酔陽亭 酩酊本処
いらっしゃいませ。酔陽亭の酔子へろりと申します。読んだ本や観た映画のことなどをナンダカンダ書いております。批判的なことマイナスなことはなるべく書かないように心掛けておりますが、なにか嫌な思いをされましたら酔子へろりの表現力の無さゆえと平に平にご容赦くださいませ。
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2005年03月30日(水) 『夜明けまで1マイル』 村山由佳

 大学生の僕は、ゲロ吐き失態のおかげ(?)で憧れのマリコ先生と男と女の関係になる。美人でクールで、そして結婚しているマリコ先生。僕は全身全霊でマリコ先生に恋をする。バンドにバイトに大学生活にマリコ先生。僕の青春。
 これはフリンなんかじゃない、恋だ。

 最近マイ文庫ブームが村山由佳さん。通勤のお供に心をホロリと揺らめかせながら、さらりと読むのがお気に入りv この大学生の一途な恋が胸にキュキュキューンって響いてくるのよ。素敵素敵。マリコ先生のことをもっと知りたかった気はしますが、若者に視点を合わせたということで気持ちよく読了。

 世の中には、いくら牙をむいて立ち向かっていってもどうにもならないことがある。そんな時には、じっと体を丸めて嵐が過ぎるのを待つ以外に手はない。けれど、どれほど深く傷ついたとしても、時がたてばいつかその傷は癒える。長くかかるかもしれないが、時が癒せない傷はない。

『夜明けまで1マイル』 2005.1.25. 村山由佳 集英社文庫



2005年03月24日(木) 『決めかねて』 新津きよみ

 悩みを抱えた三人の女。子供を産む産まないで夫ともめている志奈子。ばりばりキャリア驀進中の智美はプロポーズに戸惑う。不倫にけじめをつけられない佳代子。悩みに答えを出したいと有名な占い師に頼った三人が出会い、三人の悩みが動き、意外な結末へ・・・

 30代半ばの女たちが、悩んで有名占い師のもとへ赴く。これが痛々しいオープニングで・・・。悩みや迷いは占いにも他人にも解決などできやしない。自分の悩みも迷いも自分で折り合うしかないのだと思います。傷ついても苦しんでも自分の力を信じない人のいつまでたっても未来は霧の中。

 誰に相談しようと、最後は自分の判断。決めるのは自分自身。

『決めかねて』 2003.10.30. 新津きよみ 詳伝社文庫



2005年03月23日(水) 『秘密のクラブへようこそ!』 椹野道流

 由緒正しい名門私立英聖高校。この高校にはE組という特別クラスがある。一芸に秀でたものが学費等を免除されるが、将来的に英聖高校の広告塔たる実績をあげなければならない。そこへ「笑顔」を武器に入学してきた白瀬真透(ますき)は、見たものを惑わす笑顔を放つ。アーチェリーでE組に入った藤堂要平は、真透になつかれ、振り回される。しかし、このふたりには出会うべくして出会った宿命の絆があった・・・?

 椹野道流さんの初めての学園モノということで、どんな展開になるのかなぁ〜と思っていたら、こう来ましたか(笑)v この学園の秘密に生徒ながら立ち向かう事になるなんて、やっぱり椹野道流さんだぁ〜。当然敵はこの世のものならぬ魔物です。椹野道流さんはこうでなくちゃー。

