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沙夜



 Birthday...4

そのフレンチレストランは、厨房がガラス張りで
客席から見渡せる造りになっていた。


店内は若い女性のグループや、カップルで賑わっていて
別の個室では、ウェディングパーティーも開かれていた。


お誕生日おめでとう。

ありがとう。


彼はビール、私はキール。
そっとグラスを合わせ乾杯した。


ゆっくりとした時間の中で、前菜やメインを味わう。
最後のデザートを、おヒゲのギャルソンが運んできた。


「お誕生日おめでとうございます! 」

(……!?)


お皿の上の苺タルトには、火の灯った細いロウソクが1本立っていた。
そしてケーキ皿にはチョコレートで
「誕生日おめでとう(フランス語で)沙夜様」と書いてある。


「本日は沙夜様のお誕生日だそうで。おめでとうございます。
 さ、ローソクを吹き消して下さい」


言われるままにローソクを吹き消すと、彼とギャルソンとで
拍手をしてくれた。


ケーキをまじまじ見ていたら、再びギャルソンが現れ
今度は花束を差し出す。


「どうぞ」

あ、ありがとうございます…


私はギャルソンに向かってお礼を言った。


「これは僕からじゃないですよ(笑)
 ダーリンからですからね。
 まったく至れり尽せりで、お優しいダーリンですねぇ」

(ダーリン!?)

ええ、あの、ほんとに。
至れり尽くせりのダーリンで…(笑)



その後の私は、ずっと、恥ずかしさと嬉しさを
笑うことでごまかしてた。


どうしたの?

ううん。
ありがと。嬉しい。


どういたしまして。


テーブルに置かれた花束は、窓から差し込む眩しい光の中で
白、黄、橙、緑の鮮やかな色を、生き生きと放っていた。


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2003年02月01日(土)
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