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2006年05月04日(木) 浦和よ、なぜファイトしないのだ

Jリーグ第11節、千葉vs浦和は千葉が2−0で浦和を破った。両チームは対照的な存在。浦和は、「日本のチェルシー」といわれる金満クラブ。日本代表経験者を探せば、小野、三都主、長谷部、坪井の現代表を筆頭に、山田、永井、岡野、黒部・・・と目白押し。一方の千葉は巻、阿部の2人だけ。千葉のレギュラーは、ユース出身者や他チームを渡り歩いた苦労人、すなわち、叩き上げで占められている。しかも、控え選手のレベルが低いという理由で、ベンチ枠は一人空席だ。
試合は前半から千葉のペース。ドイツ行きを確実視されている三都主、小野の両選手は、千葉の坂本、佐藤にそれぞれマークされて、まったく攻撃に関与できない。特に小野は運動量が少なく、スピードに冴えがない。千葉の選手にお手上げ状態だから、W杯で対戦する豪州、クロアチア、ブラジルの代表選手との対戦における結果は見えている。小野は、ドイツは無理だ。筆者の基準に従えば、彼はW杯出場選手枠に入らない。
浦和はチーム戦術の面でも、工夫が見られない。三都主はこの試合なぜ、サイド攻撃を封印したのか。アウエーなので守備的な戦い方をしたともいえるが、1点リードされてからも攻めの姿勢を見せなかった。まったく理解できない。チームとしてカウンターを選択したようにも思えるが、それにしては、守備から攻撃への切り換えが遅すぎる。千葉のカウンターのカウンター(逆襲の逆襲)が恐くて攻めあがれないというわけか。
浦和の攻撃陣は、千葉の厳しいマンツーマンマークにいらだって、肘打ちを多用していた。この試合の主審はSRのY氏だけれど、浦和の肘打ちを筆者が気づいた範囲で3回見逃していた。さらに、ポンセはイエロー2枚で退場させるべきだったが、1枚出した後の後方からのファウルに2枚目が出せなかった。率直にいって、Y氏のレフリングのレベルは低い。
下手な主審、汚いプレーを多発する浦和の選手と、試合が壊れる可能性が高かったが、試合を救ったのは千葉の各選手の頑張りだった。特に巻のポストプレーの技術の高さ、ゴール前のファイト、そして前線の守備の頑張りがすばらしかった。巻は筆者の選考基準に従えば、代表チームにおける必要度という尺度において久保より上だ。
ももちろん、巻一人で千葉が浦和に勝ったわけではない。千葉の全選手の運動量、精神力、サッカーに対する執着心、規律の高さに敬服するばかりだ。こういう試合を数多く経験することが実は、代表強化なのだ。海外クラブでベンチにも入れず、広告塔としてしか機能しない選手よりも、Jリーグクラブの下からた這い上がり、厳しい練習を経て、チーム戦術に忠実にプレーする選手こそが尊い。出場選手全員が、1試合1試合手を抜かず全力で取り組み、豊富な運動量と闘争心で観客を魅了する。それこそが真のスポーツエンターテインメントではないか。カネにまかせて代表選手を集めながら、相手のファイトに腰を引くような「日本のチェルシー」など、日本サッカーにおける有害物質だ。
筆者が浦和のフロントなら、選手にファイトを命じないブッフバルト監督をクビにする。ファイトしない(日本代表)の小野、三都主、長谷部をゲームに出さない。この試合、真剣にファイトしていたのは、ポンセ、ワシントン、トゥーリオ(日本国籍だが)のブラジル人だけだった。
浦和のサポーターはJリーグで最高だといわれる、人数も多いし応援も組織化されている。しかし、彼らがこんな試合で満足するのならば、浦和サポーターは素人集団=烏合の衆だ。浦和サポーターが試合後、浦和の選手にブーイングを浴びせたかどうかしらないが、「暖かい拍手」で迎えたとしたら――浦和の腰の引けた、闘争心のない、お嬢様サッカーを許容するのならば――浦和サポーターも、日本サッカー界の有害物質だ。プロなのだから、もっと厳しさを求めなければ、日本のサッカーはだめになる。


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