先日、映画『キャタピラー』(若松孝二監督、寺島しのぶ主演)を観てきた。それはそれで素晴らしい作品だったが、映画『ベンダ・ビリリ〜もう一つのキンサシャの奇跡』を観てさらに強い衝撃を得た。 コンゴ民主共和国の首都キンサシャの動物園の敷地内とその周辺で生活する、下半身不随のストリートミュージシャン集団<スタッフ・ベンダ・ビリリ>。いかなる逆境にあっても屈することなく生きようとする人々が生み出した音楽は、とてもパワフルで、心を強く揺さぶってくる。17歳の少年が空き缶で作ったオリジナルの1弦ギターの響きも圧巻だ。言葉をどれほど尽くしてみても、この感動をうまく伝えられそうにないのがもどかしい。 以下、彼らの作品の一部を紹介するとしよう。
トンカラ(段ボール)で寝てた俺が マットレスを買った 同じことが起こりうる お前にも 彼らにも
人間に再起不能はない 幸運は突然訪れる 人生に遅すぎることは絶対ない 人の人生をとやかく言っちゃいけない 人生は続いていく
シェゲ(路上の子)をとやかく言っちゃいけない 誰も自分の人生は選べない
マンデラ広場の子供たちは輝く星々 彼らはトンカラの上で眠る “プラットフォルム”は輝く星 彼らはトンカラの上で眠る 俺たちにはトンカラがある
なぜ俺たちをバカにする?
(『トンカラ』より)
2010年10月17日(日) |
セッションタイム in あらたると |
セッションて楽しいね。今日の午後、十数人がそれぞれ楽器を持ち寄って、今池 「あらたると」に集結。個々の演奏や、コラボ、さらに全員での演奏なども混ぜ合わせつつ、楽しいひとときを過ごした。 なかで、スーパーギタリスト3人による即興演奏はとてもスリリングで、エキサイティングだった。それと、三線の独得の響きも、心和ませるものだね。 我々<沙羅双樹ふたたび>も、『TOMORROW』『荒野の風』(ともに、ヒートウェイヴ)、『Nobody Knows You When You're Down & Out』(ベッシー・スミス)、『Goodnight Saigon』(ビリー・ジョエル)の4曲をギター&アコーディオン、ギター&ピアノで演奏。出来はまずまずかな。 4時間ぐらいの時間だったけど、本当にアッという間。セッションはやっぱり楽しい。
2010年10月10日(日) |
豊田ロックフェスティバル2010 |
今年も、豊田ロックフェスティバル、観に行っちゃったよ。 今年は、奄美民謡の唄者・朝崎郁恵さんの出演はなく、その点は残念だったが、地元・豊田のロックグループ<タートルアイランド>、それから<渋さ知らズ>を目当てに行ってきたよ。 <タートルアイランド>は、和太鼓、篠笛、さらにサックス、ウッドベース、シタール、タブラ、銅鑼まで加わった大編成のバンド。日本の祭囃子とパンクロックが入り混じったような、どことなく懐かしくもあり、激しく熱いサウンド。このバンド、好きだわ。 トリを飾った<渋さ知らズ>は、これまたダンサーチームも含む大編成のバンド。中心人物の不破大輔がジャズベーシストとしても活動していることからジャズバンドにカテゴライズされることが多いが、管楽器部門の中には前衛音楽的アプローチやチンドン演奏がある。また、ギターやキーボード等はロック的な要素も持つ。ノリのいいサウンドに会場は大盛り上がり。面白かったな。 会場で売られていたアヤしい笛も衝動買いしちゃったし、とても楽しい時間を過ごしたよ。
憧れのクラリネット奏者・大熊ワタルがやってくるというので、御器所「なんや」に行ってきた。今夜は、名古屋在住のギタリスト・臼井康浩と二人でフリージャズ的演奏を展開。 <シカラムータ>や<ソウルフラワーモノノケサミット>での大熊ワタルとは違ったスタイルでの演奏が興味深かった。邪道とも思えるようなアバンギャルドな演奏もあれば、正統的な奏法もあり、とにかく面白く、引き出しの多さをあらためて感じさせられた。 私自身があんなふうに演奏できる日は来ない気がするが、少しでも自在に演奏できるようになれると嬉しいなぁ。そのためには、練習あるのみ、か。
2010年09月21日(火) |
十余年ぶりの再会と、必然の出会いと |
