酔陽亭 酩酊本処
いらっしゃいませ。酔陽亭の酔子へろりと申します。読んだ本や観た映画のことなどをナンダカンダ書いております。批判的なことマイナスなことはなるべく書かないように心掛けておりますが、なにか嫌な思いをされましたら酔子へろりの表現力の無さゆえと平に平にご容赦くださいませ。
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2005年12月15日(木) テレビドラマ『逃亡者・木島丈一郎』

 子供を人質に立てこもった事件をガラの悪いチンピラのような風情(笑)の木島丈一郎が突入し、ぶじ解決。助けた子供は何かに怯え、木島から離れたくない様子。木島の同期の稲垣管理官から頭ごなしに「子供を連れて来い」と言われ、木島はなにやら納得できなくなる。そして「自分の目で確かめるしかない」と子供を連れて逃げ、誰が敵なのかわからないままに北へ向う列車の中で子供がある事件の目撃者であることを知り・・・

 いやぁ、ものすごく面白かったですv 熱心な<踊る>ファンと言うわけではないのですケレドモ、このシリーズのテンポのよさやノリのユニークさはトッテモ好みなのであります。今回は気になる役者・寺島さんが主人公と言うことで録画しておきました。この寺島さん扮する木島丈一郎と言う異色なキャラクターは最高にブットビだー! ガラが悪くて口が悪いが心優しき木島丈一郎。彼主演の連続ドラマを作って欲しいくらいだわ。らぶv どうもユースケの映画とかなりリンクしているらしいので、交渉人を観たいー。ユースケってどうも魅力を感じないのだけど、いい役になるよねぇ。不思議だ。しかし、織田裕二はこの流れをどんなふうに見ているのか気になるところ。長さん亡き今、本家の<踊る>はどうなってしまうのかしら。



2005年12月14日(水) 『ハートブレイク・レストラン』 松尾由美

 寺坂真以はフリーライター。たまに気分転換に行くファミリーレストランはなんとなく妙な感じだ。しかし、長居できるので真以はお気に入り。ひょんなことから常連のおばぁちゃんと知り合いになるが、このばぁ様なかなかの推理力を持っていて・・・

 いいですねー。さすがは松尾由美さんv 彼女ならではの世界ですぅ〜。心にぽっと灯がともるような温かさと、ほんの少し悲しい感じがトッテモいい。真以が知り合った不思議なばぁ様(ハル様)の名探偵ぶりもグー。考えてみれば、妙なモノ(椅子だった事もある)を探偵に仕立てますよねぇ。アハハ。寒い夜にオススメの一冊v

 そもそも『今どう思われているだろう』などとくよくよ考えるのではなく、『今より少しでも好きになってもらうにはどうしたらいいか』、それを考えるべきなのですね。

『ハートブレイク・レストラン』 2005.11.25. 松尾由美 光文社



2005年12月13日(火) 『グイン・サーガ』16+外伝3と4

 いきなりパロと言う麗しいらしい(笑)国からトンデモナイ魔境へワープさせられた真珠と呼ばれる双子の王子レムスと王女リンダが、ついについに16巻にして(大笑)クリスタルパレスに戻る事ができましたっ。アハハハハ。これがたぶん主人公らしい(だって16巻でいない)豹頭のグインの物語のプロローグとなるらしいです。ここまで長いことやられると作者を信じられません〜。まぁ、なんにしても弱弱しい(リンダはかなり気だけは強いケレドモ)双子が、妙な15巻に渡る闘いで変化を遂げたらしいです。ふたりを迎えた麗しのナリス様の腹黒さだけは変わりなく健在。そしてナリス様一筋のリギア姐さんVSナリスを胡散臭いと感じているヴァレリウス! これが個人的には見どころであります。こういう長い長い物語となると自分のお気に入りをGETできるか否かが読み続けることができるか否かの大きな分かれ道となる気がいたします。はい。

『グイン・サーガ16 パロへの帰還』

『グイン・サーガ外伝3 幽霊船』
 イシュトヴァーンの若い頃のやんちゃ物語。カメロン船長の魅力に気づかされました。うふふ。

『グイン・サーガ外伝4 氷雪の女王』
 グインとイシュトヴァーンとマリウスの珍道中(?)。16巻まで読んだところで、マリウスを女々しいとは感じていたケレドモ、ここまでとはねぇ。イシュトヴァーンは女大好きでもいい加減でも許せちゃう、お得キャラなのですねぇ。グインはグインらしくて笑える。女だらけの奇妙な村、素敵過ぎます。ウフフフフフv



2005年12月12日(月) 『螺旋宮』 安東能明

 和彦と年恵には欲しくてたまらないものがあった。それはふたりの子ども。不妊治療を続けても授からず、諦めかけていたところへ不思議な申し出が舞い込んだ。藁をもつかむ思いで挑戦する事にしたふたり。それは地下奥深い一室で外界を遮断し一ヶ月生活すると言うものだった。最初はとまどいながらも、ふたりだけの生活に馴染んでいき、一ヶ月を過ごし終えた後、年恵は妊娠したのだった!?

