酔陽亭 酩酊本処
いらっしゃいませ。酔陽亭の酔子へろりと申します。読んだ本や観た映画のことなどをナンダカンダ書いております。批判的なことマイナスなことはなるべく書かないように心掛けておりますが、なにか嫌な思いをされましたら酔子へろりの表現力の無さゆえと平に平にご容赦くださいませ。
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2006年01月09日(月) 『グイン・サーガ』51〜55 栗本薫

 ナリスを慕う学生達の暴走の果てに、反逆罪として囚われ、拷問を受けたアルド・ナリス。解放されたナリスを待っていたのは怪我による命の危険を回避するための残酷な処置を施される。回復に向うナリスはレムスに宰相の位をヴァレリウスに譲る事を直訴し、公の場から姿を消すと共にヴァレリウスを傀儡として暗躍することに・・・。一方、イシュトヴァーンはアリの張り巡らした陰謀に踊らされ、クムとユラニアの婚礼の場で血の嵐を降らせるのだが・・・。

 ・・・ナリス様がトンデモナイ目に遭うことはチラリと聞いていたのですケレドモ、まさかこんなことになるなんて(驚愕)。美しすぎるナリス様にはあまりにも過酷。でもどうも本人はそれはそれとして嘆く事もなく、淡々と前向きなのでナリス様らしいと言うか、そこがまた恐ろしいと言うか。どうなってしまうのかしら。ナリス様はグインの最後まにはいないのでしょうねぇ(想像)。イシュトヴァーンは相変わらず単純明快で、まぁカメロン船長が側にいてくれればヨシでしょうか。カメロン船長の活躍で《煙とパイプ亭》の面々が救われて本当に良かったv

『グイン・サーガ51 ドールの時代』
『グイン・サーガ52 異形の明日』
『グイン・サーガ53 ガルムの標的』
『グイン・サーガ54 紅玉宮の惨劇』
『グイン・サーガ55 ゴーラの一番長い日』



2006年01月06日(金) 『港町食堂』 奥田英朗

 奥田英朗さんの抱腹絶倒旅エッセイです(嬉)v エッセイって人柄がそのまんま出ちゃうので、今まで面白いと思ったのは浅田次郎さんくらいじゃないかしらん。しかーし、さすがは奥田英朗さんであります。文句なく面白くって本で初笑いしちゃいました〜。テンポがいいし、言葉の操り方がむちゃくちゃフィットするのよねぇ。船上で嬉しさのあまりダンスしてみたり、ムカデにさされて診て貰った女医さんに恋したり、スナックの美人ママに叱られたいと願ったり。やっぱり奥田節はたまりまへんなぁ。笑えますv

 つまんねえ人生。面白いのは文章だけだ(自己申告)。

『港町食堂』 2005.11.20. 奥田英朗 新潮社

 



2006年01月05日(木) 『グイン・サーガ』46〜50 栗本薫

 グインに捨てられ、傷心のままモンゴールへ戻ったイシュトヴァーンは、ヴァラキアを捨て自分のためだけにやってきたカメロンの存在に心を癒される。そしてアムネリスとの婚約を決意する。一方、パロではナリスとリンダは幸せの絶頂。ナリスは国王レムスの嫉妬による不遇も気にせず、リンダを伴い学生の街アムブラで若人たちとの交流を楽しんでいた。しかし、若く真っ直ぐな学生達はレムスの悪政を批判し、ナリスを「ナリス陛下万歳!」と騒ぎ出し、そのことにより反逆罪としてナリスは幽閉されてしまう。レムスに憑いていた悪霊カル・モルと関係のあるらしき魔僧カル・ファンによってナリスは・・・

 んー、とうとう50巻まで読破いたしました! いやぁなんと言うか、ちょっとばかし感無量(笑)v この妖しく壮大な物語にすっかり馴染んでしまいました。栗本薫さんが繰り返し描く《恵まれすぎた人間の孤独》は、この物語にも大きく現れています。中でも一番の宇宙人の孤独はナリス様なのかもしれないですねぇ。ずば抜けた頭脳で全てを見渡してしまう。それを理解してもらえない孤独。またそんなナリス様に魅入られてしまった哀れな魔道師ヴァレリウス・・・。ナリス様も性格悪いからなぁ・・・。

『グイン・サーガ46 闇の中の怨霊』
『グイン・サーガ47 アムネリスの婚約』
『グイン・サーガ48 美しき捕囚』
『グイン・サーガ49 緋の陥穽』
『グイン・サーガ50 闇の微笑』



