職業婦人通信
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2004年04月07日(水) 哀愁ギックリ腰

ヨン様、お忍びでロータスへ。
ちぇっ、3日前にロータス行ったのに・・・。
昨日も行けばよかったわねぇ(オバさん風に)。

それにしても「ヨン様」て。杉様(杉良太郎)じゃあるまいし。

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東京証券取引所へ行って来た。
千代子の会社が上場することになり、その「上場認定証」なるものを
受け取るという副社長のお供に随行したのである。

副社長は、偉い人なのにもかかわらず、お付きの秘書も
運転手もなく、電車で移動。

千代子30歳、東京在住歴8年。
しかし、いまだに地下鉄の乗り継ぎが頭に入ってないので
「随行する」といってもほとんど副社長が私を引率している格好に。
おまけに副社長はめちゃくちゃせっかちなので
その歩みに遅れないよう、小走りに後を追う千代子であった。

無事認定証の授与式を終えた後、東証の人に
「これもお渡ししてますので」と、なんだかえらく重いものを渡された。

それは商業の神様だとかいうマーキュリーの彫られた
重い重いブロンズの記念盾。
「上場記念」と、重々しく彫られているシロモノである。

そんな重いものを(男性とはいえ)副社長に持たせるわけにもいかず、
「ワタクシめが持たせていただきます」とばかりに
エイヤと盾の入った紙袋を持った瞬間、腰に鈍い痛みが走り、
「ぐへ」
と変な声が出てしまった。軽度のグッキリ腰である。

しかし、副社長に「ワタクシ、ギックリ腰でこんなもの持てません」
などと言えるはずもなく、何食わぬ顔をしてバカでかい紙袋を肩にかけ、
東証を後にした。

副社長は
「キミ、大丈夫?僕が持とうか」と優しい言葉をかけてくれたものの、
相手は副社長である。やはり持たせるわけにはいかない。

歩みの速い副社長に合わせて小走りに茅場町の駅についた頃には
軽く意識が遠のき、変な汗が出てきていた。

副社長は私が重い荷物を持っていることなど忘れているらしく
気軽に色々話しかけてきてくれるのだが、
正直こちらはそれどころではない。

にもかかわらず、副社長の話は次第に熱を帯びてエスカレートし、
「あたしみたいなヒラ社員に、そんなネタをバラしていいのであろうか・・・」
と、こちらが危ぶみたくなるような内幕話をしはじめた。

普段の千代子ならばうまく合いの手のひとつも入れられるところであるが
腰の痛みに打ち震える千代子にその余裕はない。

ゆえに
「なるほど〜」とか「ハァ」といった気の抜けたような返事しかできず、
額を伝う変な汗をぬぐいつつ、ずっとうつむいて電車に揺られていた。

副社長が「桜がキレイだねぇ」と、電車から見える桜を指差したときも
私には桜の色はモノクロでしか見えず、
「ハァ」と、これまたバカな返事しかできなかったのである。

(一万円払ってもいいから席に座りてぇ)
と、心では絶叫していたが、残念ながら席はひとつしか空かず、
「どうぞ副社長、おかけください」と譲り、
副社長が「いいよ、キミそれ重いんだから座んなさいよ」
と言ってくれても、やはり千代子は痩せても枯れてもサラリーマン。
副社長を立たせて自分が座るなどということができるはずもないのであった・・・。

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こんな苦労をして持って帰った記念盾にもかかわらず、
会社の人々は
「ふーん、なんか変なのー」
「ムダにデカくてこんなの置くトコないよね」
と、誰も喜ぶ人はなかった。

散りゆく桜に思ふ宮仕えのむなしさよ。


千代子 |MAIL
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