六本木ミニだより
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2004年02月05日(木) |
骨のうたう〜詩人・竹内浩三のこと〜 |
■「骨のうたう」
戦士やあわれ 兵隊の死ぬるや あわれ 遠い他国で ひょんと死ぬるや だまって だれもいないところで ひょんと死ぬるや ふるさとの風や こいびとの眼や ひょんと消ゆるや 国のため 大君のため 死んでしまうや
(竹内浩三全作品集全1巻『日本が見えない』より)
■竹内浩三は、1921年 三重県生まれ。40年、日本大学専門部映画科に入学するも、42年、半年繰り上げて卒業、入営。44年、斬りこみ隊員としてフィリピンへ。45年、フィリピン、バキオ北方1052高地にて戦死。享年23歳。遺稿の中から、多数の詩が見つかりました。
■私が彼の詩を最初に読んだのは、寄稿している雑誌の担当編集さんが、自社サイトのコラムのなかで紹介していたことでした。 今年のはじめ、御世話になっている弁護士の先生(ふだんは「先生」なんて呼んでない、名前呼び捨て)を囲んで新年会をしたとき、その先生がこの詩を紹介してくださいました。
■文芸の中でも、「詩」というのは、とりわけ本質的な才能だと思います。音楽に「絶対音感」というのがあるように、詩も「絶対言語感」というのを必要というか。この詩のなかの「ひょんと死ぬるや」という言語感覚に、神がついているのが見える気がします。
■昨日掲載したバッグがかかっているネットラックの上の方には、進行中の書類と、「一度しまうと忘れちゃうもの」をべたべた貼ってあります。請求書とか、相手に送信済みで返事を待っているファクスとか、フォスター・チャイルドからの手紙(返事を書くため)とか、レストランの割引券とか。 このエリアが我が家のインテリアを著しくかっこわるくしていると思うのですが、うまく処理する方法をまだ見つけていません。
■ドメスティック・バイオレンス被害者を支援するシェルターなど、いくつか支援している団体がありますが、寄付の要請が来たときの払込票も、このエリアに貼っておくものの1つです。ふところが苦しいときは、すぐに払う、といかないときもある。でも、しまってしまうと忘れてしまうので、ここに貼っておいて、余裕ができたときに行動します。
■川崎時代の方が、資産的にはずっとお金持ちだったはずなんだけど、こちらに越してきてからの方が、寄付が軽い気持ちでできるようになった。 「お金は社会の血液」っていいますね。血液にもドロドロなのとサラサラなのがあるように、お金にもドロドロなのとサラサラなのがあると思う。サラサラなお金は、入ってくるときも、出て行くときも、自分を通過するときに、負担がかかからないということがわかった気がするのです。
この写真、やらせです。納入する前に写真撮るの忘れちゃったんで、領収印のところを、口座番号で隠しちゃった・・・
2004年02月02日(月) |
カバンの中身を一箇所にまとめる |
■友人のAちゃんが、ウィーンのおみやげにトートバッグをくれた。どう使うか? 考えて、はたといいことを思いついた。
さすがウィーン。楽譜の柄です。
■ここは、私の仕事用バッグの定位置。仕事用デスクの脇にネットラックを突っ張って、上の方には進行中の書類を、下のほうにはバッグをかけてある。そして、このトートバッグを「バッグの中身をまとめておく場所」と決めた。ちなみにどんなものを入れてあるかというと・・・ ・財布 ・名刺入れ ・ハンカチ、ティッシュ ・ポーチA(リップグロス、リップクリーム、あぶらとり紙) ・ポーチB(生理用品) ・ポーチC(のどあめ、黒あめ) ・ペンケース ・CDウォークマン
■この中から、その日の外出に必要なものだけを選び、もっていくバッグに入れる。帰ってきたら、いったん全部、中身をこの中に戻す。 近所に買物、というときは、このバッグをそのままもって出る。買ったものは、袋を受け取らず、この中にいれてもらう。帰ってきたら、買ったものを、冷蔵庫など定位置にしまってから、カバンをもとに戻す。 それから、急いで外出するようなときも、このバッグを持ってでかけてしまう。 なお、手帳はこのバッグに入れず、机の上に置いて、すぐに見られるようにする。
