酔陽亭 酩酊本処
いらっしゃいませ。酔陽亭の酔子へろりと申します。読んだ本や観た映画のことなどをナンダカンダ書いております。批判的なことマイナスなことはなるべく書かないように心掛けておりますが、なにか嫌な思いをされましたら酔子へろりの表現力の無さゆえと平に平にご容赦くださいませ。
DiaryINDEX|past|will
2005年05月15日(日) |
韓国映画『僕の彼女を紹介します』 |
恋は誤認逮捕から始まった。婦警のヨ・ギョンジンは決して「ごめん」と言わない熱血漢。誤認逮捕をしようとも相手に詫びすらしない。ある日、引ったくりを善意で追っかけていた高校教師コ・ミョンウを追っかけの現行犯で逮捕してしまう。すぐ暴力をふるい、勘違いだらけの彼女だが、どこかキュートで不思議な魅力にあふれ、いつしかふたりは恋に落ちる・・・
えーっと韓国が送る暴力的ファンタジーとでも申しましょうか(笑)。DVDの装丁のヒロインの婦警コスプレがかわいくてかわいくて。映画の中でも婦警スタイルの大サービス。サラサラロングヘアとキュートな顔と美しい足を惜しげもなくさらしまくり、それだけで見ていてよかった〜と思えるシロモノv 内容としては韓国ものらしく、とんでもない展開を盛り込んでいてラブコメディ一転悲劇&ファンタジーへなだれ込む。うーん、悲しい展開だったから、ラブコメだけでぶっちぎってくれてもよかったんだけどなー。
2005年05月14日(土) |
『犬夜叉』21〜25 高橋留美子 |
ひとりひとりの宿命の重さと戦いながら、宿敵・奈落を倒すべく旅を続ける犬夜叉とかごめたち。かごめを巡って犬夜叉とライバル関係にある狼族の鋼牙。犬夜叉を巡ってかごめとライバル関係にあるかごめの先祖で甦りの桔梗。犬夜叉と同じ妖怪を父に持つ殺生丸。微妙な関係を保ちながら、犬夜叉たちを援護していて・・・?
お気に入りキャラ 9:3匹の子猿(小妖怪) 七宝ちゃんと同じくキュート お気にいりキャラ10:蛇骨 オカマキャラ好きv
奈落という最も不気味で忌まわしい妖怪(半妖?)は、かつて桔梗にあさましい欲望を抱いていた鬼蜘蛛と言う人間だった。己の欲望を果たすため、妖怪に身を喰らわせ転じ、奈落となるも、心のうちに桔梗への思いをかかえたまま。そこに奈落の苦悩がある・・・。半妖の犬夜叉は偉大な妖怪の血ゆえ暴走する。奈落も犬夜叉も苦しみの根は似ているのかもしれないなぁ。
2005年05月13日(金) |
『犬夜叉』16〜20 高橋留美子 |
完全なる美しき妖怪・殺生丸(犬夜叉の兄)、人間と妖怪の間に生まれた半妖怪の犬夜叉、半妖・犬夜叉に恋した巫女・桔梗(今は死人返り)、桔梗を思うがゆえ妖怪に我が身を食らわせた鬼蜘蛛の果て・奈落、奈落に穿たれた手を持つ坊主・弥勒、奈落に身内を殺され弟琥珀を捕われた珊瑚・・・桔梗の生まれ変わりであるかごめは様々な敵や味方や仲間とともに四魂の玉を集め続けるが・・・
お気に入りキャラ8:黒巫女 椿 女って妖怪になっても哀しい
現代の少女かごめが戦国時代へタイムスリップ。美しき巫女・桔梗の生まれ変わりと言われるが、かごめはかごめ。そして犬夜叉を挟んで死人・桔梗と恋の鞘当まで繰り広げる・・・。うーん、私の愛したアノ漫画と激似ではあるものの、このラブストーリーの部分が全く違う。ここが作者の性別の違いのなせるわざだろうか。しかし、殺生丸がいいわー。たまらないー。
2005年05月11日(水) |
『夜離れ(よがれ)』 乃南アサ |
