職業婦人通信
DiaryINDEX|past|will
かれこれ1年ほど前に 職場で、ひとつ年上の先輩が妊娠した。
まだ私は結婚したてで 「子供は欲しいけど、もうちょっと先かなぁ」 ぐらいに思っていた頃の話である。
----
この妊婦先輩、ツワリがキツいとのことで 妊娠2ヶ月にして上司に妊娠をカミングアウトし、 交渉して時短勤務を勝ち取った。
毎日、10時ぐらいに出勤し、 16時ぐらいには帰る。
で、この妊婦先輩は、 職場ではじめての妊婦さんであると同時に 他の女子たちからえらい嫌われていた。
理由はまぁ色々あるが 本筋とは関係ないので割愛。
特に先鋭的に妊婦先輩を嫌っていた人が一人。 この人は職場の特攻隊長と(陰で)呼ばれており
嫌いとなったら大嫌い、 地の果てまでも嫌いぬく、 誰がなんと言おうと私ゃコイツを許さないもんね、
というタイプの人。 こういう突っ走るタイプの人っているよね。学校にも職場にも。
この人が 妊婦先輩が帰った後に 職場中に響き渡る大声で 毎日毎日、徹底的に文句をつけるのであった。
いわく ○妊娠は病気ではない ○ツワリは病気ではない ○私の友達も、ツワリでキツくても会社を休んだことはなかったわよ ○時短なんて甘えでしかない、言語道断
だそうで、
坊主憎けりゃ袈裟まで憎い、 妊婦憎けりゃ赤子まで憎い、
という勢いである。
たとえば、妊婦先輩が、この特攻さん(仮称)に 時短にしたことで迷惑かけてるならともかく、 何の迷惑もかかってない。
にも関わらず、好悪の情だけで そういうことを平気で言える特攻さんが 私にはオニに見えた。
妊婦に理解がない人は、なにも男性ばかりではない。
そんなある日。
やはり妊婦先輩は16時に帰り、 また、特攻さんがいつもの文句を並べ立てると あるおじさんが一言だけ、ぽつりと言った。
「あのさ、そういうことばっかり言ってると 自分の番になったとき、自分にそっくり帰ってくるけど それでもいいの?」
私はまだ妊娠していない頃だったけど、 心の底からそのおじさんに拍手を送った。 (特攻さんが怖かったから、心の中でだけだけど)
でも特攻さんは 「私のお母さんはツワリなかったから 私は絶対大丈夫なんですっ」 と言い切り、 おじさんを睨みすえたのであった。
----
その後、私は妊娠したけど ツワリがきつくても会社を休まないし、 時短なんて考えたこともない。
特攻さんに嫌われてはいないと思うけど やっぱり、自分のいない間に もし非難されたら、って思うと 小心者の私にはまずムリ。 幸い、私のツワリは軽かったからまだ良いのだけど。
個人差のある、他人のツラさを 一括りに非難し、職場で声高に言い募ることが 結果的に他の女性の首も絞めているということを 特攻さんは知っているのだろうか。
そして妊婦となった今、私は 将来、特攻さん本人が妊娠し、 ツワリが結構大変になることを 心の底から願ってやまない。
考えなしに他人を非難すると 自分の番になって、それが返ってくるのだということを ぜひ思い知っていただきたいものである。
・・・と、まぁ、 そういうことを考えている私も じゅうぶんオニなんだろうけどさ。
|