■他の女性たちが、服のコーディネートごとにバッグを変えているのを見るたび、「いったいどうしてそんなことができるんだろう」と不思議だった。バッグを換えるたびに、必ず一つ二つ、忘れ物をしてしまっていたから。でもこれで、もらったグッチのバッグも、うまく使いこなせそうです。
2004年02月01日(日) |
今年初の、わらしべ長者体験 |
■引越しの際に20枚ほどあまった、トスカのLB1000シリーズのパーツ(詳しくは引越しルポ参照)を、私に「片付け革命」をもたらした友人のIちゃん(詳しくは Pathos&logosの「わらしべ長者」を参照)にあげ、ついでに組立も手伝ったら、お礼に、なんと、グッチのリュックをくれた。例によって、お互い、とってもトクした気分である。私はこんないいバッグを最後に手に入れたのはいつだったか思い出せないし、彼女は彼女で、家の改造をしたくてうずうずしていたところだったから。
■本人も何故だかよくわからないそうだが、彼女のところには、まるで磁石のように、ブランドバッグが集まってくるんだそうだ。今まで20個ぐらいもらって、10個ぐらいあげちゃったらしい。
■なお、彼女と私の収納マニアぶりはさらに続いており、今日も、我が家の物入れをものすごく使いやすくしたばかりである。
■まあとにかく、今年初のわらしべ体験。私のトスカの棚板は、グッチのリュックに化けましたとさ。 めでたしめでたし。
彼女がバッグをくれたのは、私が今使っているバッグがもうぼろぼろで、「何とかしなよ、それ」というサジェスチョンも含んでいたと思う。こうやってコーディネートしてみると、質といいデザインといい、ほんとに美しいねえ。
■「窓の杜」を検索して、使いやすそうなソフトをいくつかダウンロードしました。
■1つめは「てるてる日記帳」。これは、エンピツを自分のPC中だけで作れるようなソフトです。エンピツは1つの日記しか登録できないけど、このソフトでは、自分のPC内に、テーマ別にいくつもの日記を作ることができる。 私は、「仕事のアイディア」「六本木だより用」「ぐちゃぐちゃな悩み専用」といった日記を作ってそれぞれに更新しています。「あ、これ、日記に書きたい」と思ったことを、すぐさま「てるてる」の方に打ち込んでおき、アップロードするときに、コピー&ペーストするというわけ。 毎日の見出しを一括表示することもでき、複数日表示もでき、さらに、エンピツ無料版にはない日記内検索もできる。映画の感想などは、htmlよりこちらの方が便利かもしれない・・・ シェア価格は、1200円。
■もう一つは、家計簿ソフト「がまぐち君」。使い始めたばかりだけど、これはかなり使いで良さそう! とくに便利なのは、例えば「子どもの教育費」をやめて、「書籍代」を独立させる、というように費目をカスタマイズできること。昔のソフトにはこれがなくて、結局エクセルでしこしこ計算してました。 クレジット、通帳などの管理をすることもでき、消費税も計算できます。 シェア価格は2800円。
■何にお金を使うかを見れば、その人の価値観は一目瞭然です。だから本当は、例えば手作りサイトだったら、その人が、生活の中でエネルギーとお金を手作りに何パーセントぐらい使っているか、それを生み出すためにどういう工夫をしているか、知りたいと思っています。
2004年01月29日(木) |
TUTAYA六本木店の、おそるべき秘密。 |
■仕事で見るため、どこかでビデオを借りなければならなくなった。六本木ヒルズの中には、超カッコいい巨大なTUTAYAがあるが、会費を聞いてみたら、入会金が500円だという。ひょえっ、高くない? 六本木駅の入口にも小さなTUTAYAがあるが、こっちも入会金は500円。レンタル料金も、どっちも当日が290円で、7泊8日は400円。そんなー。
