酔陽亭 酩酊本処
いらっしゃいませ。酔陽亭の酔子へろりと申します。読んだ本や観た映画のことなどをナンダカンダ書いております。批判的なことマイナスなことはなるべく書かないように心掛けておりますが、なにか嫌な思いをされましたら酔子へろりの表現力の無さゆえと平に平にご容赦くださいませ。
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2006年01月30日(月) 『貴族探偵エドワード 銀の瞳が映すもの』 椹野道流

 裕福な貴族の末っ子エドワードは、愛され甘やかされ育った。周囲の心配をものともせず、エドワードが選んだ職業は“探偵”だった。生まれたときからなついているシーヴァとともに、ハジメテの事件に出向き、トーヤというエキゾチックな少年と出会う・・・

 お忙しい椹野道流さまの新しいシリーズです。美少年で貴族で探偵。いやーまさしく椹野道流さんキャラ! 嬉しくなっちゃいました。今回は登場人物の顔見世興行って感じかしらん。私はシーヴァがお気に入り。これはボブまっしぐらでもないようでありますにゃぁ。

「心配じゃなきゃ、怒鳴ったりはしないだろう。どうでもいい奴なら、愛想良くして放っておくさ」

『貴族探偵エドワード 銀の瞳が映すもの』 2005.11.1 椹野道流 角川ビーンズ文庫



2006年01月29日(日) 『グイン・サーガ』71〜75

 リンダは双子の弟であり、パロの王であるレムスと対面し、レムスが邪悪なものに乗っ取られていることに気づき、幽閉されてしまう。ナリスはレムスに反乱を起こす。そしてヴァレリウスはグラチウスと手を組み大導師アグリッパと出会う! ヴァレリウス不在のナリスを補佐するのは、かつてイシュトヴァーンが大切に扱ったヨナのだった・・・

 うーん、すごい、すごすぎる。70巻まで怒涛の展開に驚かされ、75巻までで織り成されてきた人間模様の美しさに驚かされています。ただひたすらに「すごい」としか言えないのだもの。馬鹿みたいに。長い時をかけて語られてきた人物がここでこういうふうなキィマンとして登場してくるのネェと。いやはやそりゃ何十年もかかるって。当然の事ですv
 ここまで来てしまうと本当の骨格がわかってしまって、ナリス様とグインとイシュトヴァーンの3人の望むと望まざるとに関わらない国盗りがあって、そしてそれを凌駕する大きな宇宙規模な世界があって・・・。グインはおそらく超越するもので、ナリス様はそれに気づき憧れている。悲しいことにイシュトヴァーンが一番愚かな人間代表なのかもしれません。それに気づいたからイシュトヴァーンを愛しいと哀れと感じてしまう。ああ、栗本薫って残酷だよ・・・。

『グイン・サーガ71 嵐のルノリア』
『グイン・サーガ72 パロの苦悶』
『グイン・サーガ73 地上最大の魔道師』
『グイン・サーガ74 試練のルノリア』
『グイン・サーガ75 大導師アグリッパ』



2006年01月28日(土) 『グイン・サーガ』66〜70+外伝16

 リギアに伴われてスカールがナリスのもとへ参上、そしてかつて見たノスフェラスの秘密を告白。そしてグインはシルヴィアとオクタヴィア&マリウス&マリニア親子を連れ、ケイロニアに帰還。シルヴィアと結婚し、ケイロニア王となる。イシュトヴァーンは、傭兵時代の対モンゴール行為を告発され・・・

 いやはや怒涛の展開とはまさにこのこと! ナリス様、グイン、イシュトヴァーンの3人が軸だったのだとやっと理解できました(笑)。ナリス様にはリンダやスカールやヨナがいて、グインにはお荷物な(苦笑)シルヴィアやマリウスなどなど多くの信者がいて、イシュトヴァーンにはカメロン船長。なんと言うか、これを描きたくてここまで長々と引っ張ってこられたのねぇ・・・。ふぅ。付き合ってみてよかった。このまま現在の出版ブツまで追いつきたいものにございますv

