酔陽亭 酩酊本処
いらっしゃいませ。酔陽亭の酔子へろりと申します。読んだ本や観た映画のことなどをナンダカンダ書いております。批判的なことマイナスなことはなるべく書かないように心掛けておりますが、なにか嫌な思いをされましたら酔子へろりの表現力の無さゆえと平に平にご容赦くださいませ。
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2005年03月15日(火) 『銀座小悪魔日記 元銀座ホステスの過激すぎる私生活』 蝶々

 やー、すっかりやられました〜(パタリ)。蝶々さんの本は顔とかを晒しちゃった新しいものを一冊読んでいたのですが、これぞ元祖・蝶々節なのですね。これは期間限定WEB日記だったそうで、もともと本として出版されるなど思われず、自由奔放に書かれているところがとってもとっても面白い! ここまで面白いWEB日記をリアルタイムで読めなかったことが残念だわ。くそー。
 とにかく美しい人ならではの我侭さ・傲慢さのオンパレード。でもどこか憎めない可愛らしさがある。こういう人ってそこにいるだけでオーラを放ち、人を惹きつけてやまないんだろうと思います。たまたまWEB日記を書いたことが世に出るきっかけとなられた形ですが、この女性は遅かれ早かれ露出せざるを得ないタイプだと思いますね。きっと男も女も彼女の前では腑抜けになってしまう。素晴らしい。
 あ、最後にこれも誉めておかねば。文章がうまいっ。こんな文章をWEB日記でがしがし書いていたなんて・・・うっひゃー。

『銀座小悪魔日記 元銀座ホステスの過激すぎる私生活』 2002.8.17. 蝶々 宙出版



2005年03月14日(月) 『LOOSER〜失い続けてしまうアルバム〜』 TEAM-NACS

 TEAM-NACSさんが描いた新選組は、今まで見てきた、読んできた新選組とは全く違う角度から描かれていました。NHKで三谷幸喜さんの新選組もよかったけれど、この舞台の解釈はかなり意表をつきます。
 まずはたった5人でさまざまな登場人物を演じます。ひとりの青年が現代と幕末を行き来し、そのたびに視点が変わります。現代の青年が幕末の登場人物に成り代わってしまうという点は矛盾と指摘されるも仕方ないけれど、オモシロイ演出だと思いました。中でも大泉洋さん演じる坂本龍馬の秘密には唖然としました。そこが一番リーダーの森崎さんの才能をひしひしと感じました。
 個人的な好みから言えば、安田顕さん演じる芹沢鴨が素晴らしかったっ! 赤フンがあんなに似合う男がこの世に存在するだろうか? いや、しない。ヤスケンさん最高v 残念ながらヤスケンさんに関しては芹沢鴨の場面があまりにも強烈で後半が物足りなかった。あのヤスケンさんの芹沢鴨がメインの舞台を観たいくらい惚れ惚れしたのでありました。
 何度も繰り返し観てしまう、そんな舞台なのでありました。超オススメv



2005年03月13日(日) 『弘海 息子が海に還る朝』 市川拓司

 息子の身体に異変が起こり、彼は水の中にいることを安らぎとする。彼をしあわせにしてやりたい一途な愛情で、両親と妹は息子・弘海の決断を受け入れる・・・

 やっぱり、すっごい綺麗な文章です。こういう自分だけの文章を描ける人って幸せだろうな。誰のモノでもない市川さんならではの透明で優しくてせつない文章。この人の持ち味は、家族の絆と愛情を丁寧に描ききり、しかもSF風味が効いているところだろうなぁと思いました。そしてそこには必ず哀しい『別れ』があって・・・泣かされます。ううう。家族、きょうだい、友達・・・人にはどんな絆からも旅立たねばならぬ時が来るのね。いいですわー、市川さん。大好きv

 ぼくには責任がある。彼を幸せに。それがぼくら夫婦にとっては悲しみであっても。

『弘海 息子が海に還る朝』 2005.2.28. 市川拓司 朝日新聞社



2005年03月12日(土) 『天使の梯子』 村山由佳

 夏姫は、教え子と再会し付き合うようになる。彼は8歳年下の男の子・慎一。亡くなった姉・春妃が愛した歩太と同じ年の差だった。慎一は、夏姫と歩太の絆に嫉妬し、苦しみ、そして・・・

 歩太は私だ。歩太の気持ちが痛いくらいに手に取るようにわかってしまう。そして夏姫のような存在がいる。愛する人を亡くした人間は、遺された人間は、その喪失感と戦いながら生きねばならない。先に逝ってしまった人のぶにまで生き続けなければならないのだ。生きることは苦しい事、哀しい事の連続。だから自分の好きな事や幸せだと感じる事を慈しむように大切にする。それはきっと本能。
 泣きました。なんだか最近こういう愛する人を失った人の物語をよく読んでいる気がします。読めるようになっただけ、時間が経ったということなのかもしれないわ。失わずに生きることは不可能。失って、それでも笑顔を忘れずに生きていきたい、そう心から感じさせてくれる物語でありました。すがすがしい。

「後ろばっかりふり返らないで、いいかげんに前を見たほうがいいとか何とか −
ボクみたいなのがまわりからいろいろ言うのは勝手だケレドモ、そんなに簡単にいくものじゃあないしネ」
「結局、忘れるというのは本人にしかできないことダカラ」

『天使の梯子』 2004.10.31. 村山由佳 集英社



2005年03月11日(金) 『天使の卵』 村上由佳

 歩太は19歳の予備校生。目指すは美大。ある日、満員電車で出会った女性に心惹かれる。その彼女は8歳年上の精神科医で歩太の父親の担当医だった。彼女に焦がれ、彼女を手に入れた歩太だったが・・・

