酔陽亭 酩酊本処
いらっしゃいませ。酔陽亭の酔子へろりと申します。読んだ本や観た映画のことなどをナンダカンダ書いております。批判的なことマイナスなことはなるべく書かないように心掛けておりますが、なにか嫌な思いをされましたら酔子へろりの表現力の無さゆえと平に平にご容赦くださいませ。
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2005年05月27日(金) |
『小説以外』 恩田陸 |
エッセイが苦手・・・と言う陸ちゃんが、さまざまな場所でちょこちょこ書かれたエッセイや解説をまとめられたものです。これが陸ちゃんファンには垂涎の一冊。本当に読めて嬉しい、ファン心理。あとがきでしばらくエッセイは出ないから、小説でお会いしましょうと締め括られていますが、陸ちゃーん、エッセイも書いてくださーい! あなたの人柄に触れることのできる至福の文章なのでありますよ。面白かった〜。
『小説外』 2005.4.30. 恩田陸 新潮社
2005年05月25日(水) |
酩酊混乱紀行『恐怖の報酬』日記 恩田陸 |
飛行機嫌い(と言うより恐怖症)の作家・恩田陸さんが、イギリス・アイルランドへ取材旅行に行く事になり、その恐怖心を抑えるために書き始めたものをエッセイとしたそうです。これは今まで読んだ中でも最高に面白いエッセイでございました。抱腹絶倒ですわよv 陸ちゃん(個人的には勝手にこう呼んでいる)の恐怖心がよーくわかるし、お酒好き(陸ちゃんはビール党)っぷりが痛いほど(笑)わかっちゃって、ファンにはたまらない一品となっておりますです。はい。陸ちゃん曰くエッセイは苦手だそうですが、癖になる味わいを堪能できます。超オススメvv
ところで、よく言われることだが、笑いと恐怖は紙一重である。
酩酊混乱紀行『恐怖の報酬』日記 2005.4.25. 恩田陸 講談社
2005年05月23日(月) |
『花まんま』 朱川湊人 |
「花まんま」 俊樹の妹フミ子が生まれた日、お父ちゃんは大喜びだった。しかし、事故に巻き込まれあっさり他界。そのあとはお母ちゃんが苦労して僕たち二人を育ててくれた。四歳の時、フミ子は高熱を出し、それを境に変わってしまった。自分より子供のはずのフミ子がやたらおとなびた行動を始めたのだ・・・
お兄ちゃんっていいですね。妹への複雑な思いやりがすごくよく伝わってきました。幼いフミ子の大胆な行動に振り回され、自分もまだまだ子供なのに必死で守ろうとする姿がよかった・・・。フミ子の謎の行動のことはトテモトテモせつなかったけれど。 今回の朱川さんの短篇は実は全部よくてどれを取り上げるか悩みに悩んだのです。「妖精生物」の淫靡さも捨てがたかった! 「摩訶不思議」には笑えたし、「送りん婆」の落ちなんて賛否両論あろうともそーだそーだと声を出してしまったくらい。全体的に昔懐かしいセピアなトーンで非常に好みなのです。オススメ。
(市立病院やから、きつい病気の人も入院してはるのに・・・・・・アホな親子やな)
『花まんま』 2005.4.25. 朱川湊人 文藝春秋
2005年05月22日(日) |
水曜どうでしょうドラマ『四国R-14』 |
札幌のしがないローカルタレント大沼陽は、藤木Dと上島Dに呼び出され‘また’四国へ行く事になった。藤木は編成部の小宮からドラマ作りを勧められ、以前の四国ロケでの怪奇現象をドラマにしたいと考えたのだ。その怪奇現象の一部をあまりに不気味だったため藤木と上島は大沼に隠していた。旅先で不信感を抱いた大沼は、ふたりに何を隠しているのか詰め寄る。そして撮影が始まり、写る筈の無い写りこんでいた風景とはいったい・・・。
