生存報告―目指せたくまし道。
〜こっそりひっそり編〜


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2010年08月15日(日) 「風が吹くとき(When the Wind Blows)」(1986英)

>>ハーバード大学マイケル・サンデル教授の「正義(JUSTICE What's the right thing to do?)」

アメリカ人は何で正義が大好きなんだろう?この質問もどちらが正しいか?正解はない、と教授も言っている。それでも大義名分として正義を振りかざす。どちらが正しいなんてなくて、正しいというのは主観的なことなのに。

>>敗戦について考える

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終戦記念日。ここ2、3年しばらく戦争映画とか観たくないなぁ、と思っていた。戦時中の人達が多くを語ってくれないように、触れたくない気持ちが大きかった。

最後に観たのは「トンマッコルへようこそ」(2005韓)だったかな。あれ、レビュー書いた気がするんだけど消えたとこに書いたのかな。観た人達のレビュー評点平均はあんま良くない。興味があったらどうぞって感じれす。私的オススメ度は★★★☆☆くらいだろか。

これは朝鮮戦争の話で、ちょっとファンタジーなんだけど、韓国で記録的な観客動員っていうフレーズで。数人の南北敵軍同士がトンマッコルって平和な村で鉢合わせしちゃって、超緊張が走るんだけど、その村の人達は戦争が起きていることも知らないからそんなこと関係なく普通に暮らしてて、真剣ににらみ合ってる横を生活感丸出しのおばさんがよっこらしょ、みたいな。笑える部分もたくさんあって、猪のシーンは狙い過ぎだろって感じだったけど、でも最後は悲惨なシーンがあって観てるの辛かった。

どちらも祖国のために戦っているはずなんだけど、最後はその村の人達を守るために行動する。それが、一番大事にすべきことだったんじゃないのかな。相手をたたくことよりも、大事なものを守ること。自分たちを守るためとはいえど、そのために戦いをするという手段はやっぱり間違ってると思ってしまう。

で、毛嫌いして観ないのもいかんかなぁと思って、トラウマになってる人が結構いそうな「風が吹くとき(When the Wind Blows)」(1986英)っていう映画(アニメ?)を観てみた。短めでそんなに長くない作品。老夫婦のアニメなんだけど、原爆の直接的な怖ろしさというよりは被爆のおそろしさを描いたもの。冷戦時代に核が落とされるかもっていう。

なんだけど、うーーーーん。感想は、3/4くらいまでずっと、この夫婦バカなの?って感じだった。核の恐ろしさを知らないっていうブラックジョークなんだろうけど。投下前なのに家具や洗濯物の心配をしてみたり、ロシアをドイツと間違えて話したり。それは前の戦争の話でしょって妻がツッコム、みたいな。原爆が落とされたことがある後の話なのに、日本の話をしない。日本と中国を一緒くたにしてそうなくらい。原爆に関する知識が無さ過ぎて呆れる。

第一次大戦も第二次大戦も戦勝国だと、こんなもんなのかな?日本は無理な戦争をしかけて大空襲や原爆2個落とされるまで悪あがきして悲惨な状態になっちゃって身を持って戦争反対!って人がいっぱいいるし非核を謳ってるから皆知ってるだけなのかな。日本でも原爆投下の様子は米兵が撮影した資料だし、勝った側はアメリカの資料で"こんなすごいこと出来るんだそ〜日本をダメ押ししてあげたんだ"ってかんじなのかな。投下後の状態とか被爆の恐ろしさは日本国内には沢山資料があるけど、日本人が伝えないと、"Japanは馬鹿なことしてあんなことまでされて、大変だったね〜"くらいにしか思ってもらえないことなのかも。ってか阪神淡路大震災を経験した人がなんで震災準備をしないんだって思うのと一緒かも。返す言葉がない。。

