は鹿島が延長Vで清水に競り勝った。お目当ては韓国代表のアンジョンファン。先発である。アンの調子はいまいちであった。得点シーンに絡んだのは1回。それが三都主のゴールのアシストだった。後半終了ちかくで交代。調整段階だろう。放送の解説者は、「積極的な守備によるチームへの貢献」を挙げ、まずまずの評価をしていた。その点は同感である。 それにしても鹿島はしぶとい。ボランチ、アウグストの攻撃参加、切り札長谷川の決定力、中田のロングボール、攻撃参加など、多彩な攻撃力をもっているし、タレントも豊富だ。そのなかで一人蚊帳の外なのが、FWの柳沢である。得点の雰囲気がない。この選手に欠けているのは、執念である。ゴール近くでうまくプレーしようとする。スタイリストなのだ。自分で打つべきタイミングでもフリーの選手にパスを出す。確率をもとめるのだ。そうかと思うと、フリーになると強引にシュートを打つ。これは執念がありそうにみえるが、その精神構造は、一般に言われているからそれに従っているのにすぎないのである。「FWはゴールがみえたらシュートを打て」と。優等生なのである。だから彼には、精神構造の改革が一番なのだ。 どうすれば改革できるか―。こたえは簡単、環境を変えることだ。鹿島を離れることが大切。アントラーズはJリーグのなかではいろいろな面でいいクラブだといえる。優秀な選手が集まっているので競争も激しい、だから強い。才能のあるものは優遇されているし、地元のサポートもある。 柳沢はそのレギュラー。環境は申し分ないのだが、それが彼の才能の発露を妨げている。もっと強いチームにいくべきなのだ。 柳沢は才能のある選手。才能を買われて鹿島に入団。順調に成長して鹿島のレギュラー、そして、日本代表に。W杯にも出た。順風満帆すぎるサッカー人生だ。それがいけないとはいわないが、壁を越えられない理由の1つだと私は考えている。 たとえば、広山のように、ポルトガルリーグに行くのもいいかもしれない。ポルトガルを知らないので、これは想像にすぎないが、そこには未来のフィーゴ、ルイコスタらを夢見たテクニックに優れた若者がいっぱいいるに違いない。上を目指すことだ。月並みには、向上心、挑戦する気持ちとか表現できるものが学べるだろう。日本ではあまり注目されていないのも、逆にプラスに働く。いきなり、セリエA、スペイン、プレミアにいくより、柳沢の精神にいい影響を与えると思うのだ。条件など無視して(プロだから無理か?)、一日も早く日本を離れることだ。
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