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沙夜



 ごめんね...2

雨降り。
彼の折り畳み傘は、長いこと使ってなかったから
骨の部分がギスギスしていてなかなか開かず手間取った。


苦労しながらようやく開くこと出来て
私も自分の持っていた折り畳み傘を差し
彼の後ろについて歩いた。


ふと。
彼の傘の布部分にある、タグに目がいった。


PLAY BOY


・・・・・ぶっ。


ものすごい勢いで可笑しさが込み上げてきて
私はそれを押さえることが出来なかった。


茶系のチェック柄のその傘と、彼の雰囲気は合っていたけれど
PLAY BOYという言葉は、傘にも彼にも不似合いだった。


ひーひー笑う私に、彼はきょとんとして「どうしたの?」と尋ねる。


だってー。か、傘に、プレ・・・プレイボーイって書いてある〜。
全然似合わないよ〜。



私がその後もずっとずっと笑い続けていたものだから
彼をムッとさせてしまった。


すたすたすたすたすたすたすたすたすたすた。


彼は早足で、どんどん先に歩いて行ってしまった。


二人の距離がどんどん離れて
このまま置いて行かれたらどうしようと頭をかすめ
さすがのバカ笑いも沈静化した。


もし、角のところで彼が足を止めて
振り返ってくれなかったら、私は…。


あの時は、ごめんね。


その後、彼の傘を差すのはやめて、私の傘で相合い傘をした。
私の折り畳み傘は、開いても開いてもすぐ
へなへなとしぼんできちゃう代物だった。


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って、二人で文句を言いながら、雨の中、いっぱい笑った。


2003年02月16日(日)
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