活字中毒のワタシの日記

2018年11月22日(木) 田中修治『破天荒フェニックス オンデーズ再生物語』★★★☆☆


田中修治『破天荒フェニックス オンデーズ再生物語

心に残ったところ。

商品部の高橋さんへ。
「いいですよ!やってください!それだけ今までやりたいことがあったんなら、もう好きにやっちゃってくださいよ」(p95)

「何で?社長の俺が、今ここで良いって言ってるんだから、良いんですよ。そんな悠長なこと言ってる時間なんてないんですから、もう今この場で部長に任命しますよ。すぐに商品部長の名刺を作って好きに働いてください」(p95-96)

本質を見誤らない。
形式にこだわらない。

その良さを最大限に発揮したシーン。

資金繰り担当の奥野さんがこれまた地味だけど、かっこいい。
裏のというか、真の?主役はこの方かも。
彼の奮闘ぶりがなければ、資金繰りはショートしてただろうから。

「超楽天主義の社長らしくもないですね。まあ資金繰りで苦労するのが私の仕事です。金の苦労の要らない会社なら、自分なんて必要ないでしょう。たくさん仕事を作ってもらってありがたいくらいですよ、ハハハ」(p115)

「別に嫌味なんかじゃありませんよ。私は昔から苦労をするのが、嫌いじゃない性格なんですよ。それに時々失敗する人間の方が私は好きです。何でもソツなくこなして抜け目なく世渡りしている人間は、どうしてもイマイチ好きになれない。少しおっちょこちょいで、何を始めるのか予測不能。破天荒なくらいの方が人間らしくていいじゃないですか。味がある。だから私は社長を嫌いになれない。」(p116)

会社への思い、仕事に対するスタンス、取引先との思惑の違い。
人の数だけ、違いがあって、うまく行ったり、拗れたり、対決したり。

「同じ目的に向かっているようでも、人によっては見る角度が変わり、角度が変わると見える景色は、まるで違うものになる。そして、そのズレは時に予想もしない程、醜い軋轢を産み落とす。」(p139)

ピンチの波が少しずつ大きくなって、でもこれはもう乗り越えられないかも、という大波に飲まれそうになった時に。

「肌を刺すような夜風が吹き込むミナミの繁華街の裏路地で、何かしらの言葉を口に出すのも、息をするのすらも全て億劫になるくらい、僕は屈辱と苛立ちと怒りがすべて入り混じった複雑な気持ちになっていった。」(p139)

仕事に対するスタンスをどう持つのか。
震災後、東北の家族を探すおばあちゃんとの出会いのエピソードは、自分自身の仕事に対しても、考えさせられました。

「私それで、さっき作ってもらったばかりの、このメガネを掛けて、恐る恐る掲示板の前に行ったの。もう心臓が張り裂けそうな程、とても怖かったわ。でも必死に感情を押し殺して、こう文字を一つ一つね、追いかけたの。
そしたらね、別の避難所にいる避難者名簿の中から、家族全員の名前が、私の目に飛び込んできてくれたのよ!家族の無事をこの目でね、確認することができたの。あなたたちのおかげで、私は家族に会えるのよ!明日になればすぐに会いに行くことができるのよ!
あぁ見えるということはなんて素晴らしいんだろうって、目がよく見えることのありがたさを、これほどまでに感じたことはなかったわ。だからこんなものしかなくて本当に申し訳ないんだけど、この差し入れをね、せめて受け取ってほしいのよ。今日はね、来てくれて本当にありがとう、本当にありがとう、本当にありがとう。」(p214-215)

働くというのは、側(の人)を楽にすること、というのを以前読んだことがありますが、誰かを喜ばせるのが働くということ。それが仕事。
その対価としてお代をいただくのが、商売。

