉体的に“受ける”という姿勢の表れだ。自分たちのサッカースタイルを捨てて、相手日本の良さを消そうという判断だ。自壊行為だが、日本が混乱した結果生じるチャンスを生かそうという姿勢だ。自分たちのサッカーを壊す代わりに、日本の良さも出させない、負けなければいい、勝てば儲けもの――くらいの魂胆だったのではないか。
ところが、この奇策が前半、うまく機能した。執拗なマークに遠藤、長谷部が基点になれず、イラクのカウンターを受けてしまう。前半の決定機はイラクに3度あった。このうちの1回を決めていたら、日本は相当あわてたのではないか。イラクには残念な結果だった。
そうこうしているうちに、相手ゴール近くのスローインからの日本のサインプレーがうまくはまり、日本が楽々先制点を奪ってしまう。日本が1−0リードとなれば、ジーコの奇策は意味をなさない。後半はイラクのマンマークの精度が落ち、日本が試合を楽々とコントロールすることができた。ジーコの勝機は、日本が混乱していた前半にこそあった。
アウエー、しかもあまり良くないコンディションで試合に臨んだイラクが1失点で済んだのは、日本の攻撃がミスを繰り返したため。本田が決めていたら、3点以上は取れただろう。課題が残った。
この日、同組の強豪オーストラリアがアウエーでヨルダンに負けたため、来年6月の最終試合アウエーのイラク戦のころには、日本が予選突破を決めている可能性が高くなりそう。そういう意味で、このイラク戦勝利は予選突破の可能性を相当高めた。とにかく結果がすべてのW杯予選、日本は難関を突破したとみてよかろう。
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