Sports Enthusiast_1

2006年05月08日(月) K兄弟は八百長?

ボクシング界のスーパースターにのし上がったK兄弟。大阪西成出身の父子4人(父+3人の子供たち)がボクシングで世界を目指す。夢と希望に満ちた、サクセスストーリーのように見える。3兄弟の特異なキャラクター、派手なパフォーマンスも劇画的で、話題の少ないボクシング界にあって、人気回復の貢献度は極めて高い。
しかし、先日の「Kの日」の兄弟の2試合いずれについても、(巷の)ブロブの世界では、八百長説が囁かれている。
筆者はボクシングが大好きだし、かつて具志堅、浜田の世界戦の数試合をリングサイドで観戦し、対戦相手のコメントを取った経験がある。だから、総合格闘技に劣らず、ボクシングにはいまなお高い関心をもっている。だが、悲しいかな、この「八百長説」については、K兄弟の試合を見ていないし取材もしていないので、否定も肯定もできない。テレビ観戦で見た限りでは、K兄弟の対戦相手との実力差、相手のモチベーションの低さが確認できたにすぎない。
K兄の対戦相手は世界ランカー。実績からすれば、あんなに簡単にKOされるのかという疑問は残る。だから、「八百長」が囁かれるのだろう。それほどまでにK兄が強い、ということも言えるかもしれない。テレビ解説者各氏は、相手とK兄とは格が違う(相手の格が低いという意味)という。つまり、K兄の実力は、世界チャンピオン級だと断言しているのだ。プロが断言するのだから、「八百長」ではない、と言いたいところだが、テレビ解説者もテレビ局との契約があるだろうし、確証もなくこれは「八百長です」とは言えまい。ただ、解説者氏の「格が違う」という表現の裏には、「相手が弱すぎます」という本音が隠されているようにも思える。K兄が必ずしも強いとは言えない悩ましさが残る。
もう一つ考えられるのは、相手のモチベーションの問題、つまり、まともにファイトしなくても、カネさえ入ればいいや、という姿勢を否定できないことだ。ダメージを負って負けるよりは、早いラウンドで倒れたほうが楽は楽。グローブを合わせてみて、実力差もあるし、辛い思いをするよりは、プロの誇りを捨てて、極東の金満日本のテレビ局、観衆、スポーツマスコミが望むように、早いラウンドで倒れてみせた、というわけだ。失うものはなにもないどころか、多額のファイトマネーが入ればいいという計算だ。自分の国で厳しいファイトで勝利するよりは、遠い異国でKOされたほうが実入りがいいのだったら、どちらを選ぶかは議論の余地がない。
戦う前から1ラウンドで倒れる、という約束は交わされていないから、八百長ではない。日本中が待ち望んでいる結果を出したことだけが記録として残るだけだ。けれど、情況証拠が揃っているのだから、それを「八百長」というのだ、というご意見もあろう。
となれば、K兄弟はどこかで、その実力を日本のファンに証明すべきではないか。負けることができない状況の相手と戦って勝てば、八百長説は吹き飛ばせる。いろいろな選択があるとは思うけれど、手っ取り早いのは、アウエーで世界ランキング上位の売り出し中の選手とファイトすることだ。相手も世界を狙っているのならば、簡単に負けるわけにはいかない。そこで勝てば、K兄弟の実力が確実に証明される。八百長説を引きずりながら、いきなり世界タイトルマッチというのは、いかがなものか。挑戦者にふさわしいと認められて世界にチャレンジすれば、勝っても負けても文句を言う人はいない。(=換言すれば)この状況のまま日本で世界戦を行い勝ったとしても、あれは「八百長」だよ、と言い続けられるに違いない。ならば、一度、アウエーで、実力伯仲の真剣勝負をやってみれば・・・いかが。


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tram