『秘密のクラブへようこそ!』 2005.2.1. 椹野道流 小学館



2005年03月22日(火) ドラマ『救命病棟24時』に想ふ

 新潟で地震。そして今回は福岡で地震。この東京を襲った地震を想定した救命病棟の医師や看護士やボランティアたちの[希望]を失わない姿に何度も何でも泣かされました。現実に起こったとすれば、きっとこのドラマよりも過酷で厳しいものとなるに違いありません。でも地震の国・日本に生きている限り避けては通れないテーマだったと思います。この物語を想定し、放映したフジテレビに心からの敬意を。
 今回のシリーズは極限状態に置ける人間達の苦悩、そしてそれでも希望を忘れない・あきらめないことの大切さを心に刻み付けてくれます。かつて地獄を見たDr.進藤の慈悲深く優しい笑顔にめろんめろん。こんな男がいたら私は全てを捧げますっ。却下されてもストーキングしますっ!! あんな男いたら、あぁぁっ(身悶え)。でもファンサイトを見てみると、なんとDr.進藤をさしおいて大泉洋さん演じる看護士・佐倉さんがダントツ人気だったのでちょっと驚きました。え・・・(笑)。私はDr.進藤に身も心も捧げますからっ(ってしつこい?)
 救命病棟の研修医のその弟(小栗旬)が、これがよいのじゃー。ちょっとオバサン入りまくっちゃう。最初出てきたときには出来のいいお兄ちゃんへのコンプレックスの塊だった少年が、ボランティアをすることになり、肉体労働・ヨゴレ仕事を率先してこなすようになる。医師達の姿を目の当たりにした彼は、数年後研修医として救命病棟に戻ってくる・・・この彼の成長が素晴らしくって。ええ、Dr.進藤の次を狙うならカレv うふ。
 ・・・すみません。書いていてどんどん崩れてしまいました。えへへ。まじめな文章は書き続けることできないやー。あーん、進藤先生が欲しいよー(煩悩の塊)



2005年03月21日(月) 『となり町戦争』 三崎亜紀

 舞坂町に住む北原修路はイキナリはじまったとなり町との戦争勃発を[広報まいさか]で知る。広報で死者が出たことに驚くが、自分が知る戦争の気配は感じない。ある日、舞坂町からの通知で「戦時特別偵察業務従事者の任命」を受ける。役場職員の香西さんと偽装結婚をして、となり町に住み始め・・・

 ‘見えない戦争’・・・闘う時間も決められていて、目的は互いの町の活性化? なんだかとっても不思議な物語でした。淡々と僕の視点から‘戦争’が語られ、疑問を感じ、唐突に始まり、唐突に終る。戦争ってなんなのでしょうね。

 戦争ってのは・・・・・・、戦争ってのはこうやって僕からいろんな感情を奪っていくものなのか。

『となり町戦争』 2005.1.10. 三崎亜紀 集英社



2005年03月20日(日) 『れんげ野原のまんなかで』 森谷明子

 なんだって、こんな人気もないところに図書館など、建てたのだ?・・・なんて場所に秋庭市立秋葉図書館は建っている。気のいい大地主・秋葉のだんなのおかげだ。ここで文子は働いている。本を愛してやまない野瀬さんと日野さんにビシバシ鍛えられながら、なぜだか妙な謎に巻き込まれながら・・・

 『千年の黙 異本源氏物語』で第13回鮎川哲也賞を受賞した期待の新鋭が放つ、本好き、図書館好きに捧げる受賞第1作!と言う惹句に間違いはなく、本好きさんたちの心をぎゅぎゅっと鷲づかみv 読みながら北村薫さんを思いましたよ。なんとく通じる空気があると思うのですけど。小さな不思議な謎たちは、読んでる本好きさんたちも謎解きできる範囲のものばかりだし。図書館に住んでみたい思いは痛いほどわかります。うう、まじ住みたいー。館内整理くらいするからぁ(笑)。

 共通の愛読書があるとわかると、人間、ずっと親密さが増す。

『れんげ野原のまんなかで』 2005.2.28. 森谷明子 東京創元社



2005年03月19日(土) 『ベイビー・セメタリー』 和田はつ子

 水谷あすかは可愛いハーフの双子を持つシングルマザー。かつて父親が母を捨て、駆け落ちした女と再婚し、その継母となった女に姉さやかともども苛められたトラウマを持つ。姉さやかは継母におもねる術を持っていたが、あすかは耐え切れず、イギリスへ。そこで出会った男と恋をし、可愛い双子を授かるが、その男の本性を知り、日本へ逃げ帰る。ハーフの双子の愛らしさに継母はペット感覚で猫かわいがりを始める。あすかは距離を置き、恋人と娘達との生活を夢見るのだが、あすかが身ごもったとき、悲劇がふたたび始まった・・・

