妄言読書日記
ブログ版
※ネタバレしています
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2002年05月02日(木) |
『3000年の密室』(小) |
【柄刀一 光文社文庫】
島田荘司を継ぐ者・柄刀氏です。(新刊の帯にホントに書いてあった) 島田氏もこんな言われ方してびっくりでしょう。でもなんとなく、わかる。 柄刀氏は、札幌在住ということで親近感が沸きますね。
洞窟から発見された縄文時代の他殺死体のミイラ。洞窟の入り口は内側から塞がれた、密室状態。 前半はそのミイラの学術研究の模様が延々と続いて、「このまま現代では殺人が起こらないのか…?」と不安になりましたよ。 だって、3000年前の密室なんて、人為的に作られたものなわけないじゃないの。3000年の間になんらかの自然の力が加わって、たまたま密室になっちゃったに決まってるわ。 そんなんで、一冊本書かれても。いや、推理小説として読まなければ興味深いお話ではありますが。 やはり、人に死んでいただかなければ。
ちゃんと、物語がちょうど半分きた所で館川さんがお亡くなりになりました。 まー。なんでしょうねぇ。 物語は謎解きよりも、真理子ちゃんのトラウマ克服が主眼みたいな進み方をしてました。 推理小説を読むぞ、という心構えで読んでいる時は、キャラクターの心理描写ほど鬱陶しいものはなく(酷いこと言うな)
(※犯人言いますからねー)
どうせなら、太田くんが犯人の方が良かったな。 彼が犯人なら犯人で、もう少しらしい動機であって欲しかったと。「うっとうしかったから」だけでよかったのに。 おねいさんのことまで出さなくてもねー。 おねいさんのこと出すなら、自首しなければよろしかったのに。 私が短絡的に犯人に対して「そんな奴は死んでしまえ」と言う犯罪は、性犯罪と動物虐待です。 ですから、晶くんは別に自首しなくてもいいのにな・・・。
んー。なんか中途半端な感じがしました。 キャラクターを書くなら書く。謎解きを書くなら書く。 ひょっとしたら、少しこの本自体が長すぎたのかもしれません。もう少しけずってもよかったんじゃないかしら、と。 洞窟の密室がおもしろかっただけに、ちょっと心残り。
川久保老教授がよい味出してました。ちょい役ですけど。
やはり、探偵がいないと評価が上がらない… しかも、「私」が女性だし…結局真理子ちゃんが解決しちゃったし…… (私はミステリー好きではなく探偵好きなのですよ)
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