『グイン・サーガ66 黒太子の秘密』
『グイン・サーガ67 風の挽歌』
『グイン・サーガ68 豹頭将軍の帰還』
『グイン・サーガ69 修羅』
『グイン・サーガ70 豹頭王の誕生』
『グイン・サーガ外伝16 蜃気楼の少女』



2006年01月27日(金) 『エンド・ゲーム 常野物語』 恩田陸

 母が旅先で昏睡状態になってしまった。時子は母・排島暎子が『あれ』と闘ったのだと思う。ひとりきりになった時子が辿り付く真実とは・・・

 『光の帝国』の「オセロ・ゲーム」で母を助け、能力に目覚めた時子の闘いが描かれます。行方不明になった父、意識が戻らない母。たったひとりで闘う時子が恩田陸ならではのキャラクターで嬉しくなってしまう。こういう広がりを見せ、こういう畳み方をするナンテ、陸ちゃんってばヤッパ怖いほどに素晴らしい。はぁ。

 なんと人の心は不思議なのだろう。

『エンド・ゲーム 常野物語』 2006.1.10. 恩田陸 集英社



2006年01月26日(木) DVD『真夜中の弥次さん喜多さん』

 弥次さん(♂)の恋人・喜多さん(♂)はヤク中。喜多さんは弥次さんに「オイラはリアルがわからねぇ」と甘える。喜多さんのリアルを求め、そしてヤク中を治そうと弥次さんは伊勢参りに行くことにする。ふたりの行く先々で待ち受ける珍事件、そしてふたりを待っていた本当のリアルとは・・・

 くど監こと(笑)宮藤官九郎の初監督作品は、彼ならではの感性とクドカンファミリィの個性あふるるものでありました。だいたい人気アイドルの長瀬くんにゲイの役をやらせるナンテ(しかもキスシーンいっぱい)それだけでただものじゃないと思いました。馬鹿と笑いがてんこもりで、そのくせ最後に見えるリアルがなかなかに苦しいもので・・・なんだか不思議だったなぁ。参加している人間みんなで楽しんで作ってる感がひしひしと伝わってきました。面白かった。クドカンはやっぱりすごいよぅ。



2006年01月25日(水) 『グイン・サーガ』外伝10〜15 栗本薫

 淫魔ユリウスにたぶらかされ、拉致されたシルヴィアとグインに会いたいばかりに災禍に巻き込まれたマリウスを助けるため、グインはグラチウスと戦った。無事ふたりを救い出すことができたグインはザザとウーラを従え、新しい戦友リー・リン・レンやシャオロンとの出会いを得ることが出来た。そしてグインは・・・

 やっとグインが愛しいシルヴィアちゃんを助け出しました。グインのパワーが欲しい魔道師グラチウスの執拗さは天晴れだったかも(笑)。新しい出会いもあったし、グインは戦いによって自分の味方を増やしていってるのですね。そしてやっと外伝から本編へ戻れる・・・のかな?(大笑)

『グイン・サーガ外伝10 幽霊島の戦士』
『グイン・サーガ外伝11 フェラーラの魔女』
『グイン・サーガ外伝12 魔王の国の戦士』
『グイン・サーガ外伝13 鬼面の塔』
『グイン・サーガ外伝14 夢魔の四つの扉』
『グイン・サーガ外伝15 ホータン最後の戦い』



2006年01月24日(火) 『ノスタルジア』 小池真理子

 繭子は46歳。ひっそりとひとり暮らしをしている。繭子は15年前に9年間付き合った男を看取った。あの9年間が繭子の全てだった。そんな繭子のもとに彼の息子から会いたいと連絡が届く。彼の息子は繭子と同じ年。いけないと思いながらも逢瀬を重ね、昔の様に惹かれていく繭子だったが・・・