これは驚きました! 今や社会現象となりつつある「水曜どうでしょう」の全国への広がり。あなたも私もどうでしょう馬鹿に!?・・・そんなお笑い系のノリのバラエティ陣が作り出したドラマはすごいものでした。ホラーと言うより、感動しました。そういう落としにくるとは思いもよらなかったから。脚本を担当した上島こと嬉野Dの才能には脱帽。あのラストは泣けました。R−14はロール14のこと。このドラマの元になったロケのテープの14本目のことです。 さてさて、このドラマの中で上島を演じた音尾琢真が素晴らしかったです〜。TEAM−NACSの中で俳優としてはたくちゃんが一番すごいかもしれない。地味だけど暖かくて確かな存在感があるのです。目は離れているけれどファンの心は離しません(笑)。もうひとり敢闘賞は全てのエキストラをこなした佐藤重幸さん。いつもハンサム、ハンサムと持ち上げられ、ナルシストっぽい人だと感じていましたけど、このエキストラっぷりは拍手もんです。不気味で怖いトーンなのに何故だかエンドロールの三人とシゲさんの絡みが最高。これってそのうち火曜サスペンス劇場とかで取り上げたらいいのになぁ。あ、ビデオ化したから次はDVDか〜。
2005年05月21日(土) |
『傀儡奇談』 椹野道流 |
USJに遊びに行った敏生(森さん抜き)は、かつて関わった事のある少女ふたりに再会する。当時、女子高生だったふたりは美しい女性に成長していた。森さんに淡い思いを抱いた桐枝(森さんの亡き恋人・霞波に生き写し)は、ライブハウスでプレイをしていて、ファンからあるものを預けられていたのだが、そのものがものだけに不気味な影を落とし・・・
夏には滅法弱い森さんを置いて敏生がUSJでヴァカンス。そこで厄災の種を拾ってしまうあたり、さすが敏生クンであります(笑)。今回はファンというもの、表現をするものの責任感を強く訴えかけられました。 まずはファン。ファンと言ってもさまざまで傍迷惑なストーカーなのにファンと勘違いしている人たちもいる! 本当にたくさんいる!! ファンならば好きな人を困らせたり、付きまとったり、わずらわしくすべきじゃないのに、お構いなし! ま、結局あんまり程度の良くない人間がなりがちなのですねぇ。ファンならどう応援すれば好きな人が喜ぶかを考えるべきであって、自分の好きな思いをぶつけるもんじゃなーい。声を大にして言いたいね、私ゃ。 そしてこれは感心したのですが、椹野道流さんの表現者の覚悟をひしひしと感じ取れますよ。自分が発したものへの反応を受け入れる覚悟がいる。それがなければ表現者でいられない・・・素晴らしいプロ意識だ! だから好きなんだなぁ、椹野道流さんのこと。
・・・・・・あるいは、どんな形であれ表現者であり続けるつもりなら、自分の言葉や行動が引き起こすすべてのものを受け止め、立ち向かう覚悟が必要だ。
『傀儡奇談』 2005.1.5. 椹野道流 講談社
2005年05月20日(金) |
『HEARTBEAT』 小路幸也 |
「十年後に会おう」、高校時代に成績優秀真面目な委員長と美しき不良少女(ヤオ)の間で交わされた約束。そして僕は<暗闇>から帰って来た。ヤオに一億円を渡すために。しかし約束のその場所に現れたヤオの夫からヤオが失踪している事を知らされる。ヤオを探すために協力してくれそうな男を思い出した。僕にカッコいいブックマッチの擦り方を教えてくれた巡矢(めぐりや)・・・
東京創元社さんのミステリ・フロンティアには当たりの作品が多くて、新刊を心待ちにするシリーズとなっています。そのミステリ・フロンティアに小路幸也さんが参戦! はらはらどきどきしてしまいました。そして泣きながら読み終わり(小路さんの物語には泣いてばっかり)、「大当たりだ」とポツリ。どうして小路さんの描く物語はこうも私の心を鷲づかみにするのだろう。優しくてせつなくて、もういやってくらいに泣かされます。 今回強く感じた事は恋心は報われるものばかりじゃないってことのせつなさかしら。あと医療に携わる人間の心構えには同感しました。タイトルの意味に気づいたとき、気づかされたとき、鳥肌が立ちました。あの展開は想像できなかった。ネタバレになっちゃうから詳しく踏み込んで書きません。是非に読んでください。大当たりですからv
「長かったな。お帰り」
『HEARTBEAT』 2005.4.28. 小路幸也 東京創元社
2005年05月19日(木) |
『透明な旅路を』 あさのあつこ |
女の白い首をしめ、逃亡する吉行明敬。闇夜を車で走りぬけ、トンネルを抜けたところで少年と少女にヒッチハイクされる。‘かこ’という幼女と白兎(はくと)と名乗る少年を乗せ、妙な逃避行になってしまい・・・
