2/28(月) 引っ越しで発掘された過去のオレ。
もう10年以上も前のことになるか、
オレはミニコミを作ろうとしてたことがありまして。
どこか自分の価値観を表現する場、自分というものを試してみる場が欲しくて、
ネットなんてものもまだなかった(ごく少数の者だけが享受していた)時代、
まだパソコンも持ってなかったオレの選んだその場がミニコミだったってわけ。
といっても元来生産者サイドにはなりえない怠惰なオレのこと、
結局出版はしなかったものの、いろいろと策は練りましたですよ。
企画としては「ホームレスインタビュー」とかね。
将来、誰もがホームレスに転落(?)する可能性は持ってるわけで。
だったら今のうちにホームレスの生活や金銭・食料の入手方法、
彼らはいかにしてホームレスになったかを聞いておいて損はないだろうと。
今でこそホームレスのドキュメンタリーは多数出版されてるけど、
この段階では結構早かったんじゃなかろうかと自負してたりもして。
あと、ある雑誌の投稿欄に「処女あげます」という投稿が掲載されてて、
読むと「処女なんて早く捨てたい」と思ってる18歳の女の子が
相手がいないので誰でもいいから処女あげます、という内容の投稿で。
正直、この娘何者?と興味がそそられるでしょ。
だから「『処女あげます』少女の実像に迫る」ってことで、
その投稿が載ったあえて一ヶ月後、その娘とコンタクトを取って、
処女喪失後のインタビューをしにはるばる京都まで行ったこともありました。
会ってみると想像以上に普通の、いや、むしろ普通よりかわいい娘で、
京都大学への進学が決まっているというずば抜けた才女。
今となってはもうどんなことを聞いたかも忘れたけど、
送られてきた手紙の数や初体験の相手のことなんかも聞いたっけなあ。
オレはオレが読みたいミニコミを作りたい、
その一心で、気合いだけはかなり入っていたのです。

そんな当時のオレが書いたコラムをこの度発掘いたしまして。
当時、オレはサブカル的視点でのゲームカルチャーにハマってて、
わざわざ秋葉原に出向いて海外から直輸入されたゲームや、
香港あたりから持ち込まれた100 in 1の類の海賊ゲームを買い漁ってたころ。
一度東京に行くと十数万円分もゲームを買ったりして、
今考えると、なかなか気持ち悪い青年でしたな、オレ。
そんなゲームカルチャーが盛り上がってた折、
世間の「任天堂派 vs SEGA派」って風潮(そんな流れがあったのよ、当時)に嫌気がさして、
「みんな、そんな狭い蚊帳の中でいがみ合ってないで、
今こそともにゲームカルチャーを盛り上げていこうぜ」
といったメッセージを伝えたくて書いたであろうコラム。
文章・内容ともに青いです。おサブいです。

 「あなたは任天堂が好きですか? それともSEGAが好きですか?」

  「任天堂 vs SEGA」、この図式が世に広まって久しい。これに関する論争も現在様々な場所で交わ
 されており、アメリカ等の諸外国では、自身による比較広告まで制作される始末である。
  しかしこの状況が、果たしてゲーム業界にとって正のベクトルを踏まえているのだろうか。
  確かにすべての市場は競争が必要であり、それによって活性化されるというのは、資本主義経
 済の基本概念である事は否定できない。だがしかし今の発展過程のゲーム業界においてこの図
 式を広めるのは、潰し合いにもなりかねない大変危険な事ではないだろうか。
  アメリカのハードコア・パンクに"HATE CORE"と呼ばれる一連の流れがある。彼等のメッセージ
 はこうだ、「憎むべきものを憎め」。これを僕はこう拡大解釈する、「愛すべきものをひたすらに愛し、
 憎むべきものをとことん憎め」。
  任天堂、もしくはSEGAをひいきする人よ。あなたの愛する気持ちはよく分かる。愛せ。ひたすら
 に愛せ。しかし君の本当の敵は任天堂でもSEGAでもない。「任天堂は戦略が汚いしさぁ」、「SEGA
 って日本を捨ててるよね」、その台詞は自己を安心させる為の自己満足に過ぎない。不満を言い
 合い、聞き合い、納得し合う。自己完結。それこそ悪い意味でのオタク的な行動ではないだろうか。
 このままではゲーム業界は一部の者に熱狂的に保護されるが故に、一部の者だけの中でひっそ
 りと死んで行く。
  すべてのゲーマーに捧ぐ。ゲーマーよ、ゲームを愛せ。未来を見つめよ。そして憎むべきものを
 憎め。
                               1994/06/09 ヤスヒロ


・・・なんだかねぇ。正直、どうでもいいよ(笑)。
「すべてのゲーマーに捧ぐ」って、おまえごときに言われてもなあ。
しかし、サブカル熱とゲームカルチャーへの愛情だけはプンプン伝わってくるコラムではあります。
当時のオレよ、今のオレはおまえのセンス、結構嫌いじゃない。


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written by オレ 

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