ムヒョが何日も眠る横で普通の生活を一人で送ることはすこし寂しくて、時折ひとりぼっちの世界から抜け出すようにムヒョが眠っているところを見に行く。静かに眠るムヒョはいつだってそこにいるけれど、どこにもいないような気がしてすこし恐ろしい。 そろそろ彼が起きるだろうかと様子をうかがいながら、僕はいつも考える。今日こそ目が覚めなかったらどうしよう。毎日毎日、二度と起きずに眠り続けて戻ってこないんじゃないだろうか、なんて、そんなばかみたいな事を考える。だってさ、ムヒョ、この世界は君をいろんなもので縛っている(それこそ僕だって君を縛り付けるひとつに数えられる)じゃないか。いいかげんにうんざりして、つまらねぇナと一蹴してここには二度と戻って来ないんじゃないかって、そんなことはありえないけど不安になるよ。 君は眠っているときだけ何にも縛られないでしょう。眠っているときだけは天才だとかそういったくくりとも無縁のただの六氷透でしょう。だから馬鹿な僕は、本当は君の心配をしているんじゃないんだよ。 僕は君に助けられるばかりでまだ何も出来ないけれど、そんなただの六氷透が存在できる居場所なんだとどうか自惚れさせて。ううん、そんなのいいからどうかはやく目を覚まして。馬鹿面下げてんなよと罵っていつもいつも君の眠りに安堵しては恐怖する僕を笑って。 知ってる? 僕はなにもできないまま君から離れてしまうのが怖いんだ。 (*暗くなったごめん……六氷と草野はプラトニックというかいっそカップリングというより、ただ単に側にいるのが当たり前な空気感が好きです…)
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