 ううーむ(悩)、最初はすごく面白くて引き込まれたのですケレドモ、終盤に近づくうちに私には難解というか、違和感がありました。題材が面白いだけに個人的に惜しい気分でいっぱいです。
 子どもが欲しいという本能のようなものへの執念というか、妄執というか、すさまじい・・・。こんなものなのかしら。私はあまり子どもを欲しいと思ったことがなくて、今ひとつ理解できないのですね。子どもが欲しいという気持ちの強い人にはもっと理解できるのかもしれませんねー。

『螺旋宮』 2005.11.30. 安東能明 徳間書店



2005年12月10日(土) 『東京タワー オカンとボクと、時々、オトン』 リリー・フランキー

 ただいま大人気の『東京タワー オカンとボクと、時々、オトン』を読みました。作者のリリー・フランキーさんの芸名(でいいのかしら)の由来が気になって調べてみたのですが、わからなくって。気になるー。何故にどうしてあなたはリリー・フランキーなの? 知っていらっしゃる方は是非にお教えくださいませ。
 この物語は、リリーさんがお母さんの病床の横で書き始めたそうです。苦労をかけた母親への息子からのラブ・レターなのでしょうね。波瀾万丈な少年時代を愛情いっぱいに育ててくださった母親への愛がしっかりと伝わってきます。年を取って上京して息子と暮らす母親の可愛らしさや幸福感が手に取るように感じられました。リリーさんの彼女たちもお母さんを慕うって素敵なことだわ。羨ましい。
 母から息子へ、息子から母へ。ふたつの方向からの無条件な愛の深さが多くの人の心を打っているのでしょうね。読めてよかったと思います。装丁の東京タワーの文字‘京’の中に東京タワーのシルエットが組み込まれていてトッテモ素敵です。リリーさんが心をこめて手がけたことがしみじみと伝わります。素敵。素敵。パチパチパチv

『東京タワー オカンとボクと、時々、オトン』 2005.6.30. リリー・フランキー 扶桑社



2005年12月09日(金) 『狂桜記 大正浪漫伝説』 栗本薫

 大正時代、柏木幹彦は桜屋敷と呼ばれる大きな屋敷の息子だった。この家は大きな屋敷だけでなく、入り組んだ人間模様そのままに、多くの人間が住んでいた。美しい母や出戻りの叔母、多くのいとこたち。中学生の幹彦には自分との血縁関係すらわからない男も離れに住んでいた。そして土蔵から聞こえる不思議な声。少年から大人へ成長しかけた幹彦の周辺で起こる不可思議な連続の死・・・

 栗本薫さんの『グイン・サーガ』シリーズを読み始め、少し中休みを取りながら、栗本薫さんの他の世界を読んでいました(笑)。私が栗本薫さんと出会ったのは『天狼星』で伊集院大介ものでした。あの妖しい昔懐かしい世界に魅了され、ついつい読んでしまうのですよね。なんとなしにどれもこれも似たトーンであるにもかかわらず。おそらく栗本薫さんの愛した世界に似たなにかを私は愛しているのでしょう。だから切っても切っても金太郎飴な物語を飽きることなく読み続けてしまう。栗本薫さん流に表現するならば、栗本薫の妖しい世界に淫しているのです。きっとこれから先も変わることなく。

『狂桜記 大正浪漫伝説』 2005.10.25. 栗本薫 角川書店



2005年12月07日(水) 『夜市』 恒川光太郎

 いずみは微妙に気になる存在の裕司に誘われ不思議な夜市に足を踏み入れる。ここでは不思議なものが何でも手に入るらしい。だんだんと怖くなってくるいずみに裕司はオソロシイ過去を語る。その昔、自分が手に入れたかったものの代金と引き換えに弟を置き去りにしたことがあると言うのだ・・・

 とても評判の良い第12回日本ホラー小説大賞受賞作です。読んでいる時に懐かしいトーンに包まれて、怖いと言うより幼い頃の夕暮れにひとりぼっちな気分になりましたねぇ。心許ない感じとでも言いましょうか。今市子さんの漫画『百鬼夜行抄』で描かれそうな世界でした。これが受けると言うことはホラーがただひたすらに怖かったりエグかったりするブームが去ったと言えるのかもしれません。ポイントは余韻ねv

「じゃあ、何に見える?」
「泣きそうな人」

『夜市』 2005.10.30. 恒川光太郎 角川書店



2005年12月06日(火) 『グイン・サーガ』11〜15 栗本薫

 モンゴールに侵略された麗しパロ王国は、草原の風雲児スカールの奇抜な戦略やレムスの率いる奪還軍によってではなく、死んだはずのナリスの策略でクリスタル・パレスを奪還に成功。ナリスに恋をし骨抜きにされたアムネリスは、ナリスの陰謀を知り、復讐の女神として立ち上がるのだが・・・!?

