妄言読書日記
ブログ版
※ネタバレしています
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| 2003年11月27日(木) |
『地下室の手記』(小) |
【ドストエフスキー 訳:江川卓 新潮文庫】
これを読んだ後はついつい、「諸君!」と呼びかけたくなりますね。文章で。 まあ、ヘルシングと誤解されそうですが…。
不愉快極まりない人間の手記でした。 思想主張の前に、まずはそれを感じるのが正直なところでしょう。 私は「諸君は〜と思われるかもしれない」と言われるたびに、思ってねぇよ!と律儀に思わずにはいられませんでした。
思想主義的な説明は解説に書いてあるんですが、ロシア文学を初めて読む私にわかる訳が無い。
分らないなりに面白かったですが。
手記という形ながら、不思議と「ぼく」と作家自身を混同するようなことはなかったですね。 文学作品には主人公と作家がダブって見える、ということがままあるんですが。
訳の江川卓は「タク」と読むみたいです。 「スグル」って読みたくなりますよねぇ。
最後に一文抜粋。
ぼくからひとつ無用な質問を提出することにしたい。安っぽい幸福と高められた苦悩と、どちらがいいか?
どちらでもいいが、安っぽい苦悩だけは御免だ。
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