今回福岡までやってきた目的は、ひとつはヒートウェイヴのライヴを彼らの地元・福岡で観ること、もうひとつは久留米に住む友人Iと十余年ぶりの再会を果たすことであった。 昨日ヒートウェイヴのライヴを満喫したところだが、十余年ぶりのIとの再会も楽しみにしていた。福岡出身のIと山梨出身の私が最初に出会ったのは二十年前、お互いに名古屋に来て間もない頃だった。よく一緒に遊んだり、語り合ったものだが、やがて名古屋と九州とに別れてなかなか会うこともできなくなった。 今日は久留米まで出掛けていき、Iの自宅にもおじゃました。十年以上会っていないのに、あまりそんな感じがしない。気兼ねなく話せる友人というものは実にいいものだね。夕方になってから、一緒に博多に繰り出し、「ちょっとバー木馬」というライヴバーに立ち寄った。 そこからさらなる展開があった。 「ちょっとバー木馬」の店内には、ピアノやドラムセットが備え付けられ、ギターも置かれている。お客が好きに楽器を使って演奏していいというのだ。我々の前に先客のジャズトリオがいて、スタンダードナンバーなどを演奏。ピアノ・ウッドベース・ドラムスの3人組の演奏レベルは相当に高かった。普通ならば、その後で演奏するのは非常に勇気の要るところなのかもしれない。でも、そのあたりについては二の足を踏む私ではない。決して自らの演奏レベルに自信を持っているわけではない。でも、自分自身がとにかく楽しんで、お客さんも何らか楽しんでもらえたら嬉しいなぁ、ぐらいに考えていた。 ギターを手にしてマイクの前に立つ。「昨日ヒートウェイヴというバンドのライヴを観るために名古屋からやってきました」と自己紹介すると、客席から「俺も行ってたよ」との声。ヒートウェイヴは演奏力の高いバンドではあるが、そんなに集客力のあるバンドではない。まさかそんな小さなバーでそのような出会いがあろうとは思わなかったな。さらに「一緒に演奏に参加していいですか?」との言葉を掛けていただき、私は「ぜひとも」と即答していた。ヒートウェイヴのナンバーから『満月の夕』『OLD MAN』の2曲を一緒に演奏。すごく気持ちよく歌えたよ。偶然のようでありながら、実のところ必然の出会いじゃないかって思ったね。 その後、店の雰囲気をしばし味わった後で、Iとともに店を後にした。「次に会うのはいつになるんだろうね」などと話しながら、Iは自宅へ、私は博多駅前のホテルへと向かった。 明日は名古屋か。また、日常の世界に戻っていくよ。
2010年09月20日(月) |
ヒートウェイヴ in 福岡 |
ヒートウェイヴのライヴを聴きに行くために、新幹線で福岡へ。 九州に安く行く方法を福岡出身の知人から情報として仕入れて、約1ヶ月前に宿泊付きの新幹線往復指定券をゲットしてあった。 今朝、名古屋を発って、一路博多へ。博多駅前のホテルでひと休みして、夕方に天神のライヴハウス「DRUM Be-1」へ。 ヒートウェイヴの地元・福岡でのライヴは最高だった。このバンドの凄さは、山口洋をはじめメンバー一人ひとりの演奏力の高さ、そしてバンドでステージに立った時に見られる化学反応の面白さ。聴く度に、今回の演奏がベストプレイじゃないかと思わされるんだな。満足してライヴハウスを後にした。 その後、中洲の屋台で、とんこつラーメンと焼ラーメンを食べ、ちょっと旅気分を味わう。いい気分で、ホテルに戻った。
2010年09月08日(水) |
SAKISHIMA meeting |
今夜は、楽しみにしていた<SAKISHIMA meeting>のライヴ。いりなか「58月(ゴーヤムーン)」に行ってきた。 <SAKISHIMA meeting>は、石垣島出身の新良幸人(三線、ヴォーカル)と宮古島出身の下地勇(ギター、ヴォーカル)のデュオ。普段はソロが中心の活動の二人、それぞれに個性的なステージを展開する二人が今夜、いかなる化学反応を見せてくれるのか楽しみだった。それぞれ石垣島、宮古島の文化がベースにありながら、新たな音楽を創造してきた二人でもある。 新良の三線は他にはないパワーがある。当世随一というか、他の追随を許さないというか、とにかく一音聴いただけで突き刺さってくる感じ。ジミヘンのギターに匹敵すると言っても過言ではない響きがある。その三線にかぶさってくる彼自身のヴォーカルもいい。これまでに発見されてこなかった石垣島の魅力を伝えてくれるようでもあり、新たなる土着性を感じさせる。 一方、下地の音楽は、<宮古方言で歌われるワールドミュージック>って感じかな。宮古島の文化と世界のあらゆる音楽とが不思議な融合を見せている。これまでにない新たな文化だね。 それぞれに新たな音楽のニューフロンティアを切り開いてきた二人、それぞれに自らの音楽を主張しながらも交わり、ひとつのサウンドを聴かせてくれた。ソロの音とはまた別の魅力を感じさせてくれた。何よりも二人が楽しんでセッションしている感じがいい。私的にはとても贅沢な夜だったよ。
2010年09月06日(月) |
棘はずっと刺さったまんまだ(2010) |
棘はずっと刺さったまんまだ 棘はずっと刺さったまんまだ 生まれたときから ずっと刺さったまんまだ
物心ついた頃には 棘は俺に深く刺さっていた それは痛みを伴って 俺の意識は否応なく棘に向かわされる だが 抜こうとすればするほど 棘は ますます奥深く俺の体の中心を突き刺した 激しい痛みとともに 俺は気を失いそうだった 棘は遠慮会釈なく 俺のなかに居座った 棘はずっと刺さったまんまだ 棘はずっと刺さったまんまだ 子どもの頃から ずっと刺さったまんまだ
