酔陽亭 酩酊本処
いらっしゃいませ。酔陽亭の酔子へろりと申します。読んだ本や観た映画のことなどをナンダカンダ書いております。批判的なことマイナスなことはなるべく書かないように心掛けておりますが、なにか嫌な思いをされましたら酔子へろりの表現力の無さゆえと平に平にご容赦くださいませ。
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2007年03月16日(金) 『警官倶楽部』 大倉崇裕

 ヲタクでマニアな輩が集まって警官倶楽部を作った。そして事件を起こしたり(笑)、解決したり。なんだかこういう展開は笑えて楽しいです。明るいマニアっていいなぁ。気軽に楽しめる一冊です。オススメ〜v

『警官倶楽部』 2007.2.20. 大倉崇裕 詳伝社



2007年03月15日(木) 『禁じられた楽園』 恩田陸

 文庫化されたので再読しました。いやぁ、面白かった。やっぱり恩田陸はスペシャルに好きだー(叫)! 3年前に刊行された時よりも数倍楽しんで読めたことはラッキーだったなと思います。何故、数倍も楽しめてしまったのか。それはこの物語の舞台やベースである熊野や神様についてスゴク興味が深くなり、地道に学習しているから。これってそういう素地がある人にはたまらないんじゃないのかしらん。邪悪なヒーロー烏山響一は恩田陸のほかの小説でちょこっと登場してかなりインパクトの強かった人です。なので彼を物語の軸に持ってこられた時にはヤッターと嬉しかったものです。悪の魅力、負の魅力。そういうものも確かに存在しますから・・・。前に読んだ時にはラストの展開に多少疑問があったのですケレドモ、今回はすんなり胸に落ちました。やはり神様について考えていたことが大きかったようです。あ、別に宗教にはまるとかではなく、神社とか神域とかそういう日本古来の場所への興味だったのですね。はい。ただ3年前と同じく、最強キャラが実はアノヒトであることは驚きとともにそうあるべきだなぁと思えます。これは時間を置いてまた読むとまた受けとる感じが違いそうな気がします。文庫化されたこともあって超オススメでーすv

 さあ、新しい恐怖を語れ。

『禁じられた楽園』 2007.3.15. 恩田陸 徳間文庫



2007年03月13日(火) 『晩餐は「檻」のなかで』 関田涙

 タイトルと北見隆さんのイラストに惹かれて関田涙さん初体験をしてみました。このテの物語は私にとっては当たり外れが大きいため、最後まで読み切れるかどうか・・・と思いつつ読み始めてみたのですが、これが面白い! なんか妙な魅力があって不思議に思いつつ迎えたエンディングで妙な魅力の訳に気づかされました。これはウマイ。こういう出会いがあるから、タイトルや装丁の吸引力をあなどれないのですよねぇ。面白かったです。

『晩餐は「檻」のなかで』 2007.2.28. 関田涙 原書房



2007年03月12日(月) 『九月の恋と出会うまで』 松尾由美

 ああ、いいですねー。松尾由美さんのSF恋愛ものはものすごくいい。大好きだ。温かくてココロの芯までほかほかしてくるの。また恋をしたいな。そんな笑顔で読み終えられました。超オススメです。

 中でも今いるあたりの比較的古いビルのほうが、高いところに手が届くのをうれしがっている子供のような素直なエネルギーが感じられて好きだ。

『九月の恋と出会うまで』 2007.2.20. 松尾由美 新潮社



2007年03月11日(日) 『天の陽炎 大正浪漫伝説』 栗本薫

 栗本親分のお好きな大正エロ浪漫であります。華族に嫁いだ美貌の真珠子が荒くれ男に陵辱され、己の女に目覚めていく、と言う物語。親分ホントに好きだよねぇ。読む私も好きだケレドモさ(笑)。ただ、ありがちな物語だし、エロとしても中途半端だし、親分ってば息抜きにつるっとかいちゃった感ありありです。でも売れるんだものなぁ。そりゃぁ親分いい気になるってもんだわー。

あたしの内にも・・・・・・そんなケダモノが潜んで居たんだワ・・・・・・

『天の陽炎 大正浪漫伝説』 2007.2.25. 栗本薫 角川文庫



2007年03月09日(金) DVD『デスパレートな妻たち』シーズン1

 郊外の裕福な住宅街ウィステリア通りでメアリー・アリスが拳銃自殺した。15歳の息子と夫を残して・・・。メアリー・アリスと仲の良かったスーザン、ブリー、リネット、ガブリエルの4人は彼女が何者かに脅迫されていた事を知り、それぞれの多忙な日常を過ごしながら、隣人たちの隠された秘密を知っていき・・・!?

