職業婦人通信
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2007年06月01日(金) 自分の番

かれこれ1年ほど前に
職場で、ひとつ年上の先輩が妊娠した。

まだ私は結婚したてで
「子供は欲しいけど、もうちょっと先かなぁ」
ぐらいに思っていた頃の話である。

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この妊婦先輩、ツワリがキツいとのことで
妊娠2ヶ月にして上司に妊娠をカミングアウトし、
交渉して時短勤務を勝ち取った。

毎日、10時ぐらいに出勤し、
16時ぐらいには帰る。

で、この妊婦先輩は、
職場ではじめての妊婦さんであると同時に
他の女子たちからえらい嫌われていた。

理由はまぁ色々あるが
本筋とは関係ないので割愛。

特に先鋭的に妊婦先輩を嫌っていた人が一人。
この人は職場の特攻隊長と(陰で)呼ばれており

嫌いとなったら大嫌い、
地の果てまでも嫌いぬく、
誰がなんと言おうと私ゃコイツを許さないもんね、

というタイプの人。
こういう突っ走るタイプの人っているよね。学校にも職場にも。

この人が
妊婦先輩が帰った後に
職場中に響き渡る大声で
毎日毎日、徹底的に文句をつけるのであった。

いわく
○妊娠は病気ではない
○ツワリは病気ではない
○私の友達も、ツワリでキツくても会社を休んだことはなかったわよ
○時短なんて甘えでしかない、言語道断

だそうで、

坊主憎けりゃ袈裟まで憎い、
妊婦憎けりゃ赤子まで憎い、

という勢いである。

たとえば、妊婦先輩が、この特攻さん(仮称)に
時短にしたことで迷惑かけてるならともかく、
何の迷惑もかかってない。

にも関わらず、好悪の情だけで
そういうことを平気で言える特攻さんが
私にはオニに見えた。

妊婦に理解がない人は、なにも男性ばかりではない。

そんなある日。

やはり妊婦先輩は16時に帰り、
また、特攻さんがいつもの文句を並べ立てると
あるおじさんが一言だけ、ぽつりと言った。


「あのさ、そういうことばっかり言ってると
 自分の番になったとき、自分にそっくり帰ってくるけど
 それでもいいの?」


私はまだ妊娠していない頃だったけど、
心の底からそのおじさんに拍手を送った。
(特攻さんが怖かったから、心の中でだけだけど)

でも特攻さんは
「私のお母さんはツワリなかったから
 私は絶対大丈夫なんですっ」
と言い切り、
おじさんを睨みすえたのであった。

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その後、私は妊娠したけど
ツワリがきつくても会社を休まないし、
時短なんて考えたこともない。

特攻さんに嫌われてはいないと思うけど
やっぱり、自分のいない間に
もし非難されたら、って思うと
小心者の私にはまずムリ。
幸い、私のツワリは軽かったからまだ良いのだけど。

個人差のある、他人のツラさを
一括りに非難し、職場で声高に言い募ることが
結果的に他の女性の首も絞めているということを
特攻さんは知っているのだろうか。

そして妊婦となった今、私は
将来、特攻さん本人が妊娠し、
ツワリが結構大変になることを
心の底から願ってやまない。

考えなしに他人を非難すると
自分の番になって、それが返ってくるのだということを
ぜひ思い知っていただきたいものである。

・・・と、まぁ、
そういうことを考えている私も
じゅうぶんオニなんだろうけどさ。


千代子 |MAIL
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