 えーっと戦乱篇の5巻をつらつらっと読みました。どうも贔屓のキャラガ出ていない時には流して読んでしまうのよねぇ。パロに対してどう出るかという他国の会議がやたらめったら長くって、まぁ実際には当然なのだケレドモ、ただひたすらになげーよと挫けそうになりました(笑)。しかも、主役であるはずのグインがどっかに行っちゃって全く顔を見せなくなりました。いや、出てきてもタイガーマスクなので顔は見えないんだけどね。ヒャハハ。
 今のところ気に入っているのは女ったらしのナリス様とアチラへコチラへと極端な性格のアムリネスですね。ナリス様は一般受けしていないらしいし、アムネリスは嫌われているらしい。うーん、どうも一般感覚とはずれているみたいだなぁ。あとがきで栗本さんがオジサンと言っているスカールなんてこれからいい味を出してくれそうで楽しみなんだけど。正統派ハンサムや正統派いい娘ちゃんなんてのは全く興味わかなくってよー。

『グイン・サーガ11 草原の風雲児』
『グイン・サーガ12 紅の密使』
『グイン・サーガ13 クリスタルの反乱』
『グイン・サーガ14 復讐の女神』
『グイン・サーガ15 トーラスの戦い』



2005年12月05日(月) 『左手の記憶』 新津きよみ

「無視する女」
 近所の美人主婦が私を無視するソノ驚くべき理由とは・・・!?

 新津きよみさんの短篇集『左手の記憶』を読みました。デビューから17年半の間に書かれた短篇から選ばれたそうです。新津きよみさんは大好きなので自分では読み込んでいるつもりだったのですケレドモ、読んでいない方が多くって驚いてしまいました。嬉しい誤算でありました〜v
 個人的な好みから言えば、主人公が女性である方が断然面白いと思っています。中でも一番ゾゾゾとしたのは「結ぶ女」という作品。ラストは完璧ホラーでした。文句なくオモシロイと思ったのが上記ピックアップの「無視する女」であります。近所の美人主婦が無視をする理由、それがまた女ならワカルわかるという性的欲求不満だったので、うわぁーいと二重に喜んでしまいました〜。セックスって満足できるかできないかって大きなことだと思うのですよね。でもなかなか女性がそれを詳細に声だかに言えないもののようで。悶々としている人も多いことだろうなぁ。

『左手の記憶』 2005.11.20. 新津きよみ 出版芸術社



2005年12月04日(日) 『グイン・サーガ』6〜10+外伝2 栗本薫

 パロでは、真珠の従兄アルド・ナリスが囚われ、モンゴールの王女アムネリスとの政略結婚話が進められていた。なにか考えのあるらしい麗しの貴公子ナリスはアムネリスとの結婚を承諾する。男まさりのアムネリスがナリスの手練手管にコロリといかれ(笑)、生まれてはじめての恋に落ち、なにも見えなくなってしまった裏で、アムネリスの弟ミアイルが暗殺される。ナリスの真意はいったいどこに・・・

 アハハ。5巻でやっとパロの真珠たちがパロに向って帰りはじめたケレドモ、一向に帰れません(大笑)。ふたりの真珠がグインとイシュトヴァーンとスニに守られながら悪戦苦闘している間に、パロ王国では真珠の従兄のナリス様のやりたい放題! 笑った。笑った。今回の6巻から10巻までの陰謀篇では、宿敵ふたりの美少女アムネリスVSリンダが揃いも揃っていとも簡単に恋に落ちます。初心な少女の恋というものは確かにあんなふうだったかもしれません(遠い目)。そのふたりの美女の激しい恋の裏でアムネリスの弟ミアイルは殺され、リンダの弟レムスは不思議な変化を見せ始める・・・。ミアイルは可哀想だったなぁ。またナリス様の異母弟マリウス様がミアイルと関わる様が美しくてボブボブな感じでむふふ、と思っていたのに、マリウス様もかわいそうに・・・。
 さて相変わらず遅遅としてすすまぬ物語はどんな方向へ転がり始めるのでしょうか。楽しみです・・・。

グイン・サーガ 6 『アルゴスの黒太子』
グイン・サーガ 7 『望郷の聖双生児』
グイン・サーガ 8 『クリスタルの陰謀』
グイン・サーガ 9 『紅蓮の島』
グイン・サーガ10 『死の婚礼』
グイン・サーガ外伝2『イリスの石』
 今回の外伝は、グインがマリウス様と旅を共にすることになります。なんとなくこの外伝のニュアンスがつかめてきましたv 栗本薫さんが本編で叶わぬ妄想を書いてらっしゃるのでしょうね。それをパラレル・ワールドと言い切ってるところがスゴイ。小さなところを気にしないでソレはソレとして楽しんじゃえって感じが好きです。外伝では前回に続いて魔女タニアが登場。この毒々しい悪女はいいですねー。悪女とか悪役あってこそ主人公達が引き立つってもんですネ。



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