「髪」 芙沙子はコンプレックスだった髪にストレートパーマをかけ、つややかな髪に変身。それに自信を持ち、「髪は女の生命」と思い込んでいる。会社では憧れの社員を髪の魅力でモノにしようと狙っているのだ。同僚の硝子は化粧気もなく天然パーマの髪をひっ詰めている。あるパーティで自分の引き立て役だと思っていた硝子が艶やかに装ってきて・・・
髪の毛。本当にそれは悩みであり、綺麗に決まればなんとなく綺麗になったように錯覚させるパーツ。髪に命をかけて奔走する芙沙子の行動は笑えないなぁ。コンプレックスが美しい武器に変わり、錯覚に浮かれていた時、思いがけぬ方向から伏兵が出現し、自分以上に美しい髪を手に入れてしまう。そして「壊れる」・・・ たぶん自分の髪になんらかの悩みやコンプレックスを持った人間なら、芙沙子の狂気も理解できてしまって怖いんじゃないかしらー。とても面白い短編集でした。
「後ろから見たら、どんな美人だろうと思われちゃうわけよね、きっと。まあ、最近、そういう女の人ばっかりだけど」
『夜離れ』 2005.4.1. 乃南アサ 新潮社文庫
2005年05月10日(火) |
『ルーム』 新津きよみ |
あることをきっかけに姉は家族と縁を切った。妹の友美は姉の死を知らされ、姉の人生の後始末を担当する事になる。見たくなかった姉の秘密? 姉のマンションに幼児の白骨が眠っていた。いったい姉はどんな人生を送ってきたのか?
うーん(困惑)。姉が家族と縁を切る出来事というのがとても身につまされてしまったのです。これって誰が悪いで済ませちゃうなら、私的には母親が問題。結局母の勝手な思いが姉を壊しちゃったようなものだから・・・。でも二十歳過ぎたら人生自分の責任だから。自分を知り、自分と折り合って生きていくしかないはずです。誰かと比べたり、誰かの顔色を見たり、そういうのから抜け出さなくちゃ。しかしやはり猫は怖いにゃぁ・・・
『ルーム』 2005.3.10. 新津きよみ 角川ホラー文庫
2005年05月09日(月) |
『袋小路の男』 絲山秋子 |
私はあなたに恋をした。高校二年生で、成績が良くて、彼女がいるのにソープランドばっかり行っていると噂の小田切孝さん。それから十二年の間、私はひたすらあなたに恋をする・・・
「袋小路の男」と「小田切孝の言い分」が呼応しています。小田切孝が住んでいる場所が袋小路。互いが互いを微妙な距離で縛りあっている・・・。それを恋と呼ぶのか、愛と呼ぶのか。こういうカタチを恋愛と言うのかしら。不器用なふたりの勝手なすれ違いが不思議なせつなさを感じさせてくれます。なかなかいいのよねぇ。
「どうして作家になろうと思ったんですか」 「そりゃ、俺にしか書けないものがあるって気がついたからさ」
『袋小路の男』 2004.10.29. 絲山秋子 講談社
2005年05月08日(日) |
『逃亡くそたわけ』 絲山秋子 |
あたしは福岡タワーに近い百道(ももち)病院から脱走した。二十一歳の夏をプリズン(と、わたしは病棟を呼んでいた)で過ごすわけに行かなかったのだ。なごやんという二十四歳の茶髪を道連れに・・・
精神を病んで入院している若い女性を主人公にしたロードムービー。タイトルに惹かれたのですが、設定と内容にぶっ飛んじゃいました! ハイテンションなあたしと巻き込まれ型の青年なごやんのふたりの田舎へ田舎へ逃げていくだけの物語。でも九州大好き人間としては方言と風景にめろめろ。また心をちょっとばかし病んでいる人にシンパシーもあり。妙な物語なんだけど面白いんだよねぇ。 ・・・個人的に言えば旦那と行って素敵だった秋月の風景を一気に思い出してちょっと泣けたりもした。
