いつかどこかで。

2006年04月04日(火) 晴れ。

むかしむかし大好きだった人がいた。
小学5年の冬休みに引っ越して転校初日の事だった。
集団登校の学校で自分が一緒行く人達を待っている時に、
その人はボクの目の前を通って行った。
冬の強い朝日を浴びて素裸透き通るように白く見えて綺麗だった。
学校に着いた時にその人は同じクラスにいた。
それが初恋であり一目惚れだった。

中学に入ったボクはいつの間にか、
一番好きな人じゃ無い人と平気で付き合えるようになっていた。
背伸びをしたかったのかもしれない。
自分は大人なんだと見せたかったのかもしれない。
君が一番好きな訳じゃないと傷つけた人もいた。
それでもボクはそんな付き合いをやめなかった。
一番好きなのは初恋の人。
その人と付き合えれば他の人なんてどうなってもいいと思っていた。

高校3年の12月23日。
丁度誕生日の日。
初恋の人に告白した。
他の人になら色々な言葉を沢山並べられたのに、
その人の前では何も言えなかった。
結局大して伝えたい事も伝えられなくて初恋は終わった。
それでもボクには結構ショックだった。
誰かを傷つけてきた事への報いなのかな。

12月31日。
ヤクザをやっていた先輩に東京に連れて行かれた。
ボクが振られてショックを受けているのを誰かに聞いたらしい。
お金を渡されて渋谷のホテルに入った。
そこでホテトル嬢を呼んだ。
初めてお金で人を抱いた。
女ってこんなもんなのかって思った。
そして自分自身が嫌だった。
お水で働く女も風俗で働く女もボクは嫌いだった。
そういう仕事をする人をボクは軽蔑していた。
もちろんお金で女を買う男も嫌いだった。
でもお金で買った時点でボクは自分が嫌いな人と同じ人間になった。

卒業が間近の頃。
初恋の人から会いたいと連絡があった。
友達がボクが何も伝えられ無かったのを知って、
彼女に会って色々言ってくれたらしい。
でもどんな顔をして会えばいい?
ボクは人をお金で買ったんだよ?
醜い人になってしまったんだよ?
会う資格は無い。
そう思った。
だから会わなかった。
そして彼女とはそれっきりになった。

高校を卒業して東京にでた。
ボクはまだ初恋の人を引きずっていた。
それを忘れたくてテレクラやら伝言に手を出した。
中学生や高校生やOLや普通の人から人妻まで。
色々な人と知り合っては関係をもっていった。
出会っては消えて行く。
誰かと付き合いたかったわけじゃない。
だから誰とも付き合いはしなかった。
ただ心にある虚無感を取り除きたかった。
でも誰かと関係を持つたびに心に入ったヒビがどんどん大きくなって、
心がボロボロになっていくのがわかった。
どんどん自分がなりたくなかった嫌いな人になっていく。
それと同時に女を信じる事もできなくなってきた。
結婚してるのになんでそんな事ができるの?
彼氏がいるのになんでそんな事ができるの?
初めて会ったばっかりなのになんでそんな事ができるの?
ボクが言える筋合いじゃない。
ボクもそんな女と同類なんだ。
繰り返すたびにヒビが増えていく。

そんな状態に耐えれなくなってボクは実家に帰った。
高校卒業と同時に親は引っ越していた。
ボクにとっては友達も知り合いも誰もいない土地。
ここには過去のボクを知ってる人は誰もいない。
親の仕事の関係で家にはパソコンがあった。
HPを作ってみてこの日記と同じように思っていたことを書いていた。
チャットで知り合った人にHPを教えているうちにNETの友達が増えた。
その友達の友達が掲示板に相談事を書いてきた。
相談に乗ってるうちに仲良くなった。
自分と波長がよく似ている人だった。
ボクの過去はHPに書いてある。
それを知った上で慕ってくれた。
だからその人と付き合うことにした。
初めての遠距離恋愛だった。
ボクは束縛されたりするのが嫌いな人ではない。
むしろ何かしらそういう反応をしてくれたほうが、
自分の事を想ってくれているんだって感じられる。
でも遠距離というすぐに会えない距離で束縛されるというのが、
だんだんと嫌気がさしてきた。
近くにいればすぐにでも会いに行って安心させてあげれる。
でもそれはどうやってもできない。
そんな時に知り合った人妻と関係を持ってしまった。
ボクの弱さが彼女を裏切った。
だから他に好きな人が出来たと言って別れた。
嫌いだったわけじゃない。
せめて近くにいてくれたらって今でも思う。
遠距離はもう2度としないと心に誓った。
彼女を傷つけた事へのせめてもの償い。

人は自分に無い物を持ってる人に惹かれる。
だからボクは純粋な人に惹かれる。
純粋なんて遠い昔に捨ててきてしまったもの。
ボクにそんなものがあるわけがない。
地元のチャットで知り合って、
その人にはその時別の好きな人がいて最初は色々と相談にのっていた。
思い切って告白したけど振られたと言ってきた。
少しでも元気づけれたらと毎日のように連絡を取り合っていた。
いつしか自分の過去もその人に話すようになって、
「そんな女の人ばかりじゃないよ」と言ってくれた。
その言葉を信じるようにその人を信じて惹かれていった。
話していて感じられる純粋な所が好きだった。
しばらくして会ってその後すぐに付き合うようになった。
「自分は裏切らない 信じていいよ」そう言ってくれる言葉を信じていた。
この人と結婚したい。
一生傍にいれほしいと思うようになっていた。
でも別れは突然やってきた。
他に好きな人ができたって言われた。
別れたくないとは言ったけど考えが変わる事無く別れた。
ボクは言葉ではあまり言えなかったけど、
君が思っている以上に君の事愛していたんだよ。

最後に彼女が人は変わっていくものだよと切り捨てる様に言った。
その時ヒビだらけの心が砕けた。
どんなに想いあっていてもそれは永遠には続かない。
どんなに信じてもそれは裏切られる事への前触れ。
どんなに良い人と出会ってもそれは別れへの1歩。
どんなに離れたくないと願ってもそれは永遠に叶わない願い。
人は変わっていくもの。
ボクが好きだった彼女はもうこの世のどこにもいない。
ボクが思い描いてた未来は実現不可能な夢。

みんなそういう風に変わっていくんだ。
昔自分の望まない自分に変わってしまった様に、
傷つけたり傷つけられたりしながら、
良い方に悪い方にと変わっていくんだね。
ボクは自分自身を含めて人の嫌な部分を見すぎた。
これ以上見るのも嫌だし昔のようになるのも嫌だ。
だから全てを断ち切る為に、
あの日あの場所で手首を切った。
切ったとき痛いというより熱いという感覚。
手首が血管が脈打っているのがわかった。
指を伝って周りの雪を赤く染めていく自分の血を見ながら、
これで全てが終わると思った。
終わってほしかった。
でも終わらなかった。

あれから傷は沢山増えたけど悪夢はまだ終わらない。
幸せなんていらない。
幸せになれるわけがない。
なったとしてもその幸せもきっと永遠には続かない悪夢。
何もいらない。
だた静かに眠っていたいだけ。
永遠に何も感じず何も見ず眠っていたい。


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