妄言読書日記
ブログ版
※ネタバレしています
目次前のページ次のページ


2003年05月31日(土) 『美濃牛』(小)

【殊能将之 講談社文庫】

いつものごとくネタバレするのでご注意を。

「美濃牛」と書いて「MINOTAUR」。うまいこと考えたなと思います。
『ハサミ男』の時のような、やられたーっという感想はないですが、期待以下ということはない。
でも一番驚いたのは、飛鳥と哲史でしたよ。え、そこの二人が出来てたの?って。
そこは無難な三角関係だとばかり思ってました。
にしても、可愛らしい恋文やね。
正直に言えば、そこばかりが気になっていました。この小説(最悪な読み手です)。

そんな事情で、美青年の飛鳥が早々に退場してしまい、少しがっくりです。
石動も好きではあったのですが、終始その容貌がうまく想像できないままに終わりました。
石動が探偵役なのかなとは思いつつ、あまりに胡散臭いので後半までずっと誰が探偵なのかわかりませんでした。
ちょっと今回、登場人物が多すぎるような気がします。町田くんって何しに来たの?彼、好きでしたが。
村の親友二人組みの微笑ましいやり取りとか、楽しいんですが必要なのか?無駄に疑ってました。
あ、それが狙い?ミスリードなのか。

解決した石動よりも、保険金詐欺を見破った名もない保険会社の方に鮮やかさを感じてしまいましたよ。

陣一郎が和人だったというのはあまり驚きませんでした。
それより、美雄が怖い。

登場人物が多すぎたせいで、肝心の羅堂家の人々の描写が少なすぎたような気がします。
美雄と善次なんて最後まで区別つかなかったな。

全く無関係なのになぜか一番、不幸をしょいこんでしまったような天瀬さんの今後が危ぶまれます。

石動さんは他の作品にも出ているんでしょうか。



蒼子 |MAILHomePage

My追加