2006年01月04日(水) 『グイン・サーガ』40〜45 栗本薫

 イシュトヴァーンとグインは戦場で再会し、グインはかつてイシュトヴァーンの頼みを断り去ってしまったことを詫びる。拗ねていた心が溶け、素直に喜び再会を楽しむイシュトヴァーンだったのだが、グインはシルヴィアを探すためにイシュトヴァーンに言葉もかえないでまたもや捨て去ってしまう。二度までもグインに去られたイシュトヴァーンの心は前回よりも深く傷ついてしまう。醜く自分に妄想を持っている参謀アリを疎ましく思いながらも今のイシュトヴァーンにはアリしかいないのだった・・・

 なんだかねぇ・・・罪作りなグインはイシュトヴァーンの前からも読者の前からもまたもや消えてしまいましたよー。トホホ。あんな見掛け倒しの男にいいようにされちゃったシルヴィアちゃんをどうしてそこまで追い求めるのかしらん。そして哀れなイシュトヴァーンは満たされない孤独感でいっぱいでトッテモ可哀想です。こういう星の下に生まれた男って栗本さんの好きなタイプよねぇ。容姿とか才能とかに恵まれているのに満たされないって感じ。だんだん母性がイシュトヴァーン擁護的に走り出したようです。危ない傾向だわ(笑)。

『グイン・サーガ40 アムネリアの罠』
『グイン・サーガ41 獅子の星座』
『グイン・サーガ42 カレーヌの邂逅』
『グイン・サーガ43 エルザイムの戦い』
『グイン・サーガ44 炎のアルセイス』
『グイン・サーガ45 ユラニアの少年』



2006年01月03日(火) 『死後結婚』 岩井志麻子

 京雨子は、尚一との付き合いに倦み、別れたいがために見合いをし、慶彦と付き合うようになった。結婚を前提に付き合いが始まり、京雨子は落ち着き始めるのだが、慶彦の付き合いの関係で知り合った沙羅という不思議な素敵な女性に惹かれる。沙羅の内縁の夫が自殺をし、沙羅が死後結婚をすると言うので韓国へ同行することのなる。韓国では、死者と生者との婚姻の儀式があると言う・・・

 2005年の大晦日に読んだ志麻子ねぇさんのナカナカな物語です。岩井志麻子さんの作品は個人的には激しく当たりと外れがあるのですケレドモ、これはいいなぁと思いました。ずば抜けて素晴らしいとまでは言えないにしても、志麻子ねぇさんコノ路線グーですよって感じでしょうか。生と死が入り乱れる感じはうまいと思いました。持ち味のエロさはしっかり健在ですしねv

「意外ね。好き嫌いなさそうなのに」
「男と食べ物は、偏食が激しいの」
「あら、気が合うわ。私もよ」

『死後結婚』 2005.12.31. 岩井志麻子 徳間書店



2005年12月31日(土) 2005酔陽亭のこの人を(小路幸也さん)読んで

 ここ数年いちばん「いい!」と思っている作家さんは小路幸也さんです。この方の持ち味は《人が人として忘れちゃいけないモノ》をしっかりと伝えてくださることにあると思います。温かくて優しくて切なくて。注目度ナンバー1の作家さんであります。必ずこれから大きく大きくブレイクされること間違いありません。だからまだ読んだことのない方は是非読んでいただきたいですね。心の芯から温かくなる感覚を味わって欲しいなぁ。こういう世の中だからこそ、こういう物語が必要なんだ!と私は思うのです。



2005年12月30日(金) 2005酔陽亭のこれ読んどけ本

 今年は本当にたくさんの本を読めました。おそらく今までの人生で一番たくさん読めた年なのではないかしら。面倒臭いので数えないですケレドモx さて今年の酔陽亭の《これ読んどけ》は、ふたつだけご紹介させていただこうと思います。
 ひとつは現代の語り部・宮部みゆきさんの『孤宿の人』です。これは唸るほどに素晴らしい物語でした。また読み返したい本でもあります。日本人ならこれを読め、と言う気持ちです。
 もひとつは金城一紀さんの《ゾンビーズ・シリーズ》の三冊を続けて是非v ひさびさにコノ手の物語に素晴らしいものが出て来たって小踊りして喜んだくらい大好きです。まだまだシリーズとして続きそうなので今後も期待ですv
 