■「クレジット会員になれば入会金、年会費は無料で、クレジット払いだとすべて1割引きになります」。でも、入会金をけちって個人データを渡すのもイヤだし、カードを落すリスクもあるので、現金入会を選び、ビデオを借りた。
■なんですかこの可愛いバッグは。ふつうのTUTAYAの青いバッグより、内部クッションもずっとしっかりしており、PALMとかいれても大丈夫そうだ。手提げだから絶対に落さないのも嬉しい。元麻布の方に住むシロガネーゼさん、ジャニーズ系のタレントさん、夜中にすっぴんでうろつく私、誰がもってもそれなりに決まりそうなところもニクイ。
■もちろんビデオの在庫もたっぷりあり、1階の書店売り場には、試し読み用の椅子もたくさん用意されていて、スターバックスまで併設されている。朝の7時から翌朝4時まで、両方が開いている。 ちなみにヒルズ店と六本木駅前店のカードは共通で、さすがにカードを2枚作る必要はないのでした。
■大学4年の夏に受けた、講談社の筆記試験のなかで、今でも忘れられない問題がある。時事的なキーワードをいくつかあげて、コメントをつけさせるという問題のなかで、「ランディ・バース」というのがあったのだ。1987年のことだ。
■知らない人もいるかと思うけど、ランディ・バースというのは、当時の阪神タイガースのバッターです。後でモルツのCMにも出てましたね。19年前の阪神優勝のときの立役者だったバースが、その年、突然、退団、帰国して、世間は大騒ぎになったのだ。それは、彼の退団の理由が、「難病の子どもの手術のため」というものだったからである。ほんとうに、そんな理由で勤め先をやめる男がいるなんて、当時の日本人には、「3人目の妻が妊娠したから帰国する」というぐらい現実離れしたことだったのだ。当時のランディに対するマスコミの視線は、「そんなことで帰国するなんて、我がままだ」という風潮が圧倒的だった。
■私は、試験問題に、「彼に対するこの厳しい風潮は、子どものために自分の意思で時間をさきたくても、そう簡単にはできない日本のお父さんたちの嫉妬ではないか」と書いた。この筆記試験を友人たちのなかで私だけが通過したのは、この回答のできがよかったからだと今でも思っている(その後、面接で落ちたけど)。
■バース・バッシングが一段落してから、評論家たちの、「アメリカでは、子どものために仕事をやめたり変わるのは当たり前です」といったコメントが出てきた。「やっぱり日本と違うんだな」と、当時の私は感じたものだ。 今、テレビを見る時間はますます減ってしまって、yahooでしかニュースを読まないのだけれど、マリナーズ佐々木主浩投手の退団のニュースを聞いて、バースの事件のことが思い出された。今回の退団を、アメリカでも批判する人はいるらしい。結局メディアの舵取りひとつで、どうとでも書けることなんだよなあ、と今は感じる。だからニュース見るのいやになっちゃうんだよね。
■私が発起人をしているJASSUの総会が3月にあるので、その準備のための事務作業をした。本部の事務所は町田(他の発起人のカウンセリングルーム)にあるのだが、今年の作業は我が家でやることにした。
■引っ越してから40日のあいだに、これでなんと7人の人が家に来た。すごいペースだ。ヒルズより観光地化している。
■仕事スペースをたっぷりとったため、ソファを置いたり床に座ったりする場所がない(だからうちに来てくつろごうとすると、ベッドの上でごろごろせざるをえないのだ)。しかし、立地の良さと物珍しさも手伝ってか、予想以上にたくさんのお客がある。もうちょっと、「客をもてなすスペース」をきちんと計画すればよかったな、と、少し後悔している。一方、事務作業だったら、この場所で、3人ぐらいは同時にできることもわかった。