 “妻たち”なんて言葉がタイトルにつくのだから、どーせ不倫とか嫉妬とかそんなもんでしょー・・・みたいな偏見に満ちていた未亡人の私は(笑)、全く観る気なぞありませんでした。が、しかし、なにかについていた宣伝の煽り文句に【あのツイン・ピークスの謎】に匹敵するなどとあり、すっかりのせられてしまったのでありました。えへへへへ。そして観始めた途端に語り手が自殺しちゃうんです。もうまさにいきなりっ!・・・「えええーっ!?」と素直に驚いたが最後すっかりと虜になりました〜。
 スーザンはバツ1の童話作家。可愛いくて出来のいい娘ジュリーと二人で暮らしている。高校時代はチアリーダーだったスーザンは正統派モテ女。欠点は禍を呼ぶ女であるドジな天然であること。ブリーは医者の夫と息子と娘を持つ完璧なカリスマ主婦。家庭もブリー自身もいつも完璧。ガブリエルは貧乏暮らしからはいあがり玉の輿にのった元モデル。夫は何でも買い与えてくれるが、暇を持て余したガブリエルは高校生と関係を持つようになる。リネットはバリバリのキャリアを捨て愛する夫と4人の子どものために専業主婦になった。ちびっこギャングと奮闘しながら愛する夫を繋ぎとめておくために必死に動く。
 ・・・と、まぁ、死んじゃった語り手のメアリー・アリスは別としてヒロイン4人がそんな感じで、不倫に主婦売春に恐喝に薬に同性愛に・・・と、あるわあるわの事件のオンパレード。みんな幸せになりたくて必至に足掻いていて滑稽でいじましくて微笑ましくて。なんとも不思議な物語です。私としてはブラック・コメディかなと言う感じ。スーザンのライバルの色気むんむん女のイーディってのがヤナ奴なのに・・・段々と魅力を感じてしまったからあらら不思議(笑)。トンデモナイ終わり方をしたシーズン1ですが、どうやらシーズン2ではイーディが4人のヒロインに仲間入りできている模様。嬉しいなぁv
 この愛すべき愚かな崖っぷち女たちの中でイーディと同じく最初は嫌いだったのは完璧主義者のブリーでした。なんて言うかツンケンお高くとまっててヤナ女〜って見ていたのですが、シーズン1が終わって一番好きなキャラクターになってしまったことには自分でも驚きでした。超対照的なブリーとイーディが好きです。スーザンとガブリエルは美しいし、馬鹿だし、なんか好き。・・・で問題はリネット。どうもね、こいつだけが合わんかったですよー。なんて言うか痛い。痛すぎる。ある意味、等身大なのかもしれないですね。そんなことを言いながらシーズン2でまた見方や好き嫌いも変わるかもしれませんケレドモ。
 とにかくなにやら楽しいDVDでありました。オススメでーすv



2007年03月06日(火) 『ラスト・イニング』 あさのあつこ

 映画化された『バッテリー』の主人公の少年ふたりのピッチャーとキャッチャー、そのバッテリーに魅せられた天才バッター門脇秀吾、そして幼馴染の瑞垣俊二の“その後”の物語です。あさのあつこさんは脇役であったふたりの少年のこともものすごく愛されたのでしょうね。だから“その後”を描かずにはいられなかった・・・ふたりの少年にも物語を与えてあげたかったのでしょう。このふたりの“その後”を知れただけですごく嬉しく思いました。門脇秀吾も瑞垣俊二もキラキラしていて美しい。この一瞬の季節の輝きを忘れない。汗くさい青春物語にならないところがあさのあつこさんの天才たる所以だと恐れ入りました。

 おまえのことをわかっている。あいつのことを理解している。虫酸が走るほど厭らしい言葉ではないか。人が人を全理解できると信じることの厭らしい傲慢。理解していると豪語することの愚昧。