 正直なところ様々なベストものの本などを見るにつけ、人の好みや温度差に驚かされてしまった年でもありました。好きだと思った本を同じように好きだと感じる感性、それが近くないと話しにならないのかもしれませんね。だから酩酊本処を読んでくださって感性が近い方には「これ読んどけ」と言いたいです。狭い範囲だろうなぁ。
 個人的には、闘いを挑むかのように栗本薫さんの『グイン・サーガ』シリーズに手を出しました。これもまた好き嫌いの世界なのでしょうが、私的にはドップリはまっています。長い休みだからこそ出来るチャレンジを楽しめた年だったと言えましょう。来るべき2006年の読書シーンも本当に楽しみですv 私の基本はやはり本を読むことだから。それをつくづく思い知った一年なのでありました。



2005年12月29日(木) 『グイン・サーガ』35〜39+外伝9

 ナリスと結婚をしたリンダは幸せに満たされていた。ナリスはリンダを学生街アムブラへ連れて行き、若き才能あふるる仲間たちを紹介する。その中にはあのヨナもいた・・・。
 マリウスはイリスことオクタヴィアが妊娠したため、トーラスの煙とパイプ亭に身を寄せる。そこでイシュトヴァーンがモンゴールの王の座を狙っていると知り、ケイロニアのグインに相談へ出向く事になる。
 ケイロニアに向うマリウスはイシュトヴァーンと遠目から再会を果すのだが、イシュトヴァーンの様子は以前とは全く異なっていた。欲しいものを手に入れつつあるイシュトヴァーンだったが、心は何故か満たされないのであった・・・

 なんともはやイシュトヴァーンには可哀想な展開となって参りました。若々しく飄々とした美青年が、物憂げな大人の男に変貌しつつありますね。しかし、参謀のアリの存在はどうにも危うい。イシュトヴァーンへの偏愛は背筋が寒くなるほど。イシュトヴァーンはどうなってしまうのかしら。方やリンダはナリス様にことのほか愛され、幸福の絶頂にいます。このまま幸せかどうかはちょっと疑問。そしてあのナリス様の異母弟マリウスが再登場です。イシュトヴァーンとグインの狭間でどう動く?マリウス・・・

『グイン・サーガ外伝9 マグノリアの海賊』
『グイン・サーガ35 神の手』
『グイン・サーガ36 剣の誓い』
『グイン・サーガ37 クリスタルの婚礼』
『グイン・サーガ38 虹の道』
『グイン・サーガ39 黒い炎』



2005年12月27日(火) 『夜魔』 甲田学人

 夜色の外套を着た魔人・神野陰之という存在が狂言回しとなり、いくつかの奇妙で不思議な話が動き出す・・・

 ん〜、ホラーではないですね。不思議な静かなトーンの奇妙な物語と言いますか。乙一さんの世界に近い感じが気にかかりましたケレドモ、なかなかに良かったと思います。この神野陰之でまだ物語りは続きそうです。これを漫画とか映像にした方がわかりやすいかもしれません。小説と言うよりは脚本のように思えたのでありました。これからに期待ですね。岡山の方ですしv

「ならば ー “物語”を始めよう」

『夜魔』 2005.11.30. 甲田学人 角川書店



2005年12月26日(月) 『金春屋ゴメス』 西條奈加

 辰次郎は、病床の父から頼まれ難関300倍の江戸入国を果した。江戸で辰次郎は《金春屋ゴメス》と異名を持つ長崎奉行のもとへ行くこととなる。実は辰次郎は幼い頃に江戸で暮らしていたらしいのだが、その記憶が無い。失われた辰次郎の記憶を求め、江戸で大騒動が起こるのだが・・・!?

 タイトルと装丁に惹かれ、読んでみました。これがトッテモ面白かったのです。なんと言っても日本の中に独立国として江戸が存在し、入るには300倍の難関が待ち受けていると言う・・・。なんともこの訳ありの設定がそそります。残念ながらもう少しプラスαがあるといいのにと思ったのは、なにが足りなかったのかしら。うーん。でもオススメです。こういう物語はことのほかスキスキ。

「結果の良し悪しは、それはやってみなければわからない。そこから先は神仏が決めることで、ほかの誰にもわからない。だがな、何かの行いを為す前に、ちょうどいまのように人のために心の底から真剣に考えることは、これがいちばん大事なことだ」

『金春屋ゴメス』 2005.11.20. 西條奈加 新潮社



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