■東京は広い街である。たとえば、パリ市は、東京の山手線の内側ぐらいの広さだ。たいていの人と20分ぐらいで会えるとしたら、さぞかし気楽に会えるのではないか。一方、東京では、友人知人たちは、都内どころか、神奈川や埼玉にも散らばっている・・・。「今度メシでも」といって、結局1年に1度になってしまうのは、そのギャップを物語っている気がする。 ここに越してきて、「直接会う」ことの良さを、痛感している。
本日のお茶うけ。おみやげの「アマンド六本木店特製・いもあらい坂むらさきぽてと」と、私が用意した明治屋スーパーの特売品「こわれおかき」。
2004年01月23日(金) |
収支。(アイロン情報つき) |
■引越し後40日ほどたって、1ヶ月の収支が出始めた。
■劇的に下がったのは、電気代、食費、交通費。たとえ「暖房も調理も電気のみ」であっても、ワンルームの電気消費量はたかが知れているらしい。ほっと胸をなでおろす。食費は、疲れずに家に帰ってこられるので、調理する元気があるため。おかげで食費と交通費は、今までの半分だ。
■ガス代は横ばい。上がったのが水道代。水道は、意外な落とし穴で、東京23区のの基本料金は、川崎市の倍近かった。
■そして、もう一つ劇的に下がったものがある。地方税と、それに基づいて計算される国民健康保険の保険料だ。 単身の個人事業主にとっていちばん家計を圧迫するのが、この国民健康保険の保険料なのだ。おおまかにいって、申告所得が350万円ぐらいになると、保険料は年55万円、つまり1月5万円近くになるのだ! (ちなみに、年収350万円でも年収1億円でも同じ55万円)。どんなに食費や交通費を切り詰めても、なんかもう、「一発ドン!」って感じでお金が消えてゆく。国保は世帯単位だから、単身者世帯は圧倒的に負担が重い。ふだんは気にならなくても、このときばかりは、日本の「世帯主義」がしんしんと身にしみる。 私の国民健康保険料は、おかげで約3000円下がった。地方税も来年は下がるかと思うと、どっと嬉しい。
家計がシェイプされたから、というわけでもないが、念願のアイロン買い換えた。ずっと欲しかったベビーロックのやつ。「ティファールのヴェルドゥーゾ」か「ベビーロック」で迷っている人、新宿ミシンで値段聞いたら、たぶんこっちにするんじゃないかと思う・・・。
■先週末、私が映画評論のクラスに通っていたパルコ毎日カルチャーシティが閉鎖になるというので、そのクラスのメンバーだった方たちと、講師の品田雄吉先生とお茶会をした。私が六本木に引っ越したことはもうお知らせずみだったので、映画はもちろん、その話題でも盛り上がった。
■で、みんなに話しながら、はっきりと気がついたのだけれど、「六本木に引っ越したこと」って、私の人生のなかで、嬉しかったことベスト3に入ることなのだ。いや、ベスト1かもしれない。出版社の入社試験に合格したときも、結婚したときも、新しいボーイフレンドと暮し始めたときも、そのお祝いにふたりでケーキを買ったときも、映画評論で賞をもらったときも、仕事に復帰できたときも、営業で仕事がとれたときも嬉しかったけれど、でも、こんなに嬉しかったことはなかった。
■ほんとうに、何をしていても嬉しい。今でも、家の前の小道から六本木通りに出たときなど、ちょんちょん跳ねて歩きたくなる。心のなかで「わーい!」といっている。家にいて掃除や洗濯をするのも嬉しいし(すごく身が入る)、どこかへ出かけるのも嬉しい。帰ってくるのも嬉しい。青山ブックセンター六本木店から5分で帰ってこられるというのも嬉しいし、明治屋で、高い野菜を買おうかどうしようか真剣に悩むのも嬉しい。銀座から15分で帰ってこられるというのも嬉しいし、仕事のあいま、いっぺん家に帰ってちょっと休めるというのも嬉しい。ここに住んで、ほんとうに、嬉しくて嬉しくて、しょうがない。
ご飯を炊くときの必殺技。沸騰した水が鍋のなかで100度以上を保つように、水を入れた大きな鍋で重しをかける「自家製圧力鍋」。でもそのパワー、すごいの。おコメが見事に立つようになった。
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