あさのあつこさんのミステリー(とは言えないような)は、さすがの力技でぐいぐいと読ませてくださいました。なにを書かせてもうまいわ、あさのさつこさんってば。しかも、不思議と少年が妖しくセクシー。なぜなのかしら。あさのあつこさんの描く少年にはものすごくどぎまぎしちゃう。 ジャンルとして分けるならば、ファンタジーに近い気がしました。不思議な素敵な怖い物語。ただ個人的にはラスト3ページは不要。あれがない方が終り方に余韻が残っていいと思うのだけど、いかがかしら。
忘れてなんかいないさ。一日だって、忘れたことなかった。諦めることはできても、忘れることなんてできないんだよ。
『透明な旅路を』 2005.4.28. あさのあつこ 講談社
2005年05月18日(水) |
『LOOSER 失い続けてしまうアルバム』 TEAM−NACS |
現代ニッポン、佐藤重幸は平凡な毎日を生きている。ある日、奇妙な男から時を行き来できるという薬を手に入れる。そして10の時を遡るという白き薬を何錠も服薬し、彼が辿り付いた先は幕末、新選組の活躍する動乱の世だった。彼が見た動乱の世の中や、新選組の隊士たちは彼が知っていた歴史とは違うもので・・・
TEAM-NACSが北海道を飛び出して、東京公演を行った舞台です。私がTEAM-NACSを知ったのは、去年辺りから全国区に露出しはじめた大泉洋さんを好きな友人からでした。彼らの舞台って素敵だなぁ〜と熱中しはじめると、あれよあれよと言う間に大人気TEAMとなってしまわれました!(唖然) 今年は全国公演をされてる真っ最中にございます。チケットはたやすく手に入りません(涙)・・・ さて、この『LOOSER』は、現代人がタイムスリップして幕末の新選組や倒幕派をどちらのサイドからも見ることが出来るという、脚本を書いたリーダー森崎さんの視点が優れもののお芝居であります。これを観たからこそTEAM−NACSを大好きになったと言えましょう。若者の心は時を遡ろうが、越えようが、変わらないものはあるのだと思いましたもの。 中でも悪人として名高い芹沢鴨を演じた安田顕さんの怪演っぷりは素晴らしい。このお芝居に関して言えば、芹沢鴨=安田顕あってこその成功と思っています。これからますます目が離せない(音尾くんの目は離れていようとも)TEAM−NACSさんなのであります。DVDを是非観ていただきたいv オススメです。
2005年05月17日(火) |
映画『river』 監督;鈴井貴之 出演;TEAM−NACS |
警察官の佐々木耕一は警邏中に通り魔に遭遇。拳銃に弾を入れない主義の佐々木は通り魔に人質を殺されてしまう。藤沢聡は結婚間近だった婚約者を通り魔に殺害され、犯人と取り逃がした警官を恨んでいた。ふたりは小学校の同窓会で再会し、いじめられっこだった横井茂に誘われ、オリンピックに出場したことのある同級生の九重達也のバーで酒を酌み交わす。九重は交通事故で足を怪我し、過去の栄光に縛られて生きていた。過去に囚われた三人の男が記憶を消す薬を盗み出す事になるのだが・・・
大泉洋人気が一人歩きしている感のある今日この頃ですが、実は元々は鈴井貴之という一人の男の存在あってこそ。その鈴井さん監督の第二回作品です。過去に苦しむ男達が、もっと大昔の子供の頃のいじめを苦にした男の復讐に巻き込まれていく秀逸なサスペンスです。裏の主人公は小学生の頃に友達に裏切られ心が崩壊した音尾琢真扮する横井茂です。この役は美味しい。心理サスペンス好きさんにはかなりオススメの映画です!
「藤沢くん、見〜っけ」
2005年05月16日(月) |
薬師寺涼子の怪奇事件簿『夜光曲』 田中芳樹 |
ドラキュラさえも避けて通ると言う異名‘ドラよけお涼’さま、今回は生物化学兵器テロに立ち向かうっ!?
体調最悪で寝たきりの合い間に読む本は、こういうものがいい。麗しき魔女・お涼さまの傍若無人っぷりと内容の漫画ちっくさに気楽に読める。集中して一気に読まなきゃいけないわけでもないので、寝て起きてるわずかな合い間に読みました。お涼さまに元気を与えていただいた気分。うっとり。
ファンの心理とは微妙なものなのだなあ。
薬師寺涼子の怪奇事件簿『夜光曲』 2005.2.20. 田中芳樹 NON NOVEL
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