私の中には小学校時代に触れた東京大空襲や原爆の被害の文献や写真が生々し過ぎてトラウマになってる部分があって、そこから"戦争反対"に思考が直結してる。あんな思いをしなきゃいけない程、しなきゃいけないことってあるのか?平和に暮らすことが一番なんじゃないのか?目の前に死を感じることがどれだけ恐ろしいか考えたら、戦争なんて始めたくないって思わないのかな。

でもお隣の国はやっぱり脅威だ。あんまり経済制裁をしたら、かつての日本のように戦争を起こすかもしれない怖さがある。こっちの理屈が通じない相手。皆仕掛けられたら応戦しなきゃいけないから、構えざるを得ないのか。日本だって、軍いなくて何考えてんだろ、攻撃されたらどうすんの、アメリカに守ってもらえなくなったら?って思われてるんだろうし。資源がなくて、能力や技術が財産なのが逆に今の強みだけど、国力を上げ政治的交渉力を上げて国際政治の中でやっていかなきゃ。マジ頑張っていかねば日本ー。

って私は戦争を毛嫌いしているけど、その時イメージする戦争って狭義の戦争だったりする。大航海時代を経て今は植民地化や国を広げるための戦争っていうのはなくなって、取り返す戦いをしているところがある状態。手ゴマにしたい、支配下に置きたいってのは今でもあるけど、人の土地を奪って新たに「国土」とすることはもうないくらい大地は線引きされちゃってる。今起きてる紛争にある"もともと住んでいた自分たちを取り返したい"っていう気持ちはわかるし、紛争や内戦といった広義の"戦争"が起きちゃうのはわかる。自分が戦争は良くない、どうしても避けるべきって言うときの戦争は"侵略戦争"って意味で使ってるんだな、と気付く。

でも、どうしても、戦争という手段じゃなくて、言葉やシステムで乗り越えて欲しい。頭いい人たちが、それを考えて実行できるんじゃないか?……でもきっと自分の利益ばかり求める人たちが邪魔するんだろうな。

「When...」は結構>>レビュー高い。絵のタッチが柔らかくて、焼けただれた人間の白黒写真とか火傷して川に群がる人々とかあたり一面の死体とかよりはインパクト無さ過ぎて、私的には衝撃もなく心に残らなかったんだけど、もっと小さい頃に観たらもしかして衝撃を受けたのかもしれない。★☆☆☆☆くらい。っていうかレビューにいろんな人が感想を書いててそれが興味深い。オープニングの曲は有名なDavid Bowieだけど映像と合ってないなぁとか。エンディングの曲は良かった(Roger Waters「Folded Flags」)。

ちなみに、原作著者のRaymond Briggsは誰でも見たことのあるあの「スノーマン」の作者。主人公ジムの若い頃の話が「ジェントルマン・ジム」っていうのであるらしい。これ読んでみたら感想もちょっと変わるかな?でも同じようなかんじの話かも。ジェントルマンっていっても男性用トイレのジェントルマンのことで、内容はトイレ掃除以外の職につきたくて、物語の義賊に憧れて真似しようとして、ロバ飼って苦情言われて、強盗まがいのことをして、捕まって、刑務所の中で掃除人になる……うわー同じ。

戦争物も意外と観れちゃう気分になってしまった。それだけ鈍感になってるってことなのか、とも。だとしたら良くない。辛さのあまり目を背ける弱さより、何も感じないまま暴力を振るう強さの方が悪。子供にはまだ小さい頃に戦争の怖さをきちんと伝えた方が、衝撃が大きくて心に残るのかもしれない。

今年は「ほたるの墓」やらないっぽい。そうかー。私実は>>「はだしのゲン」読んだことないのだ。あからさまに少年漫画っぽいからか、うちの学校の図書室にはなかった。いつか読みたいけど、10巻てちょっとボリュームがー。

「父親たちの星条旗」と「硫黄島からの手紙」もそろそろ観れるかな。あと「大脱走」(1963米)も一度観たい。



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