『ラスト・イニング』 2007.2.14. あさのあつこ 角川書店



2007年03月03日(土) 『千里眼 The Start』 松岡圭祐

 岬美由紀が帰ってきました!・・・と言っても本家の千里眼シリーズをどこまで読んでいるのだったかしらん(忘)。本家シリーズはスケールが大きくスキだったのですケレドモ、途中からあまりにも破天荒になった感があって読まなくなったような気が(忘)。まぁ、いずれにしても岬美由紀リターンズ! 自衛隊のパイロットだった美由紀がアル事件から方向転換。以前とはパラレルな世界となりました。でも美由紀のスーパーウーマンっぷりは変わらずカッコいいです。強く美しい女なのでひどく爽快。私にとって岬美由紀は水野美紀さんのまま。美由紀の描写であまりにもスレンダーっぽく描かれていますが、それはありえない。闘う女は水野美紀ちゃん的スタイルであるべきです。細すぎる女は闘いに不向き。ちょっと闘っただけでポキリと骨折よー。なので映像化の暁にはやはり水野美紀の岬美由紀を見たいのでありました。あ、内容に全く触れてなかった〜(笑)。

『千里眼 The Start』 2007.1.25. 松岡圭祐 角川文庫



2007年03月02日(金) 『ぼくが愛したサイコ』 吉村達也

 誠は真希子との結婚を前に気持ちが足踏みをしていた。真希子はイマドキ珍しいタイプで大昔の青春ドラマのヒロインのよう。その大袈裟な純情っぶりッ子が鼻につきだしたのだ。しかし、真希子の両親には気にいられ、新居マンションまで買ってもらう始末。あとは結婚するだけのある花火の夜、誠は素晴らしく美しい女にいきなり首筋にキスをされた。女の名は彩子。あやこではなくサイコという女。サイコと出会ったことにより、誠は恐ろしいジェットコースターに乗ったかのように・・・!?

 藤原伊織さんや五條瑛さんや柴田よしきさん・・・などなどの新刊も読みました。読みましたが、感想も書かないまま。うーん、我ながら重症。気持ちが元気じゃないとなかなか感想を書けないです。半端に書けませんからね。ソノ点、吉村達也さんは重宝します! 読みやすいし、書きやすい! 良くも悪くもお手軽です。でもでもあなどるなかれ、吉村達也。相変わらずアクロバッティな着地をしてくださいます。こうくるのか・・・とあきれます(笑)。煙に巻くのが本当にうまい方です。気分的にヘビィな時は吉村達也さんみたいな路線が気がラクです。大好きです。

『ぼくが愛したサイコ』 2007.1.20. 吉村達也 双葉文庫



2007年02月26日(月) 『ふたつの名前』 松村比呂美

 保奈美が勤めるサードライフと言う会社は熟年、老世代の出会いを提供している。会社の社長に見込まれ、家族は母と優しい義理の父。幸せで恵まれた毎日であるはずなのに、ふとした不安に苛まれてしまう。それは自分のルーツだった・・・

 物語を読む時、作者の人となりを強く感じることがあります。それが作者のカラーとなったかと思うと次の作品で良い意味で裏切られたりする。そんなふうに作者を意識して作品を読めることが出来るって幸運だなぁと思います。実はこの作者の松村比呂美さんとはご縁があって知り合いの仲間に加えていただいています。すごく素敵な方でかわす言葉に人柄が伝わってきます。そんな方が描かれた今回の長編小説『ふたつの名前』は、ミステリー要素もたっぷり、しかもヒロインの成長物語となっていて読んでいて清々しく思えました。タイトルの意味がわかった時にはそっちだったのかーとやられた気分でした。そうであるならば、主人公もまた・・・という無限∞ループ落ちで混沌とするもありかもしれない、ナンテ勝手なことも思いましたが、読了感を考えるとこの結末が一番だったなぁと思います。物語はただ面白いだけでなく希望を与えてくれると自分も頑張ろうと言う気になれます。ヒロインの保奈美がひとつの大きな壁を乗り越えてより素敵な女性になろうとしているところに何より作者の松村比呂美さんを見た気がしました。オススメですv

 ならば、その言葉に責任を持とう。

『ふたつの名前』 2007.2.15. 松村比呂美 新風舎 



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