 うーん、和田はつ子さんは好きなんです。とってもうまいと思うし、独特の世界をお持ちなので。この『ベイビー・セメタリー』も要素は面白いものばかりなのだけど、詰め込みすぎと言う感じが。身ごもった子供の不気味な力を描きたいのか、あすかを羨み妬む女たちのドロドロさを描きたいのか、あすかを巡る男達のおぞましさを描きたいのか・・・。ひとつひとつを分けてしまって描きこんで欲しかったです。中でも、あすかに対する継母・姉・親友の屈折した僻みは怖いですよー。こういう文庫は待ち合わせなどでサラッと読めるよさがありますが、どうしたって性癖上(?)やはりもう少しヘビィな方が好みなのでした。

『ベイビー・セメタリー』 2005.1.10. 和田はつ子 角川ホラー文庫



2005年03月18日(金) 『かけら』 新津きよみ

 キャリアウーマンの理恵、主婦読モの涼子、主婦業専念の紀子。三人は遠い昔に同じアイドルを追っかけていた。そんな三人も38歳。理恵は友人の失踪事件に巻き込まれ、涼子はストーカーに付け狙われ、紀子は買い物依存症に・・・。

 それぞれの人生に満足しきれず、その心の隙間を狙われたように事件に巻き込まれてしまう三人の女たち。その昔に袖すりあった三人だけど、絡み合うことなくそれぞれの事件や出来事に折り合いをつけていく。新津きよみさんってこういう展開をサラリと読ませてくださるので好きです。私は主婦業に専念できる立場ではないけれど(残念ながら)、なぜだか紀子の心の隙間が一番手にとるようにわかっちゃった。その程度で済んでよかったね、紀子。

『かけら』 2005.2.20. 新津きよみ 詳伝社文庫



2005年03月17日(木) 韓国ドラマ『向日葵』 ※ネタバレあります

 ビル地下駐車場で働く娘は、父親の家庭内暴力というトラウマを持つ。推理小説をパソコンで発表する事を趣味としている。彼女は時々妙な視線を感じる。同じビルの高級日本料亭の板前と知り合い、惹かれながらも拒絶する。しかしストーカーの異常な行動に耐えかね、その彼を巻き込み闘おうとするのだが・・・

 えーっと登場人物の名前をもう忘れました。ごめんなさい。イ・ビョンホンが多重人格ストーカーと言う役に挑んでおられますv 「純愛中毒」でも愛する女に妙な接近をしたイ・ビョンホンさま、今回もキッパリ異常です(笑)v 残念ながらヘビィなサイコスリラー好きとしては、ラストが気に入りませーん! もっと残酷に非道にぐろくっ!! でもドラマのスペシャル番組としては面白いかな。
 韓国はネット人口がものすごく高いそうで、パソコンで小説発表、チャットなどは日本より進んでいたのかもしれませんねー。チャットでの異常な会話、盗撮、不法侵入などなど、そのシーンを演じているイ・ビョンホンさまを観たかったなー。残念っ。ヒロインの友人を排除するシーンだけはゾクリとしたかも。



2005年03月16日(水) 『インディゴの夜』 加藤実秋

 高原晶、三十路の女性ライター。「クラブみたいなハコで、DJやダンサーみたいな男の子が接客してくれるホストクラブがあればいいのに」この晶から漏れた願望を大手出版社編集者・塩谷が叶えてしまう。伝説のホスト憂夜が敏腕マネージャーとなりホストクラブ<club indigo>が渋谷で大ブレイク。やんちゃで奇妙なホストたちとともにオーナーとなってしまった晶はいくつもの事件に巻き込まれ・・・

 池袋が渋谷に移動して、チーマーたちがホストやナンパ師に代わった・・・と言ってしまえば身も蓋も無いけれど、ちょっと池袋WGPの亜流って感じはしました(笑)。でも、なんだか楽しい展開ですごーくわくわくしながら読めました。誰よりもやんちゃな晶が年甲斐も無くてキュート。こういうのを登場人物が勝手に動き出した物語といえるのかもしれませんね。オススメでーすv

 言葉は、残酷なほど書き手のセンスや感覚の新旧を映す。

『インディゴの夜』 2005.2.28. 加藤実秋 東京創元社



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