 一途に人を恋しいと想う。そんな気持ちは人生で何度抱けるものなのかしら。愛して手に入れて永遠に失ってしまう。なんだか自分の人生をそこに見るようで胸がきしきし痛かったわ。それでも愛した事を悔やみはしない。愛こそすべて、そう心から思い続けたい。

 どれほど大切にしても、どれほど愛しても、結局「死」には追いつけない。そのことが僕にはもう、いやになるほどわかっていた。死を悼み、悲しむのは、遺された者だけだ。どれだけ涙を流しても、死者には届かない。逝ってしまった者と遺された者とは、永遠に分かたれたままなのだ。「死」というその一瞬を境にして、その先は − 未来永劫。

『天使の卵』 村上由佳 集英社文庫



2005年03月10日(木) 『LOVER』 TEAM-NACS

 TEAM-NACSさんの舞台『LOVER』を観ました。今回はアノ5人と女の人たち(ひとり?)が合コンをして、さまざまな恋愛模様を繰り広げると言うもの。5つのカップルが出来れば5つの形があって、なんだか胸がキュンとしたり、せつなくなったり。中でも今回主役だったらしい大泉洋さんの「愛してる」と言う台詞では涙がぽろり。あぁ、青春だー!
 大泉洋さんが気になって、TEAM-NACSさんの舞台を観るようになりました。しかし、このTEAM-NACSさんの5人ってキャラが濃いですわー。大人気なのもよーくわかるv 私は顔の濃い裸キャラのあの方が気になって・・・。あの顔と声はタイプなのう〜。
 



2005年03月09日(水) 『湘南人肉医』 大石圭

 「神の手」と言われる整形外科医・小鳥田優児。巨漢の彼が手がけた女性は彼を神と崇めるほど美しく変身する。そし小鳥田の喜びは女性の肉を食べる事だった!

 リアルの世界でも世界に名を残す、モンスターがいます。連続猟奇殺人者。人肉嗜好者。そういうモンスターのことを知りたいと言う欲求が私の中にはある・・・。だから、こういう物語は興味深い。善悪は置いておいてね。
 人の肉を食べたい。そんな願望を抱き、囚われてしまう男。禁断の味だからこそのエクスタシー。彼を待ち受けるラストはちょっと弱いと言うか、ありがちだけど、じゅうぶんにグロい物語でした。

『湘南人肉医』 2004.11.10. 大石圭 角川ホラー文庫



2005年03月08日(火) 『クリスマスの4人』 井上夢人

 1970年ビートルズが死んだ。その年の聖夜に4人の男女が飛び出してきた男を撥ね殺してしまう。そして10年ごとに集まる4人の前に現れる死んだはずのあの男。恐れ慄きながら30年の時を過ごした4人を待っていた真実とは・・・

 すごーい。井上夢人さんってホントすごい。まさかこの展開であんな結末になってしまうとはー。降って沸いたような男を跳ねてしまった男女4人は事件を隠す事にする。人を殺した恐怖と発覚の恐れ。集まるたびに現れる死んだはずの男。もうこれはホラーです。でもホラーでは終らせない。おそるべし、井上夢人。

 時間が経てば忘れてしまうだろうって、それを期待していたけど、忘れることなんてできなかった。ずっと負債を抱えて生きてきたんだもの。だから、覚悟はできてる。どんなことを聞いても、受け入れられると思う。

『クリスマスの4人』 2004.12.20. 井上夢人 光文社文庫



2005年03月07日(月) 『漢方小説』 中島たい子

 昔つきあっていた人から結婚すると言う事を聞かされ、体調を崩した31歳みのり。セルフ・ロデオマシーンとなり、突如として身体が暴れ出す・・・。4人の医者にかかったが悪化するばかり。実家の最寄にある漢方診療所で診察してくれた5人目のドクターはちょっといい男で・・・

 心に傷を負って身体に異変。本当にあることですものね。薬に頼るも漢方に頼るもヨシですよー。自分で自分をラクにしてあげる手段はきちんと捜すべきだと私は信じていますからv
 この物語では西洋医学に見放された女性が漢方(東洋医学)に癒され、再生されていきます。ちょっとだけときめいたり、呑み仲間うちでドタバタしたり、ごく自然に生きている人たちの人生がほのぼのといい気分を与えてくれます。こういうお話はとても好き。

 どんな深さも、変化も、恐れず受けとめられる自分になれたらと思う。

『漢方小説』 2005.1.10. 中島たい子 集英社



2005年03月06日(日) 舞台『ミハル』 TEAM-NACS

 ホテルの一室で向いのホテルを見張る(ここからか!)刑事ふたり。敏腕刑事の安藤と後輩の岡田。そこにベルボーイの小宮がルームサービスの伺いにやって来て、ブリーフ姿のAV男優キノコ山本が間違って入ってきて、コスプレの作家・長峰が逃げ込んでくる・・・

 いやー、面白かったです。TEAM-NACSの舞台。大泉洋さんが気になっていると日記で書いたら、友人がDVDを送ってくださったのです。もう心から感謝。しかし、この舞台に関して言えば私はキノコ山本に釘付け!(大笑) なんて言うか間の取り方とか、妙な動きとかすっごいツボでありました。
 舞台の内容としては非常にうまく出来ていて期待以上でした。ベルボーイ役の佐藤さんの作らしいですが、オチや突込みに素直に笑えました。ただ残念なことはシリアスとコメディとどちらをもと欲張り過ぎではないか、という点。いっそのことブラック・コメディに重きを置いてもじゅうぶんよかったのではないかしら。
 とにかく大満足。今、大注目のTEAM-NACSなのでありますっ!←鼻息荒い



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