 恋愛モノは得意ではなかったのですケレドモ、年を重ねたせいなのか、小池真理子さんなど特定の女流作家さんのものは読むようになりました。この恋愛モノもただの恋愛モノではなく・・・ラストがすごかった。こういうカタチの恋愛もありだと思いました。小池真理子さんのコノ路線を追いかけてみたいなぁと考えているくらいによかったです。

『ノスタルジア』 小池真理子 講談社文庫 



2006年01月23日(月) 『けものみち』 松本清張

 成沢民子は寝たきりの夫を抱え、割烹旅館で住み込みで働いていた。夫は若くして不随となり、民子への執着と欲望の獣と化していた。31歳女ざかりの民子は出口を求め、割烹旅館の客・小滝の誘いに乗り、夫を焼き殺し・・・

 この『けものみち』は今から40年くらい前の作品。なのに読んでみると現代でもきっちり通用するものでありました。やはり松本清張さんってすごい方だったのね。小説を読むと言うより、映像化されたものでしか接していなかったので、松本清張さんの作品を読んでみるのもいいかもしれないと感じました。
 さて、その映像化されたテレビドラマ『けものみち』を見て原作を読んでみた訳ですが、物語の骨格はそのままで、ドラマとしてはかなり今風のアレンジがなされています。小説では流されるヒロインでありましたケレドモ、ドラマではしたたかな物語を動かすパワーを持たせている感じ。なんにしても覚悟を決めた女はすごいものだわ。

『けものみち』上下 松本清張 新潮文庫



2006年01月22日(日) 『向日葵の咲かない夏』 道尾秀介

 小学4年生の夏休みの前の日、ミチオは休んだS君の家にプリントや宿題を届けに行くことになる。途中、悲惨な殺され方をした猫を発見。この手の犬猫殺しが多発しているが、自分が発見してしまうとは。そしてS君の家ではS君が自殺していた。しかも大人たちが出向いた時、S君の死体は消えていた・・・

 うー。本当にこれってすごい話なのかもしれない。合わない人は徹底的に毛嫌いしそうな世界。私はこういう歪んだ世界が嫌いじゃない。嫌いじゃないケレドモ、ものすごく空恐ろしい気がした。なんだか、なんと言っていいのか・・・。その歪み方にひたすら圧倒されていた。

「僕だけじゃない。誰だって、自分の物語の中にいるじゃないか。自分だけの物語の中に。そして、その物語はいつだって、何かを隠そうとしているし、何かを忘れようとしているじゃないか」

『向日葵の咲かない夏』 2005.11.20. 道尾秀介 新潮社



2006年01月21日(土) 『グイン・サーガ』61〜65

 イシュトヴァーンの国盗りは、図らずも壮大なものへなっていく。ナリスは、イシュトヴァーンとは別に自分の国盗りのためにリギアを草原のスカールのもとへ旅立たせる。レムス国王に反逆することに決めたナリスは、リギアにリンダにスカールに心情を吐露するのだった・・・

 タイトルロールの主人公グイン不在でどんどん物語りは進んでいます(笑)。イシュトヴァーンは戦場という己が一番生き生きとする場で剣を振り回し、己が夢をつかもうとし、身体が動かないナリス様は頭と周りの親衛隊の力に寄って夢をつかもうとしている。うーん、それぞれの浪漫。
 ただ、リンダがかわいそうだとハジメテ気づきました。まさかナリス様と結婚して尚、乙女のままだったなんて。ナリス様は相変わらず罪深いお方だこと。リギアは恋しい男と再会できて本当によかったね。それだけは救いだった。個人的にはスカール様がむちゃくちゃにタイプ。ああっ、そんな男が欲しい!

『グイン・サーガ61 赤い激流』
『グイン・サーガ62 ユラニア最後の日』
『グイン・サーガ63 時の潮』
『グイン・サーガ64 ゴーラの僣王』
『グイン・サーガ65 鷹とイリス』



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