Sports Enthusiast_1

2006年03月03日(金) 4−4−2は無理

前に書いたことだけれど、日本の弱点が4−4−2の両SB、とりわけ、左SBの三都主にあることは明白だ。Web Hochiが伝えるところによると、三都主が所属する浦和レッズのブッフバルト監督は、「アレックスはDFラインに入ると良さが消える。浦和では高い位置でプレーし、攻撃力を生かすはずだ」とJリーグでの復活に太鼓判を押したという。
また、辛口評論家のセルジオ越後氏は、Nikkansports.comの越後氏のブログでボスニア戦を次のように評した。
「日本の両サイドは攻めていなかったが、逆に攻められ続けていた。特に三都主のサイドはフリーパスだった。米国戦もそうだったが、今回で日本の弱点は世界的になってしまった」
日本代表の4−4−2システムは、相手が攻めてこないアジア向けのレベル。W杯欧州予選で敗退したボスニア代表のサブメンバー程度で機能不全に陥る。その理由は、相手が日本を攻めるからだ。日本のSBが攻撃参加を繰り返せば攻撃力は高まるのは当然だが、相手だって守りが薄くなったサイドを攻めてくる。1対1のレベルはもちろんのこと、相手のスピード、運動量、コンビネーション、つまりチーム力が日本を上回れば、日本のSBは弱点となる。三都主の守備力が弱ければ、サイドで耐えられなくなる。しかも、日本は本番前の米国戦、ボスニア戦を通じて、左SBの弱点を世界的に開示してしまった。
筆者はトルシエが4−4−2を採用しなかったのは、日本にSBが育っていなかったからだと思っている。ジーコは4年間で三都主、加地が世界的なSBに育つと思ったようだが、SBは、資質のない選手が時間をかけたからといって、うまくなるポジションではない。左SBとしてなら、三都主よりも村井(千葉)の方が可能性があった。4年後ならば、F東京の鈴木(規)がその資質からみて、日本代表に育つ可能性がある。選手の特性をみてシステムを使い分ける、というのは正論だが、相手あってのサッカーだ。弱い相手で機能したからといって、W杯で機能するわけではない。
日本代表はホームで、遠路はるばるやってきて、フラフラになった「○○代表」に勝ってうかれ、レベルの低いアジア代表に辛勝してここまできたけれど、実力からみれば、俊輔が活躍できる世界60位のスコットランド程度だと思う。アウエーならば、日本はスコットランドにも勝てまい。
日本代表は地理的な条件から、強豪とアウエーで戦うチャンスが少ない。日本代表の強化策をイメージでいえば、年間最低10試合は欧州・南米・アフリカの強豪国とアウエーで親善試合(テストマッチ)を戦いたい。4年間で40試合だ。国内試合は20程度でいいのではないか。もちろん、FIFA公認のW杯予選、アジア杯等の大会等(予選を含む)がこれら親善試合に加わることになる。日程的に相当難しいか・・・
でも、筆者が常々当コラムで指摘し続けてきた日本の真の課題(弱点)が、アウエーの米国戦、ボスニア戦の2試合を通じて明白になったことは、だれもが認めてくれるはずだ。いま現在、日本がW杯ドイツ大会の予選リーグを簡単に突破できると思っている人は、おそらくいない。


 < 過去  INDEX  未来 >


tram