一人では絶対に来たくなかったけれど、一度ほかの誰かと行っておかないと、もう行けなくなるような気がしたのだ。何にもないけれど、あたしは秋月のしみじみした雰囲気が好きだったから、捨てたくなかった。
『逃亡くそたわけ』 2005.2.25. 絲山秋子 中央公論新社
2005年05月07日(土) |
『孤虫症』 真梨幸子 |
高級マンションに住む主婦。外からは幸せそうに見える彼女は娘との関係に悩み、妹に鬱憤を晴らしていた。そして妹は妹で姉には言えない思いを抱えていた。そんなふたりの周りで紫色の瘤が出来て死んでしまう奇病発生。そして姉の失踪・・・
とても不気味なホラーでした。やはり‘虫’が出てくると生理的嫌悪感を呼び起こす。父親の違う姉妹の微妙な心理やセックスに狂った女の心のブラックホールなど、これでもかーとばかりに畳み掛けてきました。ただ最後のほうにある説明文の羅列になるけれど、あれはなんとかすんなり抜けられないものか? もう少しあの部分を噛み砕いてくれれば言うことなかったんだけど、残念。
「あたしが言うのもなんだけどさ、女の幸せは男で決まるもんじゃないよ? あたしをご覧よ、男に幸せにしてもらおうと思って、このザマだよ。あんたは、自分の足で、歩いていけばいいんだよ、そうすれば、いろんなものが見えてくるよ」
『孤虫症』 2005.4.1 真梨幸子 講談社
2005年05月06日(金) |
『ユグノーの呪い』 新井政彦 |
人の記憶空間に入り込み、トラウマの記憶を消してしまうヴァーチャル治療士。入り込んだ相手の記憶に飲み込まれるキケンの伴う治療。高見健吾はブラックホールに取り込まれ、治療できなくなりアルコールへ逃げていた。そんな彼を美しい女性・礼子が相方として仕事してくれと依頼してくる。礼子と金に釣られ、治療士に復活した健吾は美少女ルチアと会う。彼女はメディチ家の末裔。彼女のトラウマは 16世紀に先祖が大量虐殺した新教徒・ユグノーの呪い?
これは最高に面白かったです! ゲームをする人ならばもっと面白いのかもしれません。人の記憶に自分をヴァーチャル化して入り込むと言う設定が映像向きで頭の中に場面が浮かぶところが楽しくて。はらはらどきどきさせられて十二分に楽しめること請合います。オススメ。かなりオススメv
「酔っぱらうと勘がよくなるんだ」
『ユグノーの呪い』 2005.3.25. 新井政彦 光文社
2005年05月04日(水) |
『古道具 中野商店』 川上弘美 |
骨董屋さんではなくて古道具店に働くヒトミ。風変わりな店主・インパクトの強い店主の姉・バイト仲間の男の子・それぞれ独特なオーラを振りまく客達。新しかったり、きれいだったりすることが、価値を減らす、へんな世界でさりげない日常と人々の生活やコイゴコロが懐かしく切なく語られる・・・
なんて言うんだろう。人が生きて関われば生まれる人間関係のしみじみさをしっかり感じました。いろんな恋があり、正しい事ばかりではなくて、なんだか生きているってこういう世界のことなんだよなぁって思いました。こういう日常が続いていく、それが人生なのですね。大好きな一冊。オススメv
マサヨさんの声はへんなふうに心地よかった。あらあらどうしたのよヒトミちゃん、というマサヨさんの声を聞きながら、わたしははらはらと涙を膝の上に落とした。この気持ちよさは何かに似ている、と思った。そうだ、ふつかよいの朝、吐く元気もないときに何かの拍子で思わず吐けてしまったとき、みたいだった。
『古道具 中野商店』 2005.4.1. 川上弘美 新潮社
|