雨草子
目録前項


2007年11月20日(火) オレンジの雨。

霧雨の中、車を走らせていた。
人気の無い山道。
雨なのか霧なのか分からないぐらいの細かい水滴が、
フロントガラスを滑っていく。

オレンジの街灯群が遠くに見え、
オレンジ色のスプレーのように、
霧雨を浮き上がらせている。

乗り越えたと思っていた苦しみがまた私に襲い掛かり、
無気力なまま、体も疲れ、
ただただハンドルを握り、ただただ道を行く。

こんなときに、私は頼る人が居る。
彼と私は、まるで牧師と信者のようで、
彼と話してるとき私は、
初めてこの世の真理を知ったような子供のような気分になり、
私も真理が解ったような、素晴らしい気分を感じる。

でも一人ではその真理に辿り着けない。

一人になったとたん、さっきまでの幸福が薄れ、
不安と苦しみに襲われていく。

彼はまもなく私の傍から居なくなるのに、
このままでは私はいつまでも迷走したままだ。

私も牧師のように、人生の真理を自分で理解したい。
彼は言う、それは考えることだと。
考えてどんな小さな事でも疑問に思って、
考えて考え抜くんだと。
物事を客観的に、感情を込めずに捉えることが重要だと。

私もいつかそうなれるだろうか。
理解できる日が来るのだろうか。

・・・待ち遠しい日だ。




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