棘は増殖に増殖を重ね 最早なすすべはなかった 俺は次の手を考えついた そうだ 棘が寄生する俺自身を葬り去ってしまえばいい けれど 計画は実行されなかった だから 俺は今もこうして生きている 今も こうして
棘はずっと刺さったまんまだ 棘はずっと刺さったまんまだ 大人になっても ずっと刺さったまんまだ
膝を抱え 体をまるめ 身を固くして 痛みに耐え続けた 痛みに耐え 痛みに耐え 痛みに耐え いつしか 俺はさほど痛みを感じなくなった いまや 棘は 俺の体の一部だ いや 俺が俺であることの 徴(しるし)なんだ
棘はずっと刺さったまんまだ 棘はずっと刺さったまんまだ 俺が死ぬまで 棘はずっと刺さったまんまだ
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2002年秋(もう8年前になるんだな)、俺は名古屋のアングラ劇団「pHー7」の芝居に取り組んでいた。『幻想ヒポカンパス〜太陽と王権〜』というのがその時の公演タイトルだが、自作の詩を朗読しながら芝居するシーンがあった。その時に作った詩が、<棘はずっと刺さったまんまだ>。自分としてはよくできた詩だと思ったし、周りからも評価されたことに気をよくしていた。いつか曲をつけようと漠然と考えていたが、ついにその時がやってきたということのようだ。 詩を一部書き換えて、トーキング・ブルース風に(と勝手に思っているが)曲をつけてみた。ひとりで煮詰まりそうになって、沙羅にも助けを求めながら(客観的な目も欲しくて)、何とか曲にまとめた。ギターをポロポロ弾きながら歌ってみるというのを繰り返しながら、今はしっくりいく感じを探っている段階。 今年中にどこかで発表できたら、と思っている。
2010年08月31日(火) |
今ありがとうを伝えたい人 |
今夜、本郷「アルマジロ」のアコースティック・ナイトに<沙羅双樹ふたたび>でエントリーし、演奏してきた。 今回出演の12組はジャンルもバラバラで、バラエティーに富んでいたな。トランペットの独奏あり、ギター・インストあり、カントリーあり、フォークあり、日本語ブルースあり、ロック弾き語りあり、ムード歌謡あり・・・。まぁ、我々自身がノンジャンルだったりするわけなんだけど。 我々は、『おるがん』(たま)、『愛は私の胸の中』(喜納昌吉)、『Goodnight Saigon』(ビリー・ジョエル)の3曲を演奏。今夜の司会者・北川とみさん(かつて沙羅のヴォイストレーニングの先生でもあった)からもお褒めの言葉をいただいた。私はいまひとつピンとこなかったが、沙羅は素直に喜んでいた。 インタビュー・タイムでは、とみさんから「今ありがとうを伝えたい人は?」との質問。私は即座に「沙羅さん」と答えるが、沙羅は色んな人の顔が浮かぶのか言いよどんでいた。とみさんが「夏撃波さんは沙羅さんと言ってましたが」と向けると、「じゃあ」と切り出す沙羅。「じゃあではなくて、夏撃波さんは大切なパートナー。感謝してます」と沙羅は慌てて訂正していたっけ。まぁ、さほど気にはしないけど、根には持つかな?
2010年08月29日(日) |
上飯田 MUSIC FAN |
今夜、栄「オキナワAサインバーKOZA」で行われた<上飯田 MUSIC FAN>なる音楽イベントに出かけてきた。もともとは、北区上飯田地区でこぢんまりと行われてきたイベントらしい。 今回の出演は、JOYFUL NOISE TRIO、KEEP TO THE LEFT、石井克己、まっちゃん&toshiさん、Still in fakeの5組。ジャンルも異なり、バラエティーに富んだ音楽イベント。JOYFUL NOISE TRIOのJUNさんが「異種格闘技」等と言っていたが、まさにそんな感じで面白かった。 今回のイベントはまっちゃんから教えてもらったのだが、まっちゃん&toshiさんの演奏も安定感が増してきたような気がしたな。toshiさんのリードギターがいい具合に響いていたしね。 JOYFUL NOISE TRIOは相変わらず格好いい演奏を展開していたが、今回ハマったのがKEEP TO THE LEFT。JOYFUL NOISE TRIOのギタリスト・ベーカー佐藤さんがこのバンドでもリードギターを担当。ベーカーさんのギターの格好良さは格別だが、ジャッキーさんのヴォーカルもパンチが効いていて、ロックやソウルミュージックが内包している音の快感を体感させてくれた。 とっても楽しい夜だったぜ!
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