その基本に立ち返ることができるエピソードだな、と思いました。

「偽善だろうが売名行為だろうが、自分たちの届けたメガネで幸せになれた人がいる。そういう人が一人いただけでも、ここに来た甲斐があったじゃないか。
そう実感できたことで、僕の心はどこまでも軽くなり、そして救われた。助けてもらったのは僕らの方だったのかもしれない。」(p216)

大切なのは、結局、人。

「企業は『人』そのものなのだ。優秀な人を惹きつけることができなければ、企業は絶対に経営者の能力以上には成長をしない。」(p409)

本社を移転した時に、人を集めるには人が集まる、集まりたくなる場所にすることが重要だと。そこに魅力ある何かがあるか、は本当に大事。
自分が所属しているチームに、それがあるか。
家族もチームと考えたら、家庭にもその「何か」を作っていくことは大切ということになる。

台湾でのチャレンジを経て。
「人は新たな希望を逃すよりも、既に手にしているものを失うことの方が、遥かに怖い。」(p446)

既得権益を、いかに手放してもいいと思って、手放せるか。
コップにミルクがいっぱい入った状態で、ジュースは入れられない。
勇気を出して、手放すことができた人だけが味わえるジュース。

人生は、選択。

人生は、チャレンジ。

チャレンジできるうちに、やっとかないと。

田中修治『破天荒フェニックス オンデーズ再生物語



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2018年10月19日(金) 日沖宗弘『学問としての四柱推命』★★★☆☆

日沖宗弘『学問としての四柱推命—その歴史と現代への応用

読書メモ。

易について。陰陽五行について。気学について。
八卦から六十四卦。
ほんとに学問。基礎知識が得られる。

真の起源は?
「中国占は、まず天文学や農耕と不可分に結びついた暦学がその基をなしたと思われる。次に十干・十二支によって多くの人間の一生を記録しているうちに、そこに法則性のあることに気づいたのであろう。」(p121)

何が読み取れるのか?
「命式や本命星から、我々はまずその人の性格(「心の一部」を読み取らねばならない。ただし必ずしも善悪とは関係がないから注意が必要である。」(p122)

「古代人たちは普通の人間には見えない死後の世界を『科学的』以外の方法(即ち思考・瞑想・想像など)によって探究し続けてきたし、科学が証明不可能であるとして立ち入ろうとしない人間の運命についても、おそらくは統計的に、または直観的に研究し続けてきたのである。彼らにとってはその方法が瞑想であろうと直感であろうと、出てきたものが有用ならば、それで良かったのである。われわれは彼ら古代人たちの叡智をいま一度振り返り、まじめに吟味してみる必要があるのではないだろうか。なぜならば、そこに新しい『科学』の道が開けるような気がしてならないからである。」(p124)

「四柱推命では、大運といって十年ごとに五行のどれかがその人に廻り、その人の命式を助長して悪くしたり、逆に平衡にもっていったりする。ということは、一生のうちのある時期に、その人の性格上の欠点を助長するような境遇におかれたり、そのような事件が起こり、その人が試されることになる。その人が慎重に対処すればわざわいが最小限ですむ。逆にその人にとって良い五行の大運が廻れば、経済的に豊かになってゆとりができるのだから、自らの欠点を是正してその幸運をできる限り延長するのが彼の務めとなる。」(p126)

医学、哲学、宗教と易占
「人間の体内を循環する五行の『気』を研究の根幹とする漢方医学は、現代医学によって確かめられつつあるために学問として市民権をもつに至ったし、同じ目に見えぬことを研究する哲学は『古典』という学問の地位を確保してきた。また宗教学や神学も『古典的学問』として認められているために、大学に神学科があっても、誰も不思議に思わない。
それなのに、同じ目に見えぬ分野である人の心や運命を扱う易占学が、単なる遊びや迷信とされているのは残念でならない。易占は、古代においては他の学問と肩を並べ、知識人の必須科目であったのだ。」(p128)
ふたたび注目されてしかるべき、と。

