死ぬのは最後の手段でした。 少しでもあたしを想ってくれていたのならば悲しんでくれるかと。 愛していてくれたころのように泣いてくれるかと。
でも幽霊となったあたしが見た姿は悲しむことも喜ぶこともなく淡々と事実を受け入れるあの人でした。 1ヶ月見守りましたが、彼女と変わらず笑いあうあの人でした。
その程度か・・・。 幽霊となって今では重力など関係なく、それでもとても自分の存在が軽薄に感じました。
生き返ったとき「このバカっ!」と泣きながらあたしを覗き込んでいる友達がいて、悪くないなと思いました。
あたしと関わったことを後悔する人はたくさんいる。 心を病んでいて周りの人を振り回すから、周りの人は疲れ果ててしまうのだ。 そして最終的には去っていく。 「もう付き合ってられない」と。
だからあたしは木の枝になろうと思った。 何も求めず、ただ穏やかに。 大空を飛び回る鳥たちが時々羽を休めるために立ち寄る、そんな木の枝に。
前にあたしの不幸の上に成り立つ幸せは許さないって言ったけれど、一度死んでみて考えが変わったよ。 あたしが不幸になるくらいであなたたちが幸せになれるのなら、あたしは不幸のどん底にでも飛び込もう。
溢れだす「愛している」。 友達も家族も恋愛も皆ぜんぶひっくるめて。
愛している。
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