妄言読書日記
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2004年01月10日(土) 『炎の蜃気楼 真紅の旗をひるがえせ』(小)

【桑原水菜 集英社コバルト文庫】

これが出ると知った時、もう最終巻出ちゃうの!?とかーなーり焦りましたが、短編集でした。
ほっと致しますが、同時に、この時期にこの内容の短編集を出すとは…。
泣いてもいいかな。
ううん、駄目。泣くのはまだよ。こらえて、私!
てな感じで本編の感想を。

いつものことですが、ミラージュの感想はどうがんばっても走る傾向にあるので、ご了承を。

「ふたり牡丹」
1と2の間の話です。
もうもうもうもう…。今この時期にこの時期の話を持ち出すなんて!
(初出は2002年ですけど)
久しぶりに黒スーツの直江氏は悩殺ものでございます。
いえ、何着ててもいいんですが、やはり黒スーツは原点でしょう。
また描写も懐かしいです。

葬式帰りかボディガードか、という出で立ちの、なかなかに禁欲的な風情を持った男前

なんてツッコミどころ満載な一文!!!
でも何も言いません。言いません。それが直江さんなのですから…。
当時は黒服黒服ってしつこく描写されてたよなぁ。
やはり、この頃の二人が好きです。
危うさがたまりません。主に直江氏。
なんでしょうね、この薄氷を踏むような感じ。いつ来るのかいつ来るのか、と思いつづけたあの頃。
そして、何があったのか知りたいような知りたくないような、そんな緊張感。
ミラージュは常に緊張感を持ち続けてますが、やはり第一部に勝る時期は無いと思います。

「鏡像の恋」
初の千秋話。
色々短編も多いのに、意外と脇キャラサイドストーリーってのはないのが不思議なミラージュ。
主人公二人でいっぱいいっぱいなんですけど。読み手としましては。
ちいちゃんにこんな恋の話しがあったんですねぇ。
9巻の後に位置する話か。
9巻…読者にとってはこの長いシリーズの中でも忘れられない巻の一つですなぁ。
名台詞が生れましたものねぇ。
千秋のことはそっちのけで、どうしても思考は回想の方向に向かってしまいます。
いやぁ、しかし9巻か。どきどきの9巻ですよ。
そして9巻以降は常にどきどきと。
この頃の高耶さん、というよりは景虎様が凄かったなぁ…。

「最後の晩餐」の実物が見たくなりました。
あっと、『優駿』もちゃんと読まないとなーと思いつづけて幾数年です。
上巻だけ読んで早・・・年?うむむ……。面白くなかったわけじゃないんですけど。

しかしちいちゃん、自分で「俺は風」とか言っちゃうのは少し恥ずかしいぞ、と思いました。

「真紅の旗をひるがえせ」
赤鯨衆には何かが足りない、って言われて「女?」と本気で思いました。
女っけ、足りないですよ。色気は無駄にある人がいますけど…。
それはさて置き、仰木隊長の執務室にはちゃんとノックして入らないと!
中でナニが展開してるかわからないですからね!特に黒服の人が一緒の時は。
ああ、命懸でお部屋に突入してみたい!!
そこで何が展開していても、私後悔なんてしないわ。
むしろ我が人生に一片の悔いなし!ですよ。
こんな人生ろくなもんじゃないな。きっと。
いい。それでもいい。

えーと、内容はなんでしたっけ。贋作師でしたか。
贋作師をメインに桑原流に何か書いたら面白そうです。
兵頭は意外と絵が上手い…。
直江さんの絵がどんななのかも気になりましたけれど。下手は嫌だけれど、上手いのもなんだか…。
多分、可もなく不可もない、そつなくこなす感じの絵になるような気がします。
んー。どうなんだろうなぁ。

「さいごの雪」
兵頭vs直江さんの裏で行われてた、小太郎vs潮の対決の方が興味深いというのはここだけの秘密で…。
コタはすっかり黒豹が板について。あ、今はセクシーなお姉さんやってるんでしたっけ。色々変わりすぎてようわからなくなりますが、豹が一番好き。
思えば兵頭はすでにいないんですよね。
なんだか生き死にがはっきりしない世界だから、実感が薄くなってしまいます。
兵頭への関心の薄さ、のせいではないです。多分。


感慨深い短編集でした。
綾子ねーさんがいないのが寂しいんですけれど…。
本当に次の一冊で終わってしまうんですね。その時どうなってるんでしょう。
ああぁ…駄目。まだ涙は後よ!
また読み返そうかしら。



蒼子 |MAILHomePage

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