「秀才というと、印綬とか正官とか、何か特別な『星』を持たねばならぬと考えられてきたが、それは誤りであることがわかった。五行の流通が良く、命式が美しくバランスしていれば、それでよい。」(p162)

凶運期のしのぎ方。
「まず、占いによって自らの欠点を知ってそれを正し習慣化すること。これによってストレスが激減する。たとえば競争心は必要のないものである。人と競争するという考え方は根本から間違っている。自分の能力を十分に出し、人とは助け合うものであって競争する必要はない。
次に凶運期や大凶運期をしのぐには、ひたすら捨てることである。この時には、金、家、土地、物、配偶者、恋人、父母親類の全てを、その程度に応じて手離さねばならなくなる。(略)手離し難いが、手離さねばならない。さもなくばトラブルは終わらない。捨てることによって運の悪化がほんの少しずつおさまり、時と共にゆっくり回復に向かう。短くて三年、長ければ数年かかる。こうして運の下降が止まって水平となり、静かな生活が訪れる。あとは上昇するに任せればいい。」(p173)

自分に原因のない凶事。
「私の推命の経験では、人を助け、人格温厚な人々は、命式が予定する以上の境遇にあることが多かった。温和な心を持てば人から好かれ、助けてくれる人も多く、そのような心で生活した時期が長ければ長いほど生活が好転するというのはうなづけよう。」(p175)

シンプルな開運。
「中国陰陽五行思想や推命学の結果たどり着いた開運の(少なくとも下降運を多少なりとも喰い止める)方策は、自らの欠点を知って正すこと、物に執着せず、捨てること、人並み以下で耐えること、悪運の種を播かないこと、人を助けること、温和な心を持つこと、など至極あたり前なことばかりとなった。そしてこれらは期せずしてブッダやイエス・キリストや孔子など古の聖人の説くところと大同小異である。私は命式分析や気学九星の長所・短所を知り、それによって己を知れということをつけ加えたにすぎない。」(p175)

基本に戻りたい時に、読み返すとよい本だと思った。

日沖宗弘『学問としての四柱推命—その歴史と現代への応用



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2018年08月20日(月) 和田秀樹『アドラー100の言葉 人は今すぐ幸せになれる』




アドラーの言葉を解説した読み物でした。
ざっくり理解するのに役立つかと。

幸せを感じられない原因は共同体感覚の欠如。
「共同体感覚とは、家族や会社、地域、国など共同体に自分の居場所があると思えることです。そのためには、ありのままの自分を受け入れる『自己受容』、他者を信頼する仲間と思う『他者信頼』、そんな仲間である他者に貢献したいと思う『他者貢献』を実感しながら生きていくことが大切だといい、アドラーは、人間の幸せとは『貢献感』である、といいました。」(p4)

「不安や悲しみは常にライフスタイルと一致している。(p24)

「勇気と自信があり、リラックスしている人だけが、好機からだけでなく、困難からも益を受けることができる。」(p28)

勇気と自信。そしてリラックス。
孔子のいう仁者はそれができてる人かな。

「成功とは、人生における三つの課題を解決することである。」(p30)
仕事、交友、愛というライフタスク。

「結婚は一緒に生きていくことを決意することで、目的はお互いの人生を援助し、豊かにすることだ。」(p128)

手段と目的を混同しないことがとても大事。

「甘やかされた子が結婚で幸せになることは、ラクダが針の穴を通るよりも難しい。」(p160)

これはキツイ。
けれど、事実だと思います。

「人類の幸福に関心がない人は自分の人生に対して『私は仲間に何を貢献できるか』ではなく『私はちゃんと賞賛されているか』を問いかけている。」(p202)

これもキツイ。
そして、そういう人は、賞賛されないという絶望的な現実。

この言葉が読めただけで、よかったと思えた一冊でした。

和田秀樹『アドラー100の